遼、池も林も何のその ピンチをしのいで上位キープ
「三井住友VISA太平洋マスターズ」2日目を、首位に1打差の4位タイで迎えた石川遼。
この日は初日に比べてドライバーとアイアンの精度に欠け、多くのピンチを迎えた。
それでも4バーディ、3ボギーの「71」にまとめ、通算5アンダーでフィニッシュ。
首位と5打差に踏み止まり、13位タイの位置で決勝ラウンドに臨む。
最初のピンチは、前半の3番パー5。
グリーン手前のバンカーに捕まった2打目は、不運にも目玉状態に。
ピンまで40ヤードと距離があり、砂も柔らかめで距離を合わせるのが困難な状況だったが
「振り抜きやすいスタンスにして、なるべく(クラブを)鋭角に入れた。
今までに経験のない打ち方だったけど、自分の感性を信じた」と、4メートルに寄せてバーディを奪う。
後半に入ってもピンチは続く。
11番パー5ではティショットが右の林へ。
アドレスはとれるものの斜め後方の木が邪魔となりフォローが満足に取れない状況だったが
シャフトを木に当てながらもショットを敢行。
だが、ボールはフェアウェイを突き抜けて今度は左側の林へ消え、カート道の上に。
救済を受けてラフから放った3打目は、グリーン前方にそびえる木を越すことができず
枝に当たり30ヤードのアプローチを残す。
この4打目を1メートルに寄せ、辛くもパーでしのいだ。
そして最終18番パー5。
左のバンカーから放った2打目は距離が足りず、グリーン手前の池へと落ちる。
ボールは縁から3メートルほど離れた位置に落ち
「これまで打ったウォーターショットの中で一番深かった」と、ボールは
水面ギリギリまで浸かっていたという。
だが、グリーンをオーバーしたものの見事に一発で脱出。
左足下がりの難しいアプローチが残ったが、2メートルに寄せてパーセーブ。
「明日につながるパーでした」と、ピンチから一転、決勝ラウンドへ弾みをつける結果へとつなげた。
「全体的には良かったけど、昨日の自分と比べてしまい、無理やり良い時の感覚を
取り戻そうという焦りもあった。
明日は、朝から新しい気持ちでプレーしたいですね」。
首位に5打差は、まだまだ逆転圏内。
決勝ラウンドでも大いに沸かせてくれそうだ。
2Rスコア
今日の紙面から
遼4位好発進、進化示した
昨年初日首位発進の大好きなコースで、今年も石川遼(18)は4位と好スタートを切った。
前半の11番パー5で、2オンに成功すると、7メートルのイーグルパットをねじ込んで波に乗る。
14番からは3連続バーディーで、一気に首位に立った。
最終9番をボギーで、2年連続の首位発進こそ逃したが「すごく良かった」と満足げな笑みを浮かべた。
1年間の進化を見せた。
グリーン右前に池のある6番パー5では、左ラフからの第2打をグリーン手前に刻んでバーディーを奪取。
昨年はラフから強引に2オンを狙い、4日間のうち3度も池に入れた。
「池だけは絶対に避けたかった」と昨年の苦い経験をいかした。
将来を見据えて特訓するグリーン周りからの高さあるロブショットも3、17番で成功させナイスパーを奪った。
5歳のとき、今大会をテレビ中継で見て以来、富士山が見下ろし、紅葉の樹木に囲まれたコースが大好きになった。
スタート前には、大会前日の大雨の影響を防ぐため、関係者が午前3時からコース整備を始めたことを聞いた。
「いいプレーで恩返しをしたいと気合が入った」とコースへの思いを好スコアにつなげた。
約60万円差で追う賞金ランク首位の池田と4位で並んだ。
白熱した賞金王争いが期待されるが「池田さんは安定しているので、僕次第ですね」と控えめな言葉を口にした。
だが、右手痛を抱える池田とは対照的に、絶好調で不安はどこにもない。
「最終日に(池田と)戦えるように頑張る。
今大会の優勝争いは1年前から目標でしたから」と最後に本音を漏らした。
1R後のインタビュー
遼が観戦マナー訴えるビデオを放映
男子プロゴルフで人気の石川遼(18)らを観戦するギャラリーのマナー改善が
求められている問題で日本ゴルフツアー機構(JGTO)は12日、静岡県の太平洋クラブ御殿場で
開幕した三井住友VISA太平洋マスターズで石川らがマナーを守るように訴えた
PRビデオを初めて試合会場で放映した。
すでにJGTOの公式ホームページでも見られる映像は、会場に設置された数カ所のスクリーンで放映され
ギャラリーからは「こういう形でマナーが浸透していけばいいのでは」と歓迎の声が聞かれた。
ただ、初日のせいか「あるのも知らなかったし、気が付かなかった」の反応も。
石川は「ゴルフを初めて見に来てくれる人が増えるのはうれしいこと。
(マナーを)知っていただけたら」と効果を期待した。
この日4位につけた石川は「きょうは着信音が1回聞こえただけ」と気持ち良くラウンドした様子。
だが、パットを決めると他の選手のプレー中にもかかわらず、次のホールへ
駆けだすファンの姿もまだ見られた。
PRビデオは最終日の15日まで流され、JGTOは今季の残り試合でも
放映できるように大会主催者に依頼する。
太平洋クラブ御殿場コースの絶品フレンチトースト
アマチュアだった2年前に大会コースに隣接する御殿場ウエストの宿舎に泊まり、
支配人やスタッフと顔見知りになった。
コースとの相性も良く「本当にここはプレーしやすい」とホームコースのように愛着は深い。
お楽しみはプレー以外にもあり、レストランのフレンチトーストを
「1年間待ち遠しい」と心待ちにしてきた。
タイガー・ウッズも絶賛したという逸品。先週滞在した中国のホテルでも
フレンチトーストを食べたが「全然違う。絶品です」。
この日の朝もいつものように和定食とフレンチトーストを食べて出陣した。
遼の試合にパトカーで知人送迎の警部処分
京都府警は12日、プロゴルファー石川遼が出場した男子ツアーを観戦する知人らをパトカーで送迎したとして
交通企画課の男性警部(51)を減給100分の10(3カ月)の懲戒処分とした。
監察官室によると、9月25日、交通課長として勤務していた城陽署から、知人ら8人を自分で運転する
パトカーと署員に運転させた事故処理車に分乗させ、城陽市内のゴルフ場に送り届けた。
帰りも、警部がパトカーで署まで連れてきた。
警部は「親しい知人が困っていたので何とかしてやりたいと思い、冷静な判断ができなかった」と話している。
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ミケルソン父子のゴルフ愛
先週、上海で開催されたHSBC選手権は、中国で開かれた初めての世界ゴルフ選手権大会だった。
最終日は世界ナンバー1のタイガー・ウッズとナンバー2のフィル・ミケルソンがともに最終組で回り
勝利を手にしたのはミケルソンだった。
間近に見る一流選手たちに興奮した人々は、撮影禁止の試合中にシャッターを切り
初日の第1打から邪魔されたウッズは、終始、ぶぜんとした表情だった。
一方、「チャイナの人々はすばらしい」を繰り返したミケルソンは、優勝争いの真っ最中でも
拍手や声援に「サンキュー」と笑顔で対応。
優勝会見では中国メディアから「アナタの温かい態度が中国における大人気の秘密ですか?」と問われ
「それは僕には答えられない」と苦笑する場面がほほ笑ましかった。
ギャラリーによる撮影は「隠し撮り」と言うより、むしろ撮影禁止であることを知らぬがゆえの「堂々たる撮影」だった。
静かに観戦すべしというマナーを知らず、動いたり走ったりする人も多かった。
ゴルフ熱は高まってきたものの、まだまだ知らないことだらけ。
そんな状況下にある上海のゴルフファンが、コース上で思わず足を止めて見入っていたものがあった。
それは、ミケルソンの父親が何年も前から米ゴルフ界で広めている潜望鏡。
棒状の筒の中にレンズと鏡が仕込んであり、二重三重の人垣の後ろからでも悠々と
ロープの内側を眺めることができる便利品だ。
ミケルソンの父親は人気者の息子のプレーをきっちり観戦したい一心で、従来の潜望鏡に手を加え
ゴルフ観戦向けに改良を重ねてきた。
米ツアーのビッグ大会では、すでにおなじみの必需品。
だが、中国の人々は初めて目にする不思議な黒い棒に驚き「これがあれば必死に走らなくていい」と感心していた。
米国選手の父親の息子への愛情が生み出した便利品が、ゴルフ発展途上の国に伝わり
いつかその国の観戦マナー向上に役立ってくれたら、それは立派な「ゴルフ外交」だ。
今週、その潜望鏡が日本の試合会場にお目見えするという。
ミケルソンは「父は父、僕は僕がやるべきことをやる」と言ったけれど、父の愛の結晶が海を渡り
アジアに波及していく様は、米国でジュニアスクールを主宰し、未来のゴルファー育成に
尽力するミケルソンのゴルフ愛と重なり合う。
息子はプロゴルファーとして、父親は人気選手の家族として、それぞれが「ゴルフ大使」を務める。
父子に共通するものは深く熱い思いだ。(ゴルフジャーナリスト)
「三井住友VISA太平洋マスターズ」2日目を、首位に1打差の4位タイで迎えた石川遼。
この日は初日に比べてドライバーとアイアンの精度に欠け、多くのピンチを迎えた。
それでも4バーディ、3ボギーの「71」にまとめ、通算5アンダーでフィニッシュ。
首位と5打差に踏み止まり、13位タイの位置で決勝ラウンドに臨む。
最初のピンチは、前半の3番パー5。
グリーン手前のバンカーに捕まった2打目は、不運にも目玉状態に。
ピンまで40ヤードと距離があり、砂も柔らかめで距離を合わせるのが困難な状況だったが
「振り抜きやすいスタンスにして、なるべく(クラブを)鋭角に入れた。
今までに経験のない打ち方だったけど、自分の感性を信じた」と、4メートルに寄せてバーディを奪う。
後半に入ってもピンチは続く。
11番パー5ではティショットが右の林へ。
アドレスはとれるものの斜め後方の木が邪魔となりフォローが満足に取れない状況だったが
シャフトを木に当てながらもショットを敢行。
だが、ボールはフェアウェイを突き抜けて今度は左側の林へ消え、カート道の上に。
救済を受けてラフから放った3打目は、グリーン前方にそびえる木を越すことができず
枝に当たり30ヤードのアプローチを残す。
この4打目を1メートルに寄せ、辛くもパーでしのいだ。
そして最終18番パー5。
左のバンカーから放った2打目は距離が足りず、グリーン手前の池へと落ちる。
ボールは縁から3メートルほど離れた位置に落ち
「これまで打ったウォーターショットの中で一番深かった」と、ボールは
水面ギリギリまで浸かっていたという。
だが、グリーンをオーバーしたものの見事に一発で脱出。
左足下がりの難しいアプローチが残ったが、2メートルに寄せてパーセーブ。
「明日につながるパーでした」と、ピンチから一転、決勝ラウンドへ弾みをつける結果へとつなげた。
「全体的には良かったけど、昨日の自分と比べてしまい、無理やり良い時の感覚を
取り戻そうという焦りもあった。
明日は、朝から新しい気持ちでプレーしたいですね」。
首位に5打差は、まだまだ逆転圏内。
決勝ラウンドでも大いに沸かせてくれそうだ。
2Rスコア
今日の紙面から
遼4位好発進、進化示した
昨年初日首位発進の大好きなコースで、今年も石川遼(18)は4位と好スタートを切った。
前半の11番パー5で、2オンに成功すると、7メートルのイーグルパットをねじ込んで波に乗る。
14番からは3連続バーディーで、一気に首位に立った。
最終9番をボギーで、2年連続の首位発進こそ逃したが「すごく良かった」と満足げな笑みを浮かべた。
1年間の進化を見せた。
グリーン右前に池のある6番パー5では、左ラフからの第2打をグリーン手前に刻んでバーディーを奪取。
昨年はラフから強引に2オンを狙い、4日間のうち3度も池に入れた。
「池だけは絶対に避けたかった」と昨年の苦い経験をいかした。
将来を見据えて特訓するグリーン周りからの高さあるロブショットも3、17番で成功させナイスパーを奪った。
5歳のとき、今大会をテレビ中継で見て以来、富士山が見下ろし、紅葉の樹木に囲まれたコースが大好きになった。
スタート前には、大会前日の大雨の影響を防ぐため、関係者が午前3時からコース整備を始めたことを聞いた。
「いいプレーで恩返しをしたいと気合が入った」とコースへの思いを好スコアにつなげた。
約60万円差で追う賞金ランク首位の池田と4位で並んだ。
白熱した賞金王争いが期待されるが「池田さんは安定しているので、僕次第ですね」と控えめな言葉を口にした。
だが、右手痛を抱える池田とは対照的に、絶好調で不安はどこにもない。
「最終日に(池田と)戦えるように頑張る。
今大会の優勝争いは1年前から目標でしたから」と最後に本音を漏らした。
1R後のインタビュー
遼が観戦マナー訴えるビデオを放映
男子プロゴルフで人気の石川遼(18)らを観戦するギャラリーのマナー改善が
求められている問題で日本ゴルフツアー機構(JGTO)は12日、静岡県の太平洋クラブ御殿場で
開幕した三井住友VISA太平洋マスターズで石川らがマナーを守るように訴えた
PRビデオを初めて試合会場で放映した。
すでにJGTOの公式ホームページでも見られる映像は、会場に設置された数カ所のスクリーンで放映され
ギャラリーからは「こういう形でマナーが浸透していけばいいのでは」と歓迎の声が聞かれた。
ただ、初日のせいか「あるのも知らなかったし、気が付かなかった」の反応も。
石川は「ゴルフを初めて見に来てくれる人が増えるのはうれしいこと。
(マナーを)知っていただけたら」と効果を期待した。
この日4位につけた石川は「きょうは着信音が1回聞こえただけ」と気持ち良くラウンドした様子。
だが、パットを決めると他の選手のプレー中にもかかわらず、次のホールへ
駆けだすファンの姿もまだ見られた。
PRビデオは最終日の15日まで流され、JGTOは今季の残り試合でも
放映できるように大会主催者に依頼する。
太平洋クラブ御殿場コースの絶品フレンチトースト
アマチュアだった2年前に大会コースに隣接する御殿場ウエストの宿舎に泊まり、
支配人やスタッフと顔見知りになった。
コースとの相性も良く「本当にここはプレーしやすい」とホームコースのように愛着は深い。
お楽しみはプレー以外にもあり、レストランのフレンチトーストを
「1年間待ち遠しい」と心待ちにしてきた。
タイガー・ウッズも絶賛したという逸品。先週滞在した中国のホテルでも
フレンチトーストを食べたが「全然違う。絶品です」。
この日の朝もいつものように和定食とフレンチトーストを食べて出陣した。
遼の試合にパトカーで知人送迎の警部処分
京都府警は12日、プロゴルファー石川遼が出場した男子ツアーを観戦する知人らをパトカーで送迎したとして
交通企画課の男性警部(51)を減給100分の10(3カ月)の懲戒処分とした。
監察官室によると、9月25日、交通課長として勤務していた城陽署から、知人ら8人を自分で運転する
パトカーと署員に運転させた事故処理車に分乗させ、城陽市内のゴルフ場に送り届けた。
帰りも、警部がパトカーで署まで連れてきた。
警部は「親しい知人が困っていたので何とかしてやりたいと思い、冷静な判断ができなかった」と話している。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ミケルソン父子のゴルフ愛
先週、上海で開催されたHSBC選手権は、中国で開かれた初めての世界ゴルフ選手権大会だった。
最終日は世界ナンバー1のタイガー・ウッズとナンバー2のフィル・ミケルソンがともに最終組で回り
勝利を手にしたのはミケルソンだった。
間近に見る一流選手たちに興奮した人々は、撮影禁止の試合中にシャッターを切り
初日の第1打から邪魔されたウッズは、終始、ぶぜんとした表情だった。
一方、「チャイナの人々はすばらしい」を繰り返したミケルソンは、優勝争いの真っ最中でも
拍手や声援に「サンキュー」と笑顔で対応。
優勝会見では中国メディアから「アナタの温かい態度が中国における大人気の秘密ですか?」と問われ
「それは僕には答えられない」と苦笑する場面がほほ笑ましかった。
ギャラリーによる撮影は「隠し撮り」と言うより、むしろ撮影禁止であることを知らぬがゆえの「堂々たる撮影」だった。
静かに観戦すべしというマナーを知らず、動いたり走ったりする人も多かった。
ゴルフ熱は高まってきたものの、まだまだ知らないことだらけ。
そんな状況下にある上海のゴルフファンが、コース上で思わず足を止めて見入っていたものがあった。
それは、ミケルソンの父親が何年も前から米ゴルフ界で広めている潜望鏡。
棒状の筒の中にレンズと鏡が仕込んであり、二重三重の人垣の後ろからでも悠々と
ロープの内側を眺めることができる便利品だ。
ミケルソンの父親は人気者の息子のプレーをきっちり観戦したい一心で、従来の潜望鏡に手を加え
ゴルフ観戦向けに改良を重ねてきた。
米ツアーのビッグ大会では、すでにおなじみの必需品。
だが、中国の人々は初めて目にする不思議な黒い棒に驚き「これがあれば必死に走らなくていい」と感心していた。
米国選手の父親の息子への愛情が生み出した便利品が、ゴルフ発展途上の国に伝わり
いつかその国の観戦マナー向上に役立ってくれたら、それは立派な「ゴルフ外交」だ。
今週、その潜望鏡が日本の試合会場にお目見えするという。
ミケルソンは「父は父、僕は僕がやるべきことをやる」と言ったけれど、父の愛の結晶が海を渡り
アジアに波及していく様は、米国でジュニアスクールを主宰し、未来のゴルファー育成に
尽力するミケルソンのゴルフ愛と重なり合う。
息子はプロゴルファーとして、父親は人気選手の家族として、それぞれが「ゴルフ大使」を務める。
父子に共通するものは深く熱い思いだ。(ゴルフジャーナリスト)