詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

第十八話「SOS」青春恋愛小説「恋花~KOIBANA~」

2012年03月26日 | 恋愛小説「恋花~KOIBANA~」
恋愛小説「恋花」は、
作者のオリジナルフィクション物語であり、登場する人物、団体名は実在するものとは全く関係ありません。
高校3年生の淡くてせつない恋物語を描いていきたいと思っています♪
純愛をテーマにしているので年齢関係なく読める恋愛小説になっています。

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第十八話「SOS」


教室内に携帯電話を持ち込むのは校則違反だった。
でもそんなのお構いなしにみんな持ってきていたし、サイレントモードにしておけば
先生も気づかなかったし。

もうすぐ休み時間が終わるのに星波の姿が席には無い。
心配でクラスの外を見に行こうと思った瞬間、ポケットの中で携帯電話が震えた。

ヤバイ
でも
オリジナルマナーモードでは、星波と紫苑以外は、バイブレーターは起動しない。
俺は、いやな予感がして、走りながら携帯のメールを確認すると
果たして星波からの着信だった。

「健人・・・助けて
今、体育館の用具倉庫。タオル持ってきて。」

絵文字も何もないメールが、その切羽つまった状況をかもし出している。
俺は、部室からタオルを数枚つかむとそのまま体育館の用具倉庫に向かって走りだしていた。



体育館の用具倉庫のマットの上で、星波がひざを抱えて小さくなっていた。
髪からは、水のしずくが垂れている。
俺は、何も言わずに星波のほうへ持ってきたタオルを数枚ほうってやった。

「嫌がらせされたの。お手洗いの個室に入っていたら、上からバケツで水を」
かけられた水なのか、涙なのか、星波の頬は、ぬれていた。

俺は、そのまま、星波に近づき、頭にほおってあったタオルで髪をゴシゴシ拭き始めた。

「あ・・・ありがとう。」
大粒の涙を流しながら、星波は俺の瞳をじっとみつめる。
「大丈夫だ。俺がついている。今日は一緒に帰ろう。俺がお前を守ってやるよ。」
俺の言葉に星波は力なくうなずいた。

そんな星波は、触れれば折れてしまいそうなほどか弱く見え、守ってやらなくてはという
気持ちに俺は、なっていた。


~第十九話「犯人」へつづく~



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現在、こちらの「恋花」と愛憎物語~白と黒~を交互に連載しています。
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