志村建設専務の日々坦々

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志村建設の暖冷房(6)床下温水蓄熱ヒートポンプ全館暖冷房のポイント

2021-01-19 07:53:54 | 住宅建築

床下温水蓄熱ヒートポンプ全館暖冷房について説明してきましたが、

これはどの建物にも簡単に設置できません。

秋田の新築されている住宅のほとんどには、無理でしょう。

地元ビルダーや、大手ハウスメーカーの営業マンや技術の人に

「エアコン一台で全館冷暖房したいのですが…」と要望をだすと、

「夢ですね」「この予算では到底無理」などの返事がくると思います。

 

新住協のマスター会員や勉強熱心な地元工務店がこの要望に応えてくれます。

断熱性能重視という大手ハウスメーカーがありますが、価格はどうでしょうね。

ここからは、「床下温水蓄熱ヒートポンプ全館暖冷房」設置の為の諸条件を見てみましょう。

(1) U値(外皮性能値) Q値(熱損失係数) C値(気密性能値)

(2)基礎断熱 特に土間下断熱

(3)冬の暖気・夏の冷気の流れ 吹き抜け・循環ファンの活用

これらを順に説明してゆきましょう。


志村建設の暖冷房(5)全館暖冷房

2021-01-16 15:38:26 | 住宅建築

床下温水蓄熱ヒートポンプ全館暖冷房」の全館暖冷房について説明しましょう。

寒冷地での全館暖房の必要性は数十年前から言われ続けてきました。

局所暖房主流の秋田では、寒いトイレや浴室でのヒートショックによる脳溢血による死亡が

飲酒や塩分の取りすぎと相まって、死亡原因の上位にありました。

北海道では厳冬期では生死に関わるとして、全館暖房を試みが昔から行われてきました。

住宅の部屋別温湿度環境に大きな違いがあれば、不快だけでなく結露やカビの発生の原因となります。

全館暖房が実用レベルに達しなかったのは、高断熱・高気密化の理論・施工法が不充分だったからです。

暖房設備が過大で、エネルギーを膨大に消費するお金持ちの為のシステムだけが稼働していました。

新住協の代表鎌田先生の研究成果がここに生かされます。

(1)温水熱源機付エアコン 暖房6KW冷房4KW 一台で全館暖冷房

志村建設のQ1住宅の場合、秋田ではこの半分の能力で全館暖房できるのですが、

長府の温水熱源機付エアコンを使用しますので、余裕の能力となります。

秋田は冷房期間が短いのですが、冷気を循環させることにより全館冷房が実現可能です。

(2)全館むらのない温熱環境を計画できます。

1階床面が20℃ 室温20℃ 壁・天井20℃程度の快適温熱環境となります。

床下暖房だけだと2階が18℃程となり、寝るにはちょうど良い温度です。

最近は2階床下にも温水のパイピングを行い温度上昇が出来るようにしています。

テラス窓下の床ガラリ(循環口)や、吹き抜け位置、居室のスルーファンなどの計画が必要です。

(3)Q1住宅仕様で暖房費が、半分以下となります。

新住協のQ1住宅のレベル1で、一般の高性能住宅という「省エネ基準適合住宅」の

半分の暖房エネルギー消費です。更にレベル2、3、4と高断熱化を実現できます。

レベル4になるとほぼ無暖房、暖房費ゼロの住宅です。

志村建設はQ1住宅が標準仕様です。


志村建設の暖冷房(4)ヒートポンプ

2021-01-16 11:29:08 | 住宅建築

「床下温水蓄熱ヒートポンプ全館暖冷房」ヒートポンプについて説明しましょう。

以前 新住協代表の鎌田先生は、

「電気を使った暖房は、エネルギー効率が悪い(発電・送電過程での無駄なロス)」

「安いからと言って深夜電力利用はダメ、地球の為にならん」

と言っていたのですが、ヒートポンプ技術が確立されると

「エアコンは省エネで安価で扱いやすい。冷房としても使える」

と床下や階間エアコンの技術開発・普及を進めるようになりました。

もっとも大きな理由は、冷房負荷も同時に解決できることのようです。

(1)エネルギー効率が良い。

例えると1の電気エネルギーから2~4倍の暖房効果が期待できます。

現在最も効率的な暖房装置です。

(2)冷房にも使える。

使用しているエアコンは冷房としても使えます。(志村建設の基礎2参照)

室内機一台で工夫すれば全館冷房も可能です。

(3)熱源(エネルギー)として扱いやすい。

単相200Vの家庭用電気コンセントがあれば、取り付け出来ます。

オイル配管タンク・ガス配管等がいりません。工事費が低減できます。

太陽光・風力発電・蓄電池と組み合わせれば

オフグリッドのゼロエネルギー住宅へ発展できます。

 


志村建設の暖冷房(3)蓄熱

2021-01-10 11:45:58 | 住宅建築

「床下温水蓄熱ヒートポンプ全館暖冷房」蓄熱について説明しましょう。

(1)深夜の安い電気代を活用できる。

夜間にタイマーを作動させ温水を循環、床下の土間コンクリートの温度をあげておくと

日中は気温上昇と相して暖房を休止することが出来ます。

東北電力「よりそう+ナイト8」の場合、夜23時~朝7時までは1KWH10・92円

日中の電気代の1/2~1/3(21.69~34.19円)となります。

実際床下の土間コンクリートの表面温度は30℃程度、床下空間は27℃程度

これが床ガラリ(循環スリット)を通して室内に暖気が上昇してきます。

極寒期に夕方室温が下がってきたら、室内機を利用して暖房ないし床下温水を循環。

(2)温度変化の少ない安定した暖房である。

季節初めに暖房を入れるとタイマーで自動運転、土間コンクリートは運転時一定の温度となります。

室温の微調整は換気や室内機の運転で調整出来ます。

蓄熱の良さは緊急時に発揮されます。先日秋田の「強風・寒波」の時に停電がありました。

その時、多くの県民が無暖房で夜を極寒で過ごしたという記事がありました。

この暖房システムだと暖房機が止まっても一晩ぐらいは平気ですごせます。

東日本大震災は2~3日電気が止まりましたが、この蓄熱で寒さはしのげたそうです。

(3)建物の熱環境に優位に働く。

志村建設の建物は高断熱で熱容量が多いことになりますが、

このような建物は、省エネルギーに有効ではないかとの研究があります。

空気調和・衛生工学会論文集 NO260 2018年11月 宇野義隆他

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shase/43/260/43_1/_pdf

今後の実証が期待されます。

またゼロエネルギー住宅に必須となる蓄エネルギー装置

蓄電池だけでなく蓄熱体も有力な候補です。


志村建設の暖冷房(2)温水

2021-01-09 11:21:33 | 住宅建築

「床下温水蓄熱ヒートポンプ全館暖冷房」温水について説明しましょう。

床下暖房にはいろいろな方式があります。

床下空間利用型だと、FFストーブ設置・エアコン設置・電気蓄熱暖房機設置

温水パネル設置などがあります。

床下土間利用型だと、スラブヒーター(電熱線)埋設・温水パイプ埋設などがあります。

志村建設の暖房は床下土間利用型の温水パイプ埋設方式を標準としています。

その理由としては

(1)音が静かである。

エアコンの室内機(吹き出し)を床下に入れる床下暖房も行っていますが、

動作音がネックとなります。FFストーブも同じです。

電気式(蓄暖・スラブヒーター)も静かですが電気代が高額となります。

(2)温度むらが生じない。

暖房機設置の場合、暖気吹き出し口の配置を慎重に検討しなければなりません。

基礎内部の障壁を少なくして、隅々まで暖気が届くようにします。

温水パイプの土間敷設の場合、土間すべての面で放熱します。

低温水なのでコンクリートにも負担をかけません。

スラブヒーター埋設の場合はヒーターが高温となりコンクリートへの影響が心配。

(3)熱源(ボイラー)を自由に選べる。

放熱部と熱源部が別なので、電気・ガス・灯油・薪などを熱源としたボイラーが使えます。

ボイラーは故障すれば交換可能です。


志村建設の暖冷房(1)床下

2021-01-09 09:08:43 | 住宅建築

志村建設の基本仕様の暖房についての話をします。

基礎工事(2)で土間コンクリートにパイプ配管していると書きました。

「床下温水蓄熱ヒートポンプ全館暖冷房」これが正式名称です。

聞いたことがないと思われますが、私が名付けました。

と言っても機能や形式名の羅列、解説しないとわからないと思います。

床下とは床直接でなく、土間コンクリートを温めることを意味します。

床面から床下土間まで50㎝程の空間があります。

温水だったら床に配管して床暖房にしたらと思われるかもしれません。

しかし次の理由で床暖房にしていません。

(1)床表面温度は室温と同じ、20℃程になる。

床の表面はスウェーデンは27℃以下、ドイツでは29℃以下という判断基準があります。

これは足裏が人間の体温調整のセンサーとなっていて、床面が高温だと

「暖かいとすぐ感じるが、長時間接していると体温調整のバランスを崩す」という知見によるもの。

(2)1階床面全面が均一な温度になる。

床暖房は床暖パネルを入れるところだけ暖かく(高温)なりますが、それ以外は冷たくなります。

(3)コストダウンができ、施工性に優れる。

床暖房のネックは床暖パネル、高額となります。土間のパイピングは自社施工。

また床の施工時や改修時に床暖パネル(放熱電気フィルムや不凍液が充填)を痛めません。

(4)床下空間が暖房空間として利用可能。

給排水温水配管スペースになっていますが、凍る心配がありません。

また掘りごたつや暖かい土間スペースとしての活用が可能です。

ほかにも床下方式のメリットは沢山ありますが、次はなぜ温水か?に移ります。


志村建設の基礎(2)

2021-01-04 15:14:00 | 住宅建築

志村建設の基礎には暖房のシステムが組み込まれています。

コンクリート基礎がすっぽりと断熱材に覆われていますので、蓄熱に最適。

架橋ポリエチレン管を、コンクリート打設時に埋め込みます。

 

写真の白い管がそれ、一回路100mの長さです。

その中を30~40度の低温水が巡り、土間全体を温めます。

熱源は、ガス・灯油でも暖房用温水をつくれるなら何でもOK。

志村建設が標準仕様としているのは、深夜電力利用のヒートポンプ式熱源機。

エアコンで温水をつくれる優れものです。

 

なんたって室内の音が静か、しかも夜間電力メインなので電気代がエコ、足元が暖かいなど

寒冷地のベース暖房としてはベストと思っています。

更に夏季、室内機は冷房としても使えます。

なにより10年来、数10台の実績・ユーザーの高評価が実証。

床下エアコンでローコスト全館暖房を推奨する新住協の鎌田先生にこのシステムの話をしたところ、

「高価なシステムだろう」と言われましたが、標準仕様です。

それは志村建設が長府の販売代理店であり、自社施工であるからに他なりません。