気候変動の適応策は誤解されやすい。
気候変動に対する対策は既に緩和策(温室効果ガスの排出削減)が先行している状況にあって、新しい施策であるとともに、長期的な対策、リスク管理等の行政施策や企業管理の手法が確立されていないためである。
例えば、私は次のような点が適応策の理解不足による、適応策への誤解だとみている。ここでは詳しく説明しないが、現在、適応策Q&Aのようなものを用意しつつあり、そこで解説をしめしていきたい。
1.緩和策と適応策はトレードオフの関係にある(あるいは、適応策を行うことは、緩和策を諦めることである)
2.先進国は緩和策を担う責任があり、適応策は開発途上国が行うものである
3.気候変動の危機をあおり、ハード対策の必要性を強調して、行政予算の確保を狙いとするものである
4.現在の気候被害は既に実施されており、既存施策を強化すればよく、さらに追加すべき対策はない
5.気候変動の将来影響は不確実であり、不確実なことへの対応は後回しでよい(優先順位が低い)
6.適応策の分野横断的な検討が必要ではなく、各分野に気候変動への対策を組み込めばよい(メインストーリム化)