サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

環境政策の情報的手法

2008年03月31日 | 環境と情報
 第2次環境基本計画(2000年)では、政策手法として、次の6つが示された。

 ア 直接規制的手法
 イ 枠組規制的手法
 ウ 経済的手法
 エ 自主的取組手法
 オ 情報的手法
 カ 手続的手法

 このうち、情報的手法の議論に注目したい。

 第3次環境基本計画(2005年)では、政策手法の記述はなくなった。代わりにというわけではないが、同計画では、環境情報戦略の必要性を記し、それに基づく検討が現在、進められている(少しお休み中だが)。

 情報的手法を少し整理しておく。


■情報的手法の議論
 
 環境省資料では、次のように定義している(第2次環境基本計画にも同様に記載)。

「消費者、投資家をはじめとする様々な利害関係者が環境保全活動に積極的な事業者や環境負荷の少ない製品などを評価して選択できるよう、事業活動や製品・サービスに関して、環境負荷などに関する情報の開示と提供を進めることにより、各主体の環境に配慮した行動を促進しようとするもの。」


■情報的手法の適用対象

 環境省資料では、適用対象を次のように示している。

「対象が不特定多数であり、規制や経済的措置が困難な場合や、規制水準を上回る環境への負荷の低減が求められる場合に、(補足的に)活用、もしくは、自主的取組・規制的措置・経済的手法による効果をより確実なものとするために後押しする場合に適用。」

 上記の記述で重要な点は、情報的手法は、他の手法を補足、後押しするものとしていることである。

 情報提供だけを単独で実施する事業も多いが、情報的手法の効果は、他の施策と組み合わせて実施することで発揮されると思うことが多い。情報的手法の本来的な特性を、正しく認識した方がいいかもしれない。


■適用が期待される効果

 取り組みの促進効果を定量的に評価することは、一般的には困難とされる。

 また、情報的手法が他の手法と組み合わせて実施されることを考えると、情報的手法のみの効果を切り離して、把握することは困難ともいえる。


■情報的手法と環境学習・環境教育、普及啓発

 情報的手法と環境学習・環境教育、普及啓発といった施策との整理が必要である。例えば、次のように整理できる。

 一般的に、チームマイナス6%などの普及啓発は、より多くの主体の一歩を促すことを目的とする。

 環境学習・環境教育は、普及啓発に比べ、体系的な知識の獲得や各主体の気づきを重視する。

 情報的手法は、普及啓発や環境学習・環境教育に係る施策の影響を受けた主体が、自らの意志で行動を行うための判断材料を提供することを目的とする。



 
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