サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

「仮称:温暖化影響・適応に係る地域コンソーシアム」準備会合

2011年02月27日 | 気候変動適応

  2011年2月24日、主婦会館において、「仮称:温暖化影響・適応に係る地域コンソーシアム」準備会合を開催した。

 この会合は、環境省環境研究総合推進費「S-8  温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」のサブテーマ2-1「地域社会における温暖化影響の総合的評価と適応政策に関する研究」の一環として、開催したものである。

 平成23年度本格的に立ち上げるコンソーシアムの運営方針を検討するとともに、全国に向けた情報発信を行うことが目的である。

  参加対象は、S-8研究に参加する研究機関及び関連する地方自治体、地球温暖化・適応策に先駆的に取り組む関連機関とし、S-8研究代表者による講演、研究報告、地域コンソーシアムの運営方針に係る意見交換等をクローズドな形式で行うこととした。

 地方自治体にとっては議会中、また大学関係者は入試期間であり、開催日時の設定に問題があったが、それでも総勢60名の参加を得ることができた。

  

法政大学では、適応策に関する地方自治体及び地方研究機関の取組みの実態と今後の普及のあり方について、次のような提案を行った。

 

①地球温暖化対策条例で適応策を位置づけている地方自治体は2県であり、計画的な適応策に着手している自治体は、これを含めて3団体に止まる(平成22年10月時点)。

   

②アンケート調査では、温暖化影響の予測や適応策の計画に取り組んでいる地方公共団体は2~3割と回答された。しかし、具体的な適応策は、農業分野等で限定的に実施されている状況にある。

   

③地方研究機関が実施している温暖化影響・適応策に関する研究として74件の回答が得られた。このうち、「農業・食料」分野の研究が7割と多くなっている。

  

 

つまり、総じて、地域における適応策に関する施策と研究は「揺籃期」にある。では「揺籃期」を抜ける鍵は何か。5つの方向性が考えられる。

  

①「適応策の認知」不足を解消する。

 

②短期的適応策と長期的適応策、「緩和策」と両立する「適応策」 の優先など、「賢い適応策」の考え方を普及する。

 

③適応策の位置づけや取組課題を明確にするために、温暖化の寄与度や影響予測に関する「信頼できる情報」を提供する。

 

④地方研究における予算や情報、ノウハウの不足を解消するため、「相互連携による効率的・効果的な研究」を推進する。

 

⑤「適応策」に係る法的整備を行い、地域における「分野横断的な取組みの正当性」を持たせる。

 

 

さらに、「適応策」の検討を広く展開するために必要となるメッセージは何か。私は、次の点に踏み込んだ普及施策の必要性を提案した。

 

①緩和策をとったとしても適応策が必要、また影響は既に顕在化している。適応策は「避けられない」。

 

②温暖化の影響は、「社会・経済の脆弱性」が高いところに現れる。適応策とは脆弱性を改善すること。少子高齢化、資源・エネルギー、食料等の他の危機にも備えることになる。

 

③適応策は、「地域づくり・人づくり」と一体的に実施することで、持続可能で豊かな地域の創造につながる。

 

③長期的な適応策は、「不確実性のある問題(将来リスク)」に対応する政策に踏み出す試金石となる。

 

以上 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 内藤正明先生の講演 ~地域か... | トップ | 山村再生総合対策事業の全国... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

気候変動適応」カテゴリの最新記事