かくしてそ人の死ぬといふ藤波のただ一目のみ見し人ゆゑに
万葉集 巻12 3075
~ただ一目だけ見た人が忘れられず、恋の苦しさにたえられません。
艶やかに波打つような藤の花房を表す美しい言葉があります。
影藤は水面や見上げる人の足元に映る花影、そして藤姉妹とは日本にある二種類の
野田藤と山藤を云うとか。
藤浪は初夏の風に揺れる花房を美しく表現した言葉でしょう。
揺れる花房に思わず頬をつけるとふんわりと甘い香りが漂い花びらがこぼれます。
恋しけば形見にせむとわが屋戸に植えし藤波いま咲きにけり
山部赤人
藤色は青紫系のなかのいちばん薄い色で平安時代にはもっとも美しく高貴な色として
愛され「枕草子」にも度々、におうように美しい女性が藤衣を身に纏い登場します。
近代では藤色の着物の女性がヒロインとして数々の小説や美人画に描かれました。
樋口一葉の「たけくらべ」の美登利は藤色絞りの半襟や桃色を襦袢にかけていたよう
です。色白で目が輝き少し口が大きくて、ぬりぼっくりをはいて走り回る少女はやがて
美しい京人形になっていくのです。
遠い人おもへば悲しゆく春の藤波の花ほろほろと散る
佐々木信綱
今日の一枚の絵 「晩春麗姿」 高畠華宵 ポスター
ここ、三日続けての夏日で花びらがほろほろこぼれ始めました。
日毎に日の光を浴びて様々な緑は重なり合って深くなっていきます。
私は藤の花房の艶やかなその美しさの厚み重み揺らめく景色の鮮やかさに、
その中に秘められた儚さが怖くも感じられてしまうのです。
この華宵の絵の女性のなんと美しく気品に満ちていることでしょう。 s・y
数日前 近くの公園にて
かさねの色目 藤 表 薄色
裏 萌黄 藤の衣の季節 旧暦の三月から四月
万葉集 巻12 3075
~ただ一目だけ見た人が忘れられず、恋の苦しさにたえられません。
艶やかに波打つような藤の花房を表す美しい言葉があります。
影藤は水面や見上げる人の足元に映る花影、そして藤姉妹とは日本にある二種類の
野田藤と山藤を云うとか。
藤浪は初夏の風に揺れる花房を美しく表現した言葉でしょう。
揺れる花房に思わず頬をつけるとふんわりと甘い香りが漂い花びらがこぼれます。
恋しけば形見にせむとわが屋戸に植えし藤波いま咲きにけり
山部赤人
藤色は青紫系のなかのいちばん薄い色で平安時代にはもっとも美しく高貴な色として
愛され「枕草子」にも度々、におうように美しい女性が藤衣を身に纏い登場します。
近代では藤色の着物の女性がヒロインとして数々の小説や美人画に描かれました。
樋口一葉の「たけくらべ」の美登利は藤色絞りの半襟や桃色を襦袢にかけていたよう
です。色白で目が輝き少し口が大きくて、ぬりぼっくりをはいて走り回る少女はやがて
美しい京人形になっていくのです。
遠い人おもへば悲しゆく春の藤波の花ほろほろと散る
佐々木信綱
今日の一枚の絵 「晩春麗姿」 高畠華宵 ポスター
ここ、三日続けての夏日で花びらがほろほろこぼれ始めました。
日毎に日の光を浴びて様々な緑は重なり合って深くなっていきます。
私は藤の花房の艶やかなその美しさの厚み重み揺らめく景色の鮮やかさに、
その中に秘められた儚さが怖くも感じられてしまうのです。
この華宵の絵の女性のなんと美しく気品に満ちていることでしょう。 s・y
数日前 近くの公園にて
かさねの色目 藤 表 薄色
裏 萌黄 藤の衣の季節 旧暦の三月から四月