城と歴史歩きを楽しむ

専門的でも学術的でもなく、気楽に
山城中心に城巡りと歴史歩きを楽しみましょう!

信濃・吉田茶臼山城 信玄の狼煙台と伝わるコンパクトな遺構だが眺望が素晴らしい

2021-01-21 | 歴史

吉田茶臼山城は長野県高森町にあります。
 信玄の狼煙台の伝承は各地にありますが、吉田茶臼山城もその一つで伊那谷を見下ろす絶好の位置にありました。吉田茶臼山の南東3.3kmには吉田本城・吉田古城が有り、その歴史は古く応永四年(1400)の大塔合戦へ吉田氏が参戦したとされるので、吉田茶臼山城も吉田氏との関連もあったのではないかと想像しました。
 今回の資料は「信濃の山城と館 6」宮坂武男編2013です。


吉田茶臼山城 ルートはA,B2ルートがある 
 高森地区の上段を通るハーモニックロードから車でAルートの林道に入れましたが、害獣ゲートが有りました。ゲートを開け閉めして林道に入るとⓅ地点まで車で登れました。Aルートは資料によると「盗人道」というようで、いかにも裏道のようですので本来の城道はBルートだったかもしれません。資料にある水場は沢の最深部に有り立体地図で確認できました(今回見学していません)。


吉田茶臼山城 ハーモニックロードから林道へ
 害獣フェンスで見学断念かと一瞬思いましたが、開け閉めして通過できました。


吉田茶臼山城 Aルートの舗装林道の終点に駐車スペース 城道入口がある
 舗装された林道を登ると駐車スペースが有り、そこから城道に入りました。


吉田茶臼山城 尾根に出ると直角に曲がる城道 道は踏跡がはっきりしている
 Aルートはハイク道にでもなっているのでしょうか、沢には丸木橋がかかり、踏跡もはっきりしていました。直角に曲がる地点は盛り上がった地形でしたが、自然地形のようでした。


吉田茶臼山城 狼煙台とされるシンプルな遺構でア、イの堀切が見どころ
 吉田茶臼山城は狼煙台だったという伝承の通り、シンプルな遺構がありました。城というよりも狼煙台という方がピッタリの感じでした。Ⅰ郭は削平されア、イに二条の堀切が有り、北西尾根からの侵入に備えていたようです。②は自然地形の尾根に見えましたが資料では尾根筋に小屋掛けの可能性が示されていました。平場①は小さな腰曲輪で③にも平場があるようでしたがブッシュがひどくて確認が難しかったです。


吉田茶臼山城 北西尾根を断ち切る幅広の堀切ア   北西から
 堀切イに比べて幅広の堀切でしたが、風化もあって浅いものでした。堀切イと合わせて二重堀切ですがあまり厳重な備えの感じがしませんでした。


吉田茶臼山城 堀切イ 奥にⅠ郭
 堀切イは風化も含めて浅く、実戦で役立つかどうか疑問でした。堀切アと合わせて二重堀切でした。


吉田茶臼山城 Ⅰ郭から 伊那谷、天竜川、吉田本城・古城、南アルプスなど見渡せる
 この日は雲がかかって南アルプスは残念ながら見えませんでしたが、伊那谷の眺望は素晴らしかったです。
狼煙台の機能だけでなく、見張台も兼ねていたのではないかと思わせる場所でした。


吉田茶臼山城 Ⅰ郭と南下の帯曲輪① 東から
 Ⅰ郭の南下には小さな帯曲輪がありましたが、Ⅰ郭の切岸を造り出すための地形のようでした。資料では更に南下に帯曲輪があるとされていましたが、ブッシュがひどくて確認困難でした。立体地図でも③に帯曲輪状の地形が見えますので、季節を選べば確認できるかもしれません。南側の尾根伝いに道Bがあるようですが踏跡は確認できませんでした。往時はこちら側がメインの道でAは裏道だったかもしれません。

吉田茶臼山城は狼煙台に特化した施設だったようですが、資料によると戦のときに住民が避難した場所が付近にあり、山下の状況を見張った場所だった可能性も記されていました。

城の遺構見学で訪れた吉田茶臼山城でしたが、その眺望の素晴らしさを堪能でき大満足の訪れとなりました。

 








最新の画像もっと見る