下記はNPO 集改センターの伊々田副代表が、見聞き&体験したマンション事件(?)とその解決法を分かりやすく解説したものです。皆さんのマンションにこんな事件が起きたら……。ぜひ、参考にしてください。
(困った!駐車場に自動車放置したまま区分所有者行方不明)
マンションの駐車場に駐車料金も払わずに駐車し続けている区分所有者がいます。このような場合は、駐車場賃貸借契約に基づき駐車場契約を解除するというのが管理組合の一般的対応方法です。しかし、中には駐車場契約を解除されても、駐車場に自動車を放置し、しかも管理費等も滞納したまま行方不明になってしまう区分所有者が存在します。
困った理事長は「自動車をレッカー移動して処分してしまったらいいじゃないか!」と普通なら考えるでしょう。しかし、法律では(仮に契約書や管理規約に「レッカー移動することができる」と書いていたとしても)自分たちだけで処分することは許されません。
いわゆる「自力執行禁止」の考え方です。「自力執行禁止」とは、他人の物を処分するときは、裁判所の力を借りて合法的に処分しなければならないという意味です。
では、どうすれば合法的に自動車を処分することが出来るのでしょうか?
先般、あるマンションで、行方不明となった区分所有者の自動車を処分した事例を簡単に紹介します。
① 放置自動車の登録事項証明書を陸運局で取得、区分所有者の自動車であるか確認。
② 管理費等の滞納があったので管理費等請求訴訟を行い勝訴判決(債務名義)を得る。
③ その債務名義に基づき自動車差し押さえ執行の申し立てをする。
④ ごみ同然の自動車の為、買受人が無く、理事長個人名義(管理組合は買受人になれない。管理組合法人の場合は可能。)で買い取る → 当初買い取り金額を千円程度で予定していたが、自動車税の滞納が数十万円あり、役所と交渉した結果、結局3万円で買い取った。
⑤ 自動車は買受人(理事長)の名義になるので理事長は廃車手続き等を行い処分した。
この手続きに管理組合は、訴訟費用、弁護士費用、執行官費用、査定費、自動買取費、処分費、移動費用等の相当なお金と手間を要しました。
他にも方法はあるようですが、費用と時間を考えた一番効果的な方法だったそうです。
(独り言)
この事件で一番得したのは誰かと考えてみた。間違いなく、ごみ同然の自動車の処分費用まで管理組合に負担させた、逃亡した区分所有者である。(本人が見つかれば損害賠償も可能ですが回収は極めて困難でしょう。)
道路に捨てられた自動車の撤去でも役所は手をやいています。不要自転車の処分でも結構苦労させられます。個人の財産をしっかりと守ってくれる日本の法律はすごい。でも理不尽すぎませんか・・・・・。
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