集改センターの第141回 スキルアップセミナーの報告をいたします。
開催日:2016年(平成28年)8月3日(水)
テーマ:平成28年3月14日国交省発表の標準管理規約をみてみましょう
講 師:マンション管理士 木村長敏(NPO集改センター正会員)
◎平成23年度に改正された標準管理規約は、改正案の検討段階で発生した東北大震災の影響により、多くが積み残しとなったままで発表された。直後に検討委員会として「あり方委員会」が立ち上げられ、標準管理規約の改正作業を行うこととなった。本年3月14日に発表された「標準管理規約」と「マンションの管理の適正化に関する指針」の改正結果の内容を検討することにより、管理組合が適正なマンション管理を行ううえでの、今改正による有益な部分とともに、議論を呼んでいる問題点について少し批判的に考えてみます。
<セミナー概要>
■改正事項の主な内容
今改正においては、「コミュニティ条項」の再整理(削除)と「外部専門家の活用」の部分が注目される。「コミュニティ条項」の削除については、良好な居住者間の関係を形成するという管理組合の実態を無視した改正という批判的な意見が多くだされている。「外部専門家の活用」は、居住者の高齢化などにより管理組合の運営に支障が生じているケースもあり、検討するべき項目ではあるが、管理組合内のチェック体制の構築面など課題が多く、拙速に取り入れることは大いに疑問がある。その他では、暴力団等の反社会的勢力の排除規定において、賃貸に限定し、譲渡について規定していないのはどうしてか。また議決権割合に住戸の価値割合を連動させる、とのコメントや理事会への代理出席等のコメントの追加も再考が必要と思われる。災害時における管理組合の意思決定や緊急時の理事等の立入り、については一定の評価ができる。
■今後に向けての課題
管理組合にとって、対応や取組みが問題になりそうなのは以下の3点が考えられる。
1.民泊、脱法シェアハウス、寄宿舎問題
現在国は特区を進め、民泊を推進しようとしている。6月20日に、「民泊サービス」のあり方検討会の最終報告書が発表されたが、今後の法整備の進行状況や各自治体の動きを注視するとともに、管理組合それぞれで民泊、シェアハウス等への対応を考えておく必要がある。
2.町内会・自治会と管理組合理事会との連携
コミュニティ条項等の再整理、という表現で国交省も防災・防犯・美化・清掃等のコミュニティ活動は可能としており、今後、管理組合と自治会等との協力関係が重要となる。
3.管理組合の新たな問題
民泊などとも関連するが、空き室対策や滞納処理、また現在は大阪府だけだが管理組合法人への法人住民税の課税、といったものがある。
~次回開催予告~
■第142回スキルアップセミナー 2016年9月7日(水)午後3時から
テーマ:「施工ミスと施工偽装に学べる構造問題」
講 師:新保勝浩(1級構造建築士)
◎ 建築構造の専門家による、建設現場の施工ミスとその報道を検証します。