NPO集改センターで行われた第106回のスキルアップセミナーの報告をいたします。
開催日:2013年6月12日(水)
開催地:大阪建築会館
テーマ:管理組合の総会をシミュレーションする
講 師:枝 俊男
参加者:17名
管理組合の総会を模擬開催(資料1 凸凹マンション総会議案書)
凸凹マンションの議案書から問題点を抽出して議論を進める。
総会開催に関する疑問点を解消
当日のセミナーで協議した「Q&A」の結果の内、主なものをご紹介します。
ただし、参加者からの意見を集約したもので、これが絶対の正解というものではありません。
ケースバイケースにより異なる考え方もあると思われますので、あくまで参考意見として取扱ってください。
|
総会Q&A
<総会準備>
Q 総会の招集通知はいつまでにするのか。
⇒ 凸凹マンション管理規約第43条(招集手続)参照
2週間前/緊急5日前
「2週間前迄に」は、
5日が招集を発する期日となる。
開催日から数えて14日前(6日)の前日となる
|
月
|
火
|
水
|
木
|
金
|
土
|
日
|
|
1
|
2
|
3
|
4
|
5
|
6
|
7
|
8
|
9
|
10
|
11
|
12
|
13
|
14
|
15
|
16
|
17
|
18
|
19
|
20総会
|
民法:第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。
ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
Q 総会の延期をする場合の通知は何時までにするか。
① 総会の前日までに通知が到達すれば良い。
結論
「総会の前日までに通知が到達すれば良い」 到達とは届かなければならない。
<会場受付>
Q 委任状を持たずに奥様が出席してきました。出席を認めてよいか。
⇒ 期限までに提出を求めていた、出席届も委任状も提出が無いので断る。
⇒ 本人から予め議決権行使書が提出されていた場合は。
⇒ 夫婦で来た場合。
結論
奥様であることが確認できれば出席を認めてよい。
委任状や議決権行使書を総会開始前までに提出されれば有効
提出期限は会場整理等でお願いしているだけに過ぎない。
奥様が本人の了解を得ていると説明すれば信じるしかない。
夫婦で来ても議決権行使は組合員に限る。傍聴席に座ってもらう方法もある。
Q 総会出席者・賛否のカウントに遅刻してきた人を入れるか。
無視する。入場後の審議にはカウントする。
特別決議(3/4以上 ⇒ 75)
(総組合員数100)
|
総会開始時
|
決議時
|
|
採決(賛成)
|
委任状
|
40
|
40
|
|
40
|
議決権行使書
|
25
|
25
|
|
20
|
参加者
|
13
|
17
|
|
16
|
出席総数
|
78
|
81
|
|
76
|
総会成立説明 ⇒ 委任状40+ 書面行使25+ 参加者13 = 78名の出席
開始時 ⇒ 委任状40+ 書面賛成20+ 参加者13 = 73 ⇒ 否決
議事録 ⇒ 委任状40+議決権賛成20+会場賛成16 = 76 ⇒ 可決
結論
議案審議に間に合っておれば、その議案の議決権行使は当然できる。
<総会審議>
Q 議事録署名人の指名は、議案審議の前にするのか、最後にするのか。
審議の前にする ⇒ 途中で退場したらどうする。
最後にする ⇒
結論
どちらでも良い。一般的には審議に入る前に指名する。もし急用が出来て指名された署名人が退場してしまった場合は、最後に指名人の変更をする。(議事録署名人は総会の最初から最後まで出席した方にするのが望ましい。)
Q 5月26日の通常総会で役員改選が行われ、総会終了後に理事長を互選した。
新理事はいつから就任するのか。
結論
総会の終結をもって新理事が就任したと考えられる。(会社の株主総会と同様)
総会後に新理事で理事長他の役職を互選する。
Q 開会前に「委任状」「議決権行使書」の有効性を確認したいから、見せろと言われた。
① 見せなければならない。
② 管理者の責任で行っているので見せる必要はない。
結論
「監事の立会いで適正に確認しております」という説明で足りる。
見せる義務はない。見せても良い。
「管理会社(第三者)に確認させております」という方法もある。
つまり、議案を通そうとする理事が確認したというより監事や第三者の確認が客観性を担保できる。
Q 採決の方法はどのようにするか。
① 異議ございませんか~~ 異議なしと認め本議案は可決されました。
② 賛成の方は拍手をお願いします~~賛成多数と認め・・・・・・
③ 反対の方は挙手願います~~
④ 賛成の方は挙手願います~~
⇒ 賛成の数を報告しなければならない
⇒ 賛成と反対の両方を報告しなければならない
結論
普通決議において、委任状等で過半数が確保されている場合は、①、②、③、④どれでもよいが、通常は賛成の挙手を求めるのが望ましい。
4分の3、5分の4決議の場合は、賛成数・反対数・棄権数を正確に数えて、議事録に記載するのが良い。
Q 議長は自らの議決権を行使できるか。
① 行使できる
② 行使できない
⇒ 「可否同数の場合議長が決する」という規定がある場合
結論
「可否同数の場合は議長が決する」と規定がある場合は、議長は自身の議決権は行使せず(ただし、議長に委任された議決権は行使する)、可否同数の場合のみ自身の議決権を行使して決する。
可否同数の規定の無い場合や特別決議の場合は、議長も自身の議決権を行使すればよい。
国会の議長は議案提出者ではない。議長は議員であっても議決権は行使しない。
マンション総会の議長(理事長)は議案提出者であり区分所有者であるから、議決権行使するのが自然である。そのような考えにより、以前可否同数規定のあった標準管理規約が見直され、可否同数規定は削除されている。
以上が、セミナーでの結論ですが、これらの結論に達するまでには、関係法令やマンション総会での実例等の紹介・さまざまな意見が交わされ、喧々諤々 オーバーヒート寸前の参加者は、熱心に議論をたたかわし、誠に有意義なセミナーでした。
2時間があっという間に終了し、時間切れで少し物足りないままの終了でした。
このようなスタイルのセミナー(議論参加型)も楽しく、大変勉強になりました。
次回スキルアップセミナーは7月10日(水)です。
テーマは「マンション設備の雑学」~調査から知るマンション設備~
設備のスペシャリスト「藤井英司氏」の講演です。
管理組合の方、コンサルの方必見です、奮ってご参加ください。
|
|