マンション組合員が管理組合に疑いをもって「会計帳簿」や「組合員名簿」の閲覧請求をしてきました。さてどのように対処しますか。
<マンション標準管理規約>
(帳票類の作成、保管)
第64条
理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
<東京地裁判決(平成21年3月23日)の概要>
税理士である組合員Aが、上記の管理規約を根拠に「会計帳簿」「組合員名簿」等相当量の閲覧と謄写を求めてきたが、管理組合に拒否されたために提訴。
裁判所は、Aの請求を一部認めました。
その内容は、組合員名簿について、住所、電話番号を含む閲覧を認めるかを、本人個別に同意を取り、同意する組合員については、名簿を閲覧させなければならない。としましたが、会計帳簿の全般的閲覧は認めませんでした。
閲覧請求の当否を判断する基準について、裁判所は、以下のように説明しています。
1.
管理規約は、管理組合に監事を置くこととし、組合の財産状況等の全般的調査の権限と義務とを監事の役割としており、組合員一般に会計帳簿等に関する全般的調査、監査権限を認める趣旨の規定はない。
2.
各組合員には、監事になり代わって調査、監査する包括的監査請求権はなく、相応の具体的理由がある場合は、その関連性のある書類に限定した範囲において閲覧を求めることができる。
<マンション管理士の独り言> 監事の会計監査は信頼できるのか。
総会で選任され、組合員の信託を受けた監事さんの責任は重いものがありますね。
しかし会計監査については専門家でもなく、管理会社からの説明を受けて監査終了とする管理組合が普通ではないでしょうか。
それが問題だ!・・・と主張するのなら、公認会計士や税理士等の専門家に「第三者監査」を依頼するしかありません。
管理組合の活動は、「ウエルカム」と「性善説」を基本とするコミュニティの形成で成り立っています。これに反旗を掲げ、重箱の隅をつつく組合員がときどき居ます。
人間国宝の、故「柳家小さん」師匠(あの、まん丸こ~い顔の五代目)の話です。
~ わたしゃ重箱の隅をつつくのがいやでねえ! だから、好物の「うな重」は「丼」に入れてもらいます。これで万事、ま~るくおさまりますねえ ~
集改センターの出張集改塾のご報告です。
8月21日、旭技建(株)に出向いて集改センターの集改塾を開催しました。
6月の建装工業(株)に続いて匠の会(賛助会員)への出張集改塾です。
40名の社員の前で、「改修業者の役割(責務)」をテーマに約1時間半の講演となりました。
集改センターの9月の「スキルアップセミナー」を下記のとおり開催いたしますので
奮ってご参加ください。
------------------------------------------------
「コンクリートのひび割れ原因と耐震性能について」
開催日時:9月2日(水)午後3時~5時
講 師:新保 勝浩 氏(本会正会員/設計監理事業部・構造設計一級建築士)
参 加 費:会員1000円/非会員2000円(講師料、会場費、資料代に充当します。)
開催場所: 大阪建築会館(会議室)
申 込 み :9月1日(火)迄に電話・FAX・メールでお申込みください。
<お願い>スキルアップセミナーは予約制です。
申込み締め切り後の急な参加も歓迎いたしますが、
必ず事務局まで電話で連絡願います。
事務局不在のときはFAXかメールをお願いします。
NPO集改センター恒例の第130回、スキルアップセミナーの報告です。
開催日:2015年(平成27年)8月5日(水)
テーマ:「マンションの組合員名簿・緊急連絡先名簿で気を付けたいこと」
講 師:木村長敏(NPO法人 集合住宅改善センター正会員、管理運営事業部)
<セミナー概要>
■個人情報保護法の誤解で名簿作成が困難に
個人情報保護法で保護されているから、名簿は出したくないと理解する方が多い。
個人情報の流失事件がマスコミ報道されるにつれ、ますます届出しない組合員や居住者が増えていす。
■管理規約で提出が義務付けられています。
規約で組合員の変更は届出が必要となっており、出さない場合は規約違反。入居者名簿も規約や細で規定されているが家族や緊急連絡先の変更があった場合に、変更届けする人は少ない。
管理組合で名簿の管理をするのは難しい課題です。
■マンション管理センターが公表した「名簿の取扱いに関する細則」について
管理組合が保有する名簿の取扱い細則を制定している管理組合は少ないとい思います。
管理組合で「名簿細則」を制定するのが望ましい。これで、安心して諸届出をしていただくことに有効とることを期待したいものです。ただし、細則モデルの条文だけを見て、早計に検討しないでください。条文の解説をよく理解して検討してください。
例えば、第9条(組合員名簿の閲覧)という条文がありますが、組合員の氏名等を縦覧するような閲覧のことではありません。利害関係人が必要とする目的となる部分の閲覧が原則と思われますが、閲覧請求による対応方法(対応マニュアル)等をしっかりと固めておく必要性を感じます。
■要援護者名簿について
災害時に自力で避難できない方の名簿は必要ですが、これは管理組合がすることなのか、自治会なのか、地域の自治会や民生委員との連携等、課題は多いと思います。
木村マンション管理士のいつもの熱弁と、参加者による議論で2時間があっと言う間に終了。
~ 次回予告:第131回スキルアップセミナー 9月2日(水)午後3時から ~
テーマ:「コンクリートのひび割れ原因と耐震性能について」
集改センターより、第16回集改塾の報告をいたします。
8月5日(水曜日、午後7時~8時30分)、16回目の集改塾、テーマ「外壁タイル補修工事の施工管理について」を開催しました。
この日は、塾長&塾生の体験談を基にディスカッションの塾となりました。
<塾生(川戸雄貴 ㈱カシワバラ・コーポレーション)の声>
今回の講義で、私たちは現場代理人として重要な責務を忘れている事に気づかされました。日常業務の中でお客様との接客、書類の作成などに重点を置くあまり、現場をじっくり見て、より良い施工方法、仕様の適正などを見返す時間が無くなっている気がします。
お客様とコミュニケーションを計り、良好な関係性を気付く事は、とても重要な事ではありますが、それ以上に工事のプロとして、長期的に良好な状態が続く施工を提供し、マンションの価値を向上させる事も重要なファクターだと感じました。そのためには、自分自身の知識の引出しを増やし、建築に携わるプロである意識を持つことが大切です。
例えば、今回学ばせていただいた外壁タイルの修繕についてですが、作業員任せになってしまい、なぜ浮いていたのかという原因追究が出来ていない状況があると思います。やはり浮いているには何か原因があり、それを解決して修繕しなければ、本当の意味での修繕にはなっていないのではないでしょうか。
そのためには、施工要領書を作り、現場に合った形に見直し、施工中・施工後の確認を行う必要があります。作業環境においても、改修だから仕方ないと言い訳している事が多々あります。しかし、それを言い訳にして劣悪な作業環境の中でいい仕事を要求するのは、間違っています。今回の講義を通じて、今一度、自分自身のやってきた事を振り返ってみようと思いました。大規模修繕工事に携わって6年・・・。殻を破っていきたいと思います。
今回の講義感じた気持ちを秋の現場にて活かせるよう精進していきたいと思います。
<塾長の声>
この日の塾は、私が7月に東京で受講したセミナー(漏水トラブル対策セミナー)内容と現在工事中のタイル張り外壁の改修工事の現況報告から始まり、塾生の意見交換で終了しました。
NPO集改センターの枝副代表より投稿がありました。
マンション管理士の独り言!
震災と津波で壊滅状態となった福島県女川町が、住民による復興計画第一号を完成させたそうです。他では住民による復興計画は遅々として進まないところが多いと報道されています。
なぜ、女川町が出来たのか?「還暦以上は口出すな!」と、若者中心で復興計画を進めた結果と言われています。
若者が還暦以上を排除したのではありません。還暦以上の方々が、若者に将来をゆだねて、進めたのです。(若者が戻ってこないと町の再興はありえない!)
管理組合の運営で、最近感じることがあります。
今、マンションでは高度成長期に活躍してきた団塊世代以上の高齢者がお元気です。元気のあまり、総会で理事会を批判する、自己主張や持論を声高に発言する。専門委員会に参加して自己主張を押し通す。
若い世代が、このような場面を見て、どう感じるでしょうか。
管理組合の役員にはなりたくない!と考え、“仕事が忙しい”などと理由をつけて、管理組合の活動に係わりたくないとの思いから無関心派を装います。
高齢者の方にお願いしたい!
豊富な人生経験と知識を管理組合活動に役立ててください。
しかし他の意見にも耳を傾け、取り入れる姿勢をお持ちください。
特に、若手の組合員の参加意欲を引き出してください。
マンションの将来の繁栄は、これから長く生活する若手の意見が反映されるべきと考える今日この頃です。
NPO集改センター恒例のスキルアップセミナーのご案内です。
「マンションの組合員名簿・緊急連絡名簿で気を付けたいこと」
<セミナー概要>
個人情報保護法、プライバシー権等、情報の取得や名簿の管理が難しくなってきています。マンション管理センターが発刊した「名簿取扱い細則」を検証して、議論したいと思います。
------------------------------------------------
開催日時:8月5日(水)午後3時~5時
講 師:木村 長敏 氏(本会正会員/管理運営事業部・マンション管理士)
参 加 費:会員1000円/非会員2000円(講師料、会場費、資料代に充当します。)
開催場所: 大阪建築会館(会議室)
申 込 み :8月4日(火)迄に電話・FAX・メールでお申込みください。
<お願い>スキルアップセミナーは予約制です。
申込み締め切り後の急な参加も歓迎いたしますが、必ず事務局まで電話で連絡願います。
事務局不在のときはFAXかメールをお願いします。