事務所に入ると
アルバイトちゃんが店長とサシで話していました
毎月の売り上げに影響するお買い上げを戴く、隣接の商業ビルのオーナー夫人を
激怒させてしまった咎で、ことの顛末を報告させられているよう
もとより異様に気配の無い彼女の声はとてもか細く、マスクを越えて来ない
相手が高齢の場合、齟齬が生じる事は容易に想像がつきました
「じゃあ、順番に見ていくから、説明してくれる?」
店長はレジの真上に設置された監視カメラからの映像データを操作する
球体のコントローラーをグリグリ回しながら
コマ送りで彼女の接客のチェックを始めました
「うーん・・ここが聞こえたらいいんだけど・・」
お客様が激昂を始める直前のタイミングを何度もリピートさせて
スピーカーに張り付く店長は
本社へのレポートという名の始末書を
どう書こうか考えているのでしょう
私と言えば
画面の中で見切れている<隣のレジで働く自分の頭頂部>を
注意深くチェックしていました
むう、、この<頭頂の肌面積>はアリなのか
ナシなのか・・
ナシと言われても金もなし
店内に防犯カメラは十数台あって
レジ上のカメラは録音もしている事を教えてくれたのは
若頭と呼ばれた中堅社員でした
50代最年長パートとして転職した当初
女性陣の警戒心からほぼほぼ放置プレイを受けてきた私には
彼はとても頼りれる存在で、同じシフトだと安心できました
私のやらかしを処理しつつ
お釣りの小銭の渡し方のコツや
使える常套句の種類を増やしてくれたりして
きめ細かな知恵をつけてくれました
三年経った今でもそれは私の接客の土台です
いつだったか、
機械の誤作動に対応しきれず、急ぐお客様を怒らせてしまった時
風のように現れてパートのワタシに成り代わり、
社員として平謝り
からの「これは麦さんには対処しきれない案件だから、気にしないでください」
と慰めてくれたのは本当にカッコ良かった
そこへ先輩パート(50)さんが半べそのゼスチュアでやってきて
「若頭、今度は分身の術を使って、私のところにも来てくださいねぇ」
と擦り寄って来たことも
忘れられない思い出
(うっわぁ
キモっ!( ̄◇ ̄💧))
ドン引きした私
美人で寡黙で人当たりは物凄く優しいのだけど
寡黙の中にそこはかとないオーラの出る人で
この時も
(あなたのせいでこっちは大変だったんだから)
メッセージがしっかり横顔から出てました
(トラブルを普通に報告したらいいのに・・)
(半べそが可愛いのは30代までやで・・いくら美人でもキツイわ)
(分身の術とか昭和ダダ漏れやんw・・)
と言った失礼極まりない
全くけしからん脳内小人達の声を押し隠し
「すみません、ご迷惑おかけしました」
と彼女が聞きたいであろう言葉を贈っておきました
( ̄▽ ̄’)ゞ←おいただけかい!
贈りながら
彼女は若頭が好きなんだろう
と確信しました
デキるイケメンといじられキャラのハイブリッドで
下から慕われ上からイジられ、間違いなく全方位から愛されてた
そういう人ほど異動が早いのは
前職も現職も同じようで
程なく他店への栄転が決まったと聞きました
ああ
本題はどこにあるのか
今日はそんな話で
〜( ̄▽ ̄)ノシ
📹🎥🎥
ありがとうございます
fight( ̄ー ̄)ノシ❤