アリかナシかのボーダー (￣皿￣)🍦🥤

４０過ぎた頃、決めたことの一つに

「普通こうでしょ？！」

という言葉はもう出来るだけ使わないことにしよう・・

というのがあります

人の「普通」はそれぞれ微妙に違うので

前職の食品フロアで

床におもらしをしてしまった子供がいました

その母親は激昂し、なぜこうなる前に早く言わないのかと叫びつつ

子の腕を引っ張って出口へ向かいます

黄色い足跡を残しながら外へ引きずられる子供が言うのです

「ねえ、ねえ、でも、店員さんに謝って片付けてもらわなきゃ・・」

幼稚園ではみんなそうやって先生に申し出て

片付けてもらうのでしょう

しかし母親は、ぷりぷり怒りながら

「いいのよ！店員さんが見つけたらやるんだから！それがお仕事なの！」

いやいやいやいや・・それはそうかもしれないけれど

ツッコミどころ満載で

この時ほど、自分の職業の地位の低さを感じたことはありませんでした

知ってたことでもあるのでいいのですが

失われた教育の機会というか

なんというか

幼い少年の無垢な魂が歪まないように祈りました

今回の職場でも

フロア掃除が当番制で割り振られます

道具の使い方は任されており、結果綺麗になればどうやってもいいことになってます

店内はセラミック製のツルツルの床で覆われているので

ドライモップと濡れ雑巾でやる人もいるし

その日の汚れによって変わってくるのですが

ワタシは昔学校の廊下を掃いていた「自在箒」で一通り履いてゴミを取り去り

箒では取れない床の汚れ

テスターの口紅・化粧水の雫・靴裏についた泥

台車のキャスターの樹脂が摩擦でこびりついた跡は

ウエットダスターで拭き取るよりも

金属のヘラで擦って、粉末になった汚れをドライモップで拭うのが一番効率がいいことを学習しました

しかし夏になって

この汚れの中に、透明の茶色だったり

擦ると薄く渇いた飴状の粉になる白い何か、が増えているのを感じていました

正体がわからないのは不気味だけれど

綺麗になるならいいかとやり過ごしていましたが

この間その正体がわかった

「ねえねえ店員さん、◯◯って置いてないの？」

オフショルダーのトップスからツルツル輝く小麦色の両肩を

惜しげなく披露した若い女の子

その手にはなみなみと注がれたアイスコーヒーがあって

案内する私についてくる間も

右へ左へコーヒーが揺れ、パシャパシャと薄いプラカップの蓋に波打っては

そのうちの数滴が床に落ちてゆく

「・・主訴を解消する成分は同じなんですが、肌荒れ・整腸・鎮痛目的の成分が加味されていてそれぞれパッケージが違うんです」

「そうなんだあ・・」

ちゅうちゅう

人の話を聞くときは、飲食を控えなさい！

我が子なら絶対そう言うんだけれど

お客様にはもちろん

ノーコメント

一つ一つ箱を手に取りながらすするコーヒーなんて

ちゃんと味覚が感知されてるんだろうか

おしゃぶりみたいになってない？

心の中でそう呟きながら彼女を眺めていると

「カリフォルニアではもっと効くのがあったんだけど、日本ってどれも緩やかなのよ

あ、先週まで向こうにいたんだけどー」

聞いてないし！

出たし！

この国際感覚のズレ

大きいなあ

その後

レジ当番になってやってきた別のお客様は

カウンターに歯ブラシと歯磨きを放り投げるように乗せると、

目の前でマスクを下げて

やおら手に持ったソフトクリームを舐めだしてびっくり！

思うに、＜店内ではマスクを＞と思われたのでしょう

でも、マスクしてると舐められなくなって、いよいよ溶けてきちゃったから

レジで舐めることになったのでしょう

私は機械のように語りかけます

「お買い物袋はどうされますか」

その時の彼女の顔は忘れられません

アイスを横にして、垂れるミルク溶液を大きく突出した舌で受け取りながら

顎を左右に振り

「いやあい」

テイクアウトで歩き食べ

というのはどこまでアリなのか

ソフトクリームを持ったままの入店って「普通ナシ」ではないのか？

レジを打ちながら

人間が常に自分の姿を目視出来ない恐ろしさを

この時考えました

私と対面して大口をあけ

ねろねろとクリームを舐め取る彼女を目の当たりにして

もしかして認知機能に障害がある？

とまで思ってしまったのは

私が遠い昭和に教育を受けた、古くなった人間だからでしょうか

「ワタシの普通」はどんどん薄まってる

彼女が落としていったいくつかの水滴が＜乾くと飴状になるそれ＞だと判明しました

あまり言われないけれど、ドラッグストアは「大人のお店」です

客層は圧倒滴に１８歳以上

保護者なしでやってくる子供はまずいない

その「大人の床」に落ちているアイスや飲み物の汚れ

それを除去する作業は

おそらく遊園地の掃除とは全く違う虚しさがある

んだろうなあ・・

なんて思いながら擦り取ります

小さな力でカリカリと汚れが取れるので

作業自体は楽しいですけども

先月末、

郵便局のATMに並びました

駅前なのにマシンが一つしかないので、いつ行っても結構な行列が出来ています

私が最後尾についた時

先頭の人は、四、五冊くらい通帳を持っていたので

一回じゃ終わんないんだろうな・・と覚悟していたのですが

それにしても時間がかかりすぎやないか？

普通こんなに長く専有しないよね？

＜通帳をお取りください＞

＜ありがとうございました＞

機械が繰り返すこと4回。

彼女はまあだ用があるよう

流石に行列全体がゆらゆらと揺れるような空気を醸し出している

やっと作業が終わったその人の顔をちょっと見てやろうと思った人は

イラチのワタシだけではないでしょう

でも、彼女は

まるでそこに人がいないかのように、通帳を見つめながら悠然と出て行きました

これは私は前から思っていた案件です

（・・・・こういうのって普通なの？）

もちろん

後ろの人全員に頭を下げろとは思わないし

1通帳ごとに並び直せなんて絶対に言わないけれど

小さなボディランゲージ一つで

人の気持ちは良くも悪くも容易に伝わるわけで

（なんかないの？(￣▽￣)）

と思ってしまう自分を持て余します

一般に

おはようやこんにちは

と声をかける作業の意義は

＜私はあなたの存在を感じていますよ、よしなにね＞

という表明だからだそう

「挨拶がない」

とは

コチラがアウトオブ眼中である証明となり

心穏やかでなくなるのだ・・

こんなに待ってるワタシがいるのに気がつけや！

もっと申し訳なさそうにしろや

って

ワタシは思ってるんだな

そんなことを思っていたら

ちゃっちゃと用を済ませた私の前の人が振り向いて

＜お待たせ

さあ、youの番だ＞

と言わんばかりの目配せを送ってくれました

こういう時の海外の人の顔芸（←違）

豊かで心溢れる表情は

・・・アリだわあ

(￣▽￣人💗)

お辞儀や会釈と違って

なんか対等なのがいい👍

どうせなら

こういう国際化がしたい

っていう

今日はそんな話

〜(￣▽￣)ﾉｼ

🍦🥤🍦