読書備忘録

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荻原浩著「二千七百の夏と冬」上・下

2015-05-10 | 荻原浩
縄文時代と現代が交互に展開される古代冒険小説。舞台は2011年の大震災のあった年の夏。
関東地方のダム建設工事の掘削作業中に3千年ほど前とみられる2体の人骨が発見される。
調査の結果この人骨は、縄文人時代男性と弥生人の特徴を持つ女性の人骨らしく、二体は手を重ね、顔を向け合った姿であった。
取材していた新聞記者の佐藤香椰は、この恋人同士とみられる二人にいったいどんなドラマがあったのかと
次第に謎ときにのめりこんでいく。
紀元前7世紀、東日本。ピナイの村に住むウルクは15歳。5年前に父を亡くし、一家を支える働き頭だが、
猟ではまだまだ半人前扱いで、いろいろと悔しい目にあうことも多い日々。
近ごろ村は、海渡りたちがもたらしたという神の実 米=〝コーミー〟の話でもちきりだのが、同時にそれは「災いをもたらす」元凶とも噂されていた。・・・
学術的にも不明な部分が多く解らない部分の多い古代人の生きた時期が小説の題材に選ばれていて特に縄文末期と弥生初期とが重なり合っていた時代という設定で狩猟民族と農耕民族の生活や暮らしぶりを背景に著者ならではの想像力を駆使して珍しく面白い考古学的歴史ミステリーとしても楽しめた。違う文明との遭遇、貧富の差や当時の暮らしぶりなど想像力が掻きたてられた。
2014年6月双葉社刊

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