妊婦の歯科指導には、大きく分けて妊娠前、妊娠中、出産後の3つに分けられると考えています。
1.妊娠前の歯科指導
歯はいつごろからできるのか知っておく必要が在ります。乳歯は胎生7週ごろからでき始めてきます。永久歯の第一大臼歯は胎生3.5~4ヶ月ごろ、第二大臼歯は胎生8.5~9ヶ月ごろからでき始めます。つまり、妊娠中の食習慣の乱れは、そのまま子供に影響を与えてしまいます。栄養のバランスの取れた食習慣に心がけましょう。(カルシウムのみ摂取しても無意味です。)
最近は少子化のため、2子、3子と出産される方は少ないですが、仮に一人っ子として考えてみても、母親は大変です。妊娠中母親にむし歯や歯周病が見つかり治療しようと思っても、妊娠中の診療は難しいです。産後0歳児を抱えて診療は現実的に出来ません。薬を服用するにしても母乳に影響が出ます。0歳保育園に預けたとしてもなかなか難しいです。結局、子供が幼稚園に行くようになるまでは治療は難しいことになります。ということは、むし歯や歯周病の治療が発見されてから3~4年放置されてしまうわけです。この場合、重症になりかねないと思われます。
以上のようなことにならないためにも、妊娠前に治療や指導を受けることが重要なのです。
2.妊娠中の歯科指導
①妊娠中の母親の悪阻(つわり)(妊娠2~4ヵ月頃出現)と歯科領域からみた不都合な変化
1)悪心、吐気、食欲不振
2)食物の嗜好の変化
酸っぱいものを好む
甘味類を好む
3)口腔内の酸性化
唾液のpHが変化
4)唾液の粘稠度の増加
5)ホルモンバランスの変調
6)口腔の易不潔化
プラークコントロールが不十分
口内細菌が増加
以上のような変化が、結果的にう蝕の増加、歯周疾患の増加(妊娠性歯周炎の発症)、口内炎が起こります。
注)妊娠とう蝕・歯周疾患との間に直接的な因果関係はないといわれていますが、悪阻(つわり)があったり、十分な□腔内清掃がしにくい環境となるので、二次的に歯科疾患が増すと考えられています。
②悪阻(つわり)発生時に対しての指導
1)プラッシング時に嘔吐を生じやすいので、顎をひき、顔を下向きにした刺激の少ない方法とします。
2)歯プラシは小回りのきく小さめのものとします。
3)口腔清掃に関心を待たせる指導を心がけます。
4)個人に合った確実な方法を考えます。
5)後方歯の清掃が難しいので注意します。
③妊娠中の注意事項
1.母体の歯と口腔の健康維持のために
・歯科疾患の予防(ブラッシング他)
・歯科疾患の早期治療
・定期健康診査(定期健診)
※審査結果、指導、処置内容については母子健康手帳の妊娠中と産後の歯の状態の欄に記載。
2.成長中の胎児の健康を守るために
・歯が正しく健全に作られるようサポートする
・良質のタンパク質の摂取
・無機質、ビタミンA、Dの摂取
・新生児期や乳幼期に対する口腔衛生上の注意を妊娠中に与えておく
3.出産後の歯科指導
①乳幼児の歯科的指導(今回は省略)
②母親の歯科的指導
時間があるならば、歯科健診、歯科治療を受けるべきです。1.妊娠前の歯科指導のコーナーで説明したとおり母親は子育てに追われます。自己管理は十分行うべきと考えます。
・丁寧なブラッシング(歯磨き)に心がける事。
・染色剤を用いたブラッシングも有効と思います。
以上簡単ですがまとめて見ました。参考にしてください。
参考資料: 五十嵐 清治 ほか :歯科衛生士 2004.VOL.28 1 56~61
1.妊娠前の歯科指導
歯はいつごろからできるのか知っておく必要が在ります。乳歯は胎生7週ごろからでき始めてきます。永久歯の第一大臼歯は胎生3.5~4ヶ月ごろ、第二大臼歯は胎生8.5~9ヶ月ごろからでき始めます。つまり、妊娠中の食習慣の乱れは、そのまま子供に影響を与えてしまいます。栄養のバランスの取れた食習慣に心がけましょう。(カルシウムのみ摂取しても無意味です。)
最近は少子化のため、2子、3子と出産される方は少ないですが、仮に一人っ子として考えてみても、母親は大変です。妊娠中母親にむし歯や歯周病が見つかり治療しようと思っても、妊娠中の診療は難しいです。産後0歳児を抱えて診療は現実的に出来ません。薬を服用するにしても母乳に影響が出ます。0歳保育園に預けたとしてもなかなか難しいです。結局、子供が幼稚園に行くようになるまでは治療は難しいことになります。ということは、むし歯や歯周病の治療が発見されてから3~4年放置されてしまうわけです。この場合、重症になりかねないと思われます。
以上のようなことにならないためにも、妊娠前に治療や指導を受けることが重要なのです。
2.妊娠中の歯科指導
①妊娠中の母親の悪阻(つわり)(妊娠2~4ヵ月頃出現)と歯科領域からみた不都合な変化
1)悪心、吐気、食欲不振
2)食物の嗜好の変化
酸っぱいものを好む
甘味類を好む
3)口腔内の酸性化
唾液のpHが変化
4)唾液の粘稠度の増加
5)ホルモンバランスの変調
6)口腔の易不潔化
プラークコントロールが不十分
口内細菌が増加
以上のような変化が、結果的にう蝕の増加、歯周疾患の増加(妊娠性歯周炎の発症)、口内炎が起こります。
注)妊娠とう蝕・歯周疾患との間に直接的な因果関係はないといわれていますが、悪阻(つわり)があったり、十分な□腔内清掃がしにくい環境となるので、二次的に歯科疾患が増すと考えられています。
②悪阻(つわり)発生時に対しての指導
1)プラッシング時に嘔吐を生じやすいので、顎をひき、顔を下向きにした刺激の少ない方法とします。
2)歯プラシは小回りのきく小さめのものとします。
3)口腔清掃に関心を待たせる指導を心がけます。
4)個人に合った確実な方法を考えます。
5)後方歯の清掃が難しいので注意します。
③妊娠中の注意事項
1.母体の歯と口腔の健康維持のために
・歯科疾患の予防(ブラッシング他)
・歯科疾患の早期治療
・定期健康診査(定期健診)
※審査結果、指導、処置内容については母子健康手帳の妊娠中と産後の歯の状態の欄に記載。
2.成長中の胎児の健康を守るために
・歯が正しく健全に作られるようサポートする
・良質のタンパク質の摂取
・無機質、ビタミンA、Dの摂取
・新生児期や乳幼期に対する口腔衛生上の注意を妊娠中に与えておく
3.出産後の歯科指導
①乳幼児の歯科的指導(今回は省略)
②母親の歯科的指導
時間があるならば、歯科健診、歯科治療を受けるべきです。1.妊娠前の歯科指導のコーナーで説明したとおり母親は子育てに追われます。自己管理は十分行うべきと考えます。
・丁寧なブラッシング(歯磨き)に心がける事。
・染色剤を用いたブラッシングも有効と思います。
以上簡単ですがまとめて見ました。参考にしてください。
参考資料: 五十嵐 清治 ほか :歯科衛生士 2004.VOL.28 1 56~61