先日、友人よりファックスが届きました。
小生のブログとしては長いのですが大変、面白いのでここに記載します。
この記載については、本人の了解を得ております。
おおしま あきら先生
お忙しい中、日々の仕事に追われてしまい、“笑い”を忘れていませんでしょうか。以下の噺が、この“くそ”いそがしい生活で、清涼剤のひとつにでもなれば・・・。
愛犬騒動顛末記“懐かしの番犬シルト”
****で御座います。さくらんぼの美味しい季節ももうまもなくです。さて、過去にあった不肖****家の“どたばた”劇をご報告を致します。
家には、室内犬としてキャバリア牝2匹がおりますが、一昨年も前の事ですが、防犯の為に警察犬訓練場からシェパード2歳牡を急遽訓練所現場まで行きまして買い求めました。何匹かの訓練犬を見させて貰いました。その中にわたくしと目が合うとしきりに尻尾をふりふりする犬がいたのです。訓練犬にしては、やけに愛想がいいなと、少し嬉しくなり気に入ってしまいました。彼の名前は、“シルト”と名付けられておりました。その場で尻尾を激しくふりふりしている犬に決めました。そして我が家に連れて帰りました。
夜間は、我が家は、いわゆる二世代住宅で御座いますが、その二世帯住宅の母方2階屋外ベランダで飼う事となりました。毎朝7時前にベランダの掃除(オシッコ場のマットを換える等)を行ってから、食事をさせた後に、散歩をしております。散歩は、一日2回する様に致しておりました。毎朝、大きな身体(後足で立ち上がると、わたくしとほぼ同じ位)を、ゴロンと仰向けに寝転がって、お腹を見せ、ベランダのゴミが吹き飛ぶほど盛んに尻尾をふりふりします。しかし、さすがに訓練犬らしく愛想がいいのはわたくしと母だけで、他の人には“無視”または挙動不審な者には、吠えて威嚇、その後に攻撃というパターンでした。
ある日の事です。その日は朝から小雨空模様でしたが、ベランダに犬の抜け毛や埃等が風で飛んで来ていて汚かったので、ベランダ角にある水道の蛇口にホースを繋げて水で洗い流そうと致しました。水道蛇口にホースをねじ込もうと手に力を込めた瞬間に、わたくしの後ろから、例の服従ポーズの朝のご挨拶あとに歓びながら、長い舌を出して、ハフハフ言いながら、わたくしにまとわりついて来ました。そんな可愛いシルトに気を許してわたくしは、背中を向けました。我が家の勇猛なる猛々しい番犬シルトが、彼の長ーいお鼻を、不肖****の可愛いお尻の割れ目に鼻面を押し込みました。寝間着の薄い布地という事もあり、****は、心構えも無かった突然の事もあって、不意打ちを食らい『ひゃっ』という奇声と共に、想わず変な風な気合いと共に、ホースを握っている手と股間にとても大きな力が入ってしまい、蛇口を接続されている水道の塩ビパイプごと、蛇口を気合いと共にもぎ取ってしまいました。****は、肝が据わっていない小心者です)いわゆる人(犬)為的な?水道管破裂(破断)です・・・右手にはホースの繋がった蛇口と水道管の一部があります、それを見て、想わず声が出てしまいました。ああああ・・・っ。
滝の様な大きな音と共に、もの凄い勢いで水道水が飛び散りました。不肖****は、頭の中が真っ白になり、あわてて思わず断裂した水道のパイプに左の親指を入れて止めようとしました。(以前に、心臓外科榊原先生の書物で、手術中に心臓動脈を損傷した際、指を入れて一時的に止血したと言う記述があったのを、無意識に覚えていたのでしょうか?)水道水は止まるどころか、勢いを狭められた事で、なおいっそう激しくなり、****の顔面と体を打ちました。その後いくらか正気を取り直して、二階ベランダのサッシ硝子戸を蹴破りはずす様な勢いで開けて、一階へ転がる様に降りて行きました。ずぶぬれの身体と手のままで受話器を握りしめて、電話番号調べの104へ怒鳴る様に電話をかけ、緊急時の際の水道局連絡先を調べました。しかしながら応対は、録音テープで、修理は午前8時30分からの出張受付開始との事でした。今度は焦りの奇声を『どっひぇー』と大声で発しながら、三階まで駆け上がり、あちこちひっかきまわして、やっと大工道具箱を探し出し、そのまま水道水も叫びの大声も出しっぱなしで、二階に駆け戻りました。しかし、どーやっても水が止まりません。水道管が折れてから二十分以上は経過しています。水道料金を想像すると眩暈がしてきました。『ああ、失神できたら・・・、気絶してしまう事ができたら・・・。これが夢だったら・・・どんなに良いだろう』と、思いっ切りの現実逃避をしながら、必死で考えてやっと、水道管の元を止めたらどうだろう(ここでやっと気が付くのはアホの極めつけですが・・・)と思い付きました。またまた、転がる様に一階まで降りて、頭から足まで全身びしょ濡れのままで、片方の足にはサンダル、もう一方には革靴、右手にペンチ、左手にスパナという、映画13日の金曜日のジェイソン真っ青の様相で、今思い起こしても、その姿を心に思い浮かべると、背筋に冷たいものが走ります。そんな非常に異様な出で立ちで、通勤通学途中の健全善良な近隣住民の皆様の前に飛び出してしまいました。しかし躊躇している場合ではないので、そのままのかっこで、家のまわりの公道を走り回って調べ、水道の元栓を見つけ蓋を開けて栓を閉じました。
ここまで三十五分経過しています。ベランダには踝まで水が溜まっていました。ぐっわあーーーーあああああ・・・。水道料金の請求書が・・・。実際には、5万円程多く請求がきたと記憶しています。水道料金の請求書が怖いと母に言いましたところ、それより何よりも近所の目が怖いと母に申しつかりました。
我が祖父遺言の『男子たる者は、親が死んでも走るな』を守れませんでした。その後修理して、蛇口と水道管を壁にしっかりと強固に取り付けました。壁ごと取れる事は無い事と安心しております。
通常は、徒歩で散歩をしておりますが、夜遅くなりますと自転車で運動をさせておりました。自転車のライトが、前方の路面を丸く照らし出すと、この可愛い元気な番犬“シルト”は、そのライトで出来た明るい輪を、あたかも逃げる獲物と思い込んでいるのか、人気のない夜半未明の商店街通りを、疾風のごとく、商店の閉まったシャッターをガタガタといわせながら全力疾走で、わたくしを乗せているフルブレーキ状態の自転車を丸ごと、犬雪車状態で引っ張って追いかけます。そして何を想い出すのか、満月の晩には月を仰ぎ観て遠吠えをする事がある・・・。二階では、換気の為にすき間を開けているベランダサッシ戸を、鼻先でこじ開けて中に入り込み、何も知らずに掃除をする為、二階に上がってきた家政婦へ、障子を蹴破り倒して家政婦へ飛びかかる等の、ほんの些細なやんちゃな行動の為に、元の訓練所に再訓練処置となりました。大きい体を、わたくしを見ると直ぐにお腹をみせて服従ポーズをとっていたシルト、そんな彼を想うと心が沈みます。
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