Riekoさんのお家は、デロレインの町から
さらに車で15分のところにある。
車で15分と言っても、日本と違って信号なしで時速60~80kmで15分だから、
街からどれくらい遠いのかよく分からない。
途中には羊や牛だけでなく、アルパカを飼っている農場もあり、
同じ景色が続くので、どこを走っているのか分からない。
タスマニアに住む彼女と日本に住む私がどうやって知り合ったのかと言うと、
2年前、デロレインのスーパーで主人と買い物をしている時に、
「へい、彼女、一緒にお茶でも飲まないかい?」
っていうぐらいのノリで、
「もしよかったら、うちに泊まりませんか?」
と声をかけられたのが、最初の出会いだ。
その頃、メルボルンから引っ越してきたばかりで、
話す相手もなく無性に日本語が話したくて、(ご主人は英語のみのオージー)
日本人と見れば声をかけていたらしいが、
たいがいの人は次の目的地に行く予定で忙しいらしく、
振られてばかりいたらしい。
私たちも例外ではなく、クレイドルマウンテンに行く途中だったので、
「帰りに寄れたら、寄りますね。」
という感じで別れたが、本当に3日後に訪ねて行った時には、
まさか本当に来るとは思わなかったらしく、すごく喜んでくれた。
その時頂いたスコーンの味が忘れられなくて、
2年後の今回は娘と二人で2泊させてもらう事にした。
近くには滝と湖があるくらいで、本当に何もないへんぴな所……
という彼女の言葉は、全くその通りなのだが、
見どころはなくても、面白いと感じるものはたくさんある。
例えば、飼っているニワトリとカモたちは、人懐っこくて、
人が外に出てくると、エサをくれると思って、集まってくる。
朝夕の餌の時間は、アイドルの追っかけ並みについて来て、
なんとも言えない優越感が味わえる。
(あまり焦らすと、いい加減にしろとくちばしで突かれてしまうが…。)
庭には、ウサギやポッサムや小鳥たちなど、
色々な野生の動物たちが次から次へとやってくる。
まあ、これを喜んでいるのは私たちだけで、住んでいるRiekoさんたちにすると、
糞はするは、屋根裏でガタゴトするはで、迷惑を被っているらしい。
Riekoさんが作るスコーンやココナッツケーキは、
彼女に言わせると“超簡単”らしいが、
その素朴さがここの雰囲気にあっていて、どこのものより美味しく感じる。
また、庭で採れたてのトマトの丸かじりも、やめられない。
彼女のもてなしの心と、自然の中で過ごす時間が、
旅に疲れた心と体を癒してくれる気がする。
広い家と庭の手入れに手を焼いているRiekoさんに、
「ここを整備して、日本人向けの宿にしようよ!」
と提案してみた。
「こんな、何もないところに、誰もこないと思うけど…。」
と、彼女は笑うけど、そんなことはないと思う。
タスマニア3度目の私が、また来たいと思うのだから…。
今度来るときは、一緒に庭の手入れをしてあげよう。
ありがとう、Riekoさん。