日本学術会議が,会員候補6名の任命拒否による欠員のまま,総会を開いている。
わたしは,2回ほど会員の選挙と推薦の過程に関わったことがあり,そこに不透明さといやらしさがあるのを垣間見た。会員の推薦を含めて,学術会議のあり方が十全のものではないかもしれないが,今回の任命拒否は納得できない。官邸の代弁者とされる政治評論家の田崎某氏ですら,少なくとも拒否の理由は明らかにすべきだと,テレビで述べていた。
この任命拒否に関しては,学会の諸団体,ジャーナリズム,芸術家団体などから,おびただしい数の抗議声明が上がっている。しかし,わたしは肝腎要の学術会議そのものの対応に歯がゆさを覚える。今回の総会で拒否された6名の候補者の速やかな任用を求める声明が決議されようとしているが,同じことの繰り返しで菅首相にこれが無視されるであろうことは大方の一致するところである。学術会議が前期会員の欠員を補充する際,文科省の意向を確かめて,候補者を事前に調整したということを聞いているが,その姿勢が尾を引いているのではなかろうか。
強権的ともいえる今回の任命拒否を覆すには,会員が総辞職するくらいの気概をもってことに当たる必要があるだろう。日本学術会議が弱い環となって,問答無用の権限行使の前例を作るようなことがないことを切望している。
アザレア
筑波実験植物園にあるアザレアの大木が満開になっていた。4月20日撮影。