羽花山人日記

徒然なるままに

棚田

2021-04-30 20:31:05 | 日記

朝のテレビニュースで,棚田の田植えが報じられていた。「オーナー」の人たちが手植えに取り組んでいた。

棚田からわたしが連想するのは,「耕して天に至る。」という文言である,中国の李鴻章が言ったとも,孫文が言ったともいわれ,由来ははっきりしないらしい。その後に「以て貧なるを知るべし。」あるいは「以て辛なるを知るべし。」が続くと聞いている。

棚田は山間の傾斜地の,およそ水田適地とはいえないところに位置し,農民の隠し田として,あるいは,領主が領地の石高を増やそうと農民に強制したものとして開発されたものであろう。

わたしにはネガティブなイメージが付きまとう棚田が,ポジティブなものとしてもてはやされていることに違和感を覚え,「オーナー制度」などというものが果たしてうまく行くのか疑問を持っていた。そんな思いから,棚田の現状を知りたくなり,ネットでいろいろ検索してみた。農水省のホームページ棚田地域の振興について:農林水産省 (maff.go.jp)が大変役に立った。

農水省の定義では,1/20以上の傾斜地に作られている耕作地で,これに合致したところの保全にはいろいろな法的裏付けを持った支援が行われている。棚田の総面積は15万(20万とも)haで,耕作者の高齢化・後継者不足でこの10年間で4割が消滅したといわれている。こうした棚田の荒廃に危機感を抱いた各地の農民が,農地の保全と休耕田の回復を目指してNPOなどの組織を作り,公的援助を受けながら事業に取り組んでいる。

この事業の中核となるのが「オーナー制度」である。年3~5万円の会費を払い,田植えと稲刈りをはじめとして,事情と能力に応じて稲作の作業に取り組み,収穫物を受け取る。オーナーの中からはインストラクターや定住者が出ているという。都会人は農作業のつらさに耐えかねて長続きしないだろうというわたしの心配は,どうやら杞憂のようである。

貧にして辛の歴史を背負った棚田が,人々を癒す景観を構成し,人間性回復の場として現在の文化の中で新たなニッチを得て息づいてていることに,わたしは感慨を覚えた。多くの棚田保全事業に共通する悩みは,中核となる地元農民の高齢化と後継者の問題である。地域・国が一体となって支援し,棚田を永続的な文化拠点として保持することを願っている。

Bingからダウンロード

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夕陽のガンマン

2021-04-30 20:31:05 | 日記

                                                     

写真はいずれもテレビの画面を撮影

ビデオに録って置いた『夕陽のガンマン』を観た。マカロニウエスタンは何本か観ているが,これが一番好きである。

セルジオ・レオーネ監督2作目のこの映画の音楽も,1作目の『荒野の用心棒』に続いてエンニオ・モリコーネが担当している。1作目の口笛を使った主題曲も素敵だが,これに口琴を絡ませた『夕陽のガンマン』の方がより雰囲気を出しているように思える。それにしても,同じ作曲家があのガブリエルのオーボエやニュー・シネマ・パラダイスの主題曲を作曲しているとは,信じられない気がする。天才とは恐ろしいものだ。

レオーネ監督が黒澤明の『用心棒』をベースにして『荒野の用心棒』を演出しているせいか,『夕陽のガンマン』にも,黒沢的雰囲気が感じられる。三船敏郎演じる剣豪桑畑/椿三十郎は徹底的にニヒルであるのに対し,リーバン・クリーフとクリント・イーストウッドが演じる二人の拳豪は賞金稼ぎという極めて合理的な目的で行動しているのだが。

三十郎に切られる役を演じた仲代達矢は,『野獣暁に死す』というマカロニウエスタンに出演し,悪役として最後に撃たれて死ぬ役を演じている。大御所仲代達矢は国際的切られ役者だったのだ。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする