大いなる西部(映画)
ビデオに収録したのを観た。
名匠ウィリアム・ワイラーが監督したこの西部劇を最初に観たのは学生時代である。友人のK・Y君が勧めてくれた。
K君とは同じ陸上部に属したので、大学入学後すぐ知り合い、友達になった。竹を割ったような性格で、「ナイス・ガイ」という表現がぴったりだった。4年生の時は主将を務めた。10年以上前に亡くなり、もう会えないのが残念である。
彼は、実のところ強いのだけれどそれを表に出さずにふるまっている男が好きで、『大いなる西部』にはそうした人物が登場するので是非観るようにと勧めてくれた。
その人物を演じたのがグレゴリー・ペックである。わたしの大好きな俳優の一人で、彼が演じた映画で最も有名なのは『ローマの休日』だろうが、わたしは『子鹿物語』と『アラバマ物語』で彼が演じた父親役が一番好きである。
映画は1870年代のテキサスが舞台で、そこに東部から元船長のジェームズ・マッケイ(グレゴリー・ペック)という男が、婚約者で大牧場主の一人娘パトリシア・テリル(キャロル・ベイカー)と結婚するためにやってくる。紳士然とした東部男に、西部の牧童たちは荒っぽい歓迎をするが、ジェームズはそれを意に介さない。絶対平和主義者で常に丸腰である。
しかし、自己の矜持はひそかに大切にし、しかけられた荒馬を乗りこなし、恋のさや当ては拳による格闘で決着をつける。
テリル家の牧場はヘネシー家の牧場と覇を競っているが、両者とも家畜の水飲み場を欠いている。そして、両者の中間に位置するビッグ・マディー牧場を流れる川を交互に利用させてもらっているが、何とかそこを独占して相手を追い落とそうと、ビッグ・マディー牧場の跡取り娘で教師のジュリ-・マラゴン(ジーン・シモンズ)を篭絡しようとする。
これを無益の争いとみたジェームズはジュリーと話し合い、ビッグ・マディー牧場を買い取り、両方の牧場に利用させる和平案を実現しようと考える。これに反発したパトリシアは、ジェームズとの婚約を解消する。
ところが、テリルによって水飲み場から牛を暴力的に追い払われたことに怒るヘネシーはジュリーを拉致し、牧場の権利を譲渡させようとする。
一方危機感を抱いたテリルは実力で相手を撲滅しようと、牧童頭の制止を振り切り、ヘネシーの拠点に押し寄せるが、防御線を張っていたヘネシー側と打ち合いになる。
ジュリーが拉致されたことを知ったジェームズは丸腰でヘネシー家に赴き、命の危険にさらされながらヘネシーを説得しジュリーを奪還する。
ヘネシーは私怨による争いの愚を認めつつ、その決着をテリルとの決闘で果たそうとテリルを呼び出し、二人は相打ちで倒れる。
争いの決着を見届けたジェームズとジュリーは、馬を並べて、ジェローム・モロス作曲の主題歌をバックに西部の大平原に向かっていく。
原題は“The Big Country”。映画の主人公はやはりテキサスである。
STOP WAR!