吉田拓郎が第一線から退いた。
彼と一回り違う我々の世代は大なり小なり彼の音楽に影響を受けてきた。自分はその中でも最後まで一度も欠かさず新譜を買い続けてきたファンのひとりだ。
彼を語る場合フォークで語られることが多いが、新譜を買い続けてきた私から見るとそうではない。デビューのマークⅡからリアルタイムで聴き続けてきたが、特に多感期の十代に出会った事もありその楽曲の解放感によることが大きい。「結婚しようよ」を最初に聞いた時の感激は今でも忘れられない。それまでの日本歌謡界にはない軽快さや解放感を感じたものだ。それにボーカルも特別うまいわけでもなく、ただメロディラインは当時としては斬新だった。技巧に凝るわけでもなくやはりベースにR&Bがあるせいか構成が無骨ながらしっかりしていた印象がある。多感な十代から60代の現在まで聴き続けてきた。そしてラストアルバムである。感慨深いが。こういう終わり方に納得している。
楽曲を聞いた途端にレコードを買いたくなるミュージシャンやアーチストはこれまで何度もいるが、彼もその一人である。
彼が日本音楽史に残した影響は計り知れないものがある。色んな誤解も生んだであろうが、自分の意志で決めて実行していく。それはこの団塊の世代にありがちな考えだがそれを実行し続けてきたことに意味がある。ツアーや単独野外コンサートなど時代の必然もあるかもしれない。しかしパイオニアであることに敬意を表する。編曲の重要性をレコード会社に提言したのも彼だったと記憶している。
今や高齢化社会であり天皇ですら攘夷する時代である。本人が引き際を決め実行する。それはまさにコンテンポラリーとも言える。
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