昨年から観たくてたまらなかった映画をようやく観れた。
封切り時は上映館も少なくDVDになるまで待たないといけないのかとほぼ諦めていたが好評につき上映館が増えここ宮崎にもやってきた。
結論から言うと原作を損なわない素晴らしいものであった。原作のこうの史代の作品世界がそのまま動きだしたような映画である。あの時代を描きながら反戦映画とかイデオロギーとかそのような観点で観るとするっとすりぬけてしまうような見事な作品である。また 人さらいや座敷わらし 波を飛び跳ねるウサギなど、アニメであることが必然だと思った。ある種ファンタジーの部分やリアルな悲劇が日常生活の中で違和感なく融合されている。
主人公のすずさんは私の母と同じ世代であるが、かつて母は 戦争は絶対いけないと繰り返し言っていたが、片方で、帝国主義がすべていけないというわけじゃない、あの時代の方がよかった部分もあるとも言っていた。この映画の言いたかったことはそういうことではないのか。それぞれの時代でそれぞれの場所でそれぞれの境遇で幸せや笑顔を求めて一生懸命生きること。映画では日常が淡々と語られていくが、終わった後にとても切ない気持にさせられる。それはなぜだろう。もう一度すずさんに会いたいと思った。
感じ方は人それぞれだろうし、これはそういう映画なんだろう、一人でもたくさんの人に観てもらいたい映画。
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