絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

火花の感想

2015-11-30 | 読書
又吉さんの「火花」を読みました。

漫才師の自分のことを書いていますね。先輩の漫才師を師匠と仰いで、その師匠のことを書いています。

その師匠という人は、私に言わせると、漫才を芸術にしてしまう人ですね。
芸術というのは、世間の常識からはみ出すことがあります。
現代芸術は、特に突拍子もないことをしでかします。

この師匠はその類です。

芸術の場合は、人がわかってくれようがくれまいが、構わないところがありますが、
漫才は、節度や品も必要でしょう。なぜなら、放送禁止という制約がありますから。

そして、大衆からの理解も必要です。

それがないと、漫才を主催する人から出演依頼が来ないでしょう。

いつだったか、カンニング武山が、舞台でうんこをしそうになったことがありました。
なりふり構わぬ行為です。今まで誰もやったことがないということについては、芸術です。

しかし、大衆に認められません。本当にやったら、そこで芸人生命が終わるかもしれません。

この火花の師匠は、その類のことをやりかねませんね。

最後は、胸を膨らませました。男がおっぱいを膨らませたら面白いだろうという発想です。
性転換の人がするなら理解できますが、普通の男がそれをやるということは、芸術としては面白いとしても、ユーモアを通り越していると思います。
着ぐるみを着るのとはわけが違います。大衆は引いてしまうでしょう。

他にも、いろいろ気になることがありますが、今日は、これだけ。
ただ、このように、自分の関わっている世界のことを小説にしたら、その職に就いている人でなければ書けないことが書けていいだろうなあと
思います。漫才師が小説を書いたということ、そして小説の世界では最高の賞と思われる賞を取ってしまうということ、それは凄いことだなと思いますが、
この小説は、単なる小説家には書けないものかもしれないと思いました。





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流行に後れる

2015-11-29 | 読書
芥川賞を取られた又吉さんの「火花」を読みました。

私は、あまり話題作をすぐには読まない方なのですが、父が買ってきて読んだものをお前も読んでみるかと言って渡されたので、読むことになりました。

私は流行に後れる方で、これは小学校時代から続いています。
子供の頃、赤塚不二夫のおそまつ君で、イヤミの「シェー」というのが流行りました。
驚いた時に発する歓声です。
先生がみんなを驚かせるようなことを言う度に、子供たちは一斉にそのシェーを発しました。私は、それを聞いていて、バカだなあと思っていました。

しかし、流行というのは、盛期というものがあるもので、そのシェーがいつの間にか下火になって、あまりみんなが言わなくなった頃、私はシェーと言い出しました。

こんなときに、シェーと言うんだなということを把握して、やっとそれらしいときに、反応できるようになったのです。

それが、何というか、誰も言わなくなった頃なのです。

私は、一人でシェーと言っていました。
すると、友だちが、「もう古いんだよ」と言いました。
「何でもシェーと言えばいいんじゃないんだよ」と。

これは、鮮明な記憶です。
それによって、私は時代に後れる人間なんだということを自覚しました。

だから、今回のようにリアルタイムで芥川賞の作品を読むなんて、私としては結構異例なことでした。

感想はまた後で。










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竜の柩3 読後感想

2015-06-27 | 読書
竜の柩3が読み終わりました。

この記事は、これから本を読む人は、内容がわかってしまうので、読まない方が良いかもしれません。
でも、どんな本か内容を知りたい人は、読みたいと思う気持ちが湧くかもしれません。

ーーーー

話が宇宙に飛び出して、他の星に不時着したという展開で、進んでいきました。
宇宙への飛び出しの方法は、氷の中で眠っていたノアの方舟が、実は宇宙船だったという設定です。

こうなると、SFですね。

私は、考古学と神話の関係を紐解く科学者の話だと思いながら読んでいましたが、
どうも話が飛躍しています。

神話で語られる神は、実は宇宙人だったのではないか?
そう考える方が、つじつまが合ってくるという話までは、ないこともないか?
などと思いつつ、主人公の説に説得されていました。

しかし、3巻の終わりになると、宇宙の他の星だと思っていた所が、実は過去の地球だった。
それは、4000年前のメソポタミア。

読んでいる途中で、それらしいことを予感させるものがありましたが、やはりそうかと思いました。

そうなると、飛んで行ったノアの方舟は、タイムマシンですね。

ーーー
そのメソポタミアのシュメールの時代に、タイムマシンがあった。
空飛ぶスクーターもあった。UFOのような円盤もあった。
おまけに、核兵器もあったという設定です。

そんな凄いものがあるにもかかわらず、それ以外の物は、ほとんどその時代の物なのです。

では、なぜそれ以降の時代に神はいなくなってしまったのか。
神が地上に居られなくなる何らかの出来事があったということですね。
それが、核兵器による環境破壊。人間にはあまり影響がなくても神にとっては
大変な害があるということなのか。

ーーー
主人公たちは、4000年の未来からある能力があると判断されて、タイムマシンで運ばれたのだから、
それなりの理由がある。しかもその後の歴史を知っているのだから、ある意味神に近い存在でもある。
などということで、その時代の神と対面する。

ーーー
ストーリーは飛躍して、空想科学小説的になりましたが、その間に交わされる会話の中に、いろいろな話が出てきて、
歴史の勉強になります。

ーーーーー

ただ、一つだけ、私が勉強したことと違うことがありました。

ポセイドンがゼウスの弟として語られていました。
私が勉強したのは、ポセイドンはゼウスの兄なのですが。
しかし、高橋さんが言うのですから、何らかの根拠があってそう書いているのでしょう。
私は、その説を知らないので、高橋さんが取っている説は、どこからのものなのでしょうか。

つづく


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竜の柩

2015-06-25 | 読書
竜の柩を読んでいます。

三巻目の半分を超えたところです。



全部で6巻あるので、読みでがあってしばらく楽しめます。

ーーーー
私は、高橋克彦さんの本は、最近知りました。
ゴッホ殺人事件を読んだのがきっかけでした。

高橋さんは、テレビでお見かけすることがありましたが、浮世絵の研究者とか、その専門家だと思っていました。そして、話が上手なので、とても面白く聞いていました。
浮世絵がヨーロッパで芸術として認められたというエピソードはとても興味を持ちました。

読んでブログで紹介したら、北斎殺人事件とか写楽殺人事件とかあると教えてくれた人がいて、
それで、広重殺人事件も含めて、三冊読んでみました。
面白いのは、小説のストーリーよりも、その中に出てくる浮世絵や浮世絵師のことについての知識が得られることでした。

そして、いま竜の柩を読んでいますが、話は古事記から世界史へ広がっていきます。
そこでは、私が今まで学んできた西洋美術史と重なる部分がたくさんあって、とても嬉しくなりました。

旧約聖書のノアの方舟、ギリシャ神話、メソポタミアの歴史などいろいろ絡んできます。

3巻は、宇宙に飛びっ出してしまったので、ここで話がSF的に飛躍してしまいましたが、
それでも、簡単に嘘だと言えない説が展開されています。
そう考えてみる方が、つじつまが合うという説なのです。

一言で言えば、人類の祖先は、宇宙人説です。

それを神と言っているだけだという説です。

つづく

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広重殺人事件

2015-05-20 | 読書
写楽殺人事件を読み終えて、広重殺人事件を読み始めました。



写楽は、ちょっと引っかかる部分が多くて、時々ストップしましたが、最後は一気に読んでしまいました。
私がこういう一気に読み進むのは、きっとこの小説が上手だからだと思います。

実際は、浮世絵愛好会のトップである嵯峨さんが、仕組んだことでしたが、
津田さんの調査で、新しい説が浮かび上がり、この小説での説が違っているとしても
当たらずと雖も遠からずということではないかという気がしました。

証拠さえ見つかれば、これは、本当に写楽は秋田蘭画の一人ということが言えそうです。

ーーーー
昨日、「広重殺人事件」を買ってきて、読み始めましたが、例によって高橋さんの本は、知識がたくさんあるので、
また、ストップしています。

今度は、芭蕉、一茶、鈴木晴信、菱川師宣、歌麿、北斎、写楽、広重、蔦屋重三郎、馬琴、十返舎一九などの人たちの生まれや死亡した年の年表を作りたくなりました。生きていた時代がどのように重なっているのか、どちらがどのくらい年上なのか、それぞれの関係は?などを整理してから読み進めたいと思ったのです。

こういう気持ちが湧いてくるので、ストップして先に進めないのですね。



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