絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

県展出品制作批評会

2010-04-05 | 絵画指導
県展出品制作の批評会を頼まれて、本庄第一高校へ行ってきました。

今年の生徒は、12名が出品する予定で制作をやっています。
部員数が減って、そのような状態です。私がやっていた時は、40人以上ですから、ちょっと残念ですね。

しかし、生徒たちは、なかなかの絵を描いています。
ちょっと、気になったのは、高校生にしては考えていることが、高度かなと思いました。

何を描きたいかという部分で、かなりすごいことを考えているのですが、それを表す画面が適格ではありません。その辺は、難しいのです。

普通は、百聞は一見に如かずというはずなのです。しかし、表そうという内容を聞いてみると、絵からは読み取れません。絵の背景に隠れているテーマがあるということは、良いことです。これは、言ってみれば象徴派的な考えです。

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私は表したい内容を内的ビジョンと言っていますが、突き詰めて考えると、その内的ビジョンを人に伝える場合いろいろな手段があると考えます。

その伝える手段が、絵であるのか、文章であるのか、音であるのかということで、方法が異なります。果たして、絵で表現するのが一番良いのかという問題です。
これを言うと、絵ではなくなってしまうので、美術部として県展に出品するということから外れてしまいそうで、困ります。

一応、絵で表現をするのが良いと判断したとして、その場合は、何を使って表現すれば良いのかという部分が問題なのです。

今日、話した子は、ピエロを描いていて、単なる静物画に見えたのですが、それを背景からお面のような顔が見つめている。しかも嘲笑しているようなイメージを描こうとしているのです。現代のお笑い芸人や何かを見て、人を笑わせる人をあざ笑うというような設定?突き詰めて聞かなかったので、この言い方では間違っているかもしれませんが、そのような意味を含めた絵にしたいらしいのです。

高校生の絵画制作で、このように考えて描いていることが驚きです。これは、絵とは何かに関わる問題でもあります。そして、とても大切なことなのです。単なる静物画ではなく、背景にテーマがある。それを表すために、静物画を使っている。という考え方です。
すごいですね。
そうであるならば、表そうとするものが、的確に表現されるように、描く物を選ぶ必要があります。そう考えると、絵は難しくなります。

とても良いことなので、それを考えながら、やってみてくださいと話しました。
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しかし、その事以外に問題になるのは、絵であるかぎり、造形要素に関わることです。

それは、ハーモニー、リズム、バランス、アクセントなどの問題です。
絵である限り、それは、外せません。今日はそのことを話して来ました。
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5 コメント

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ピエロの者です。 (大熊)
2010-04-05 21:35:20
今日は、講評してくださり、本当にありがとうございます。菅野先生の講評は、とてもわかりやすくて、良い勉強になりました。私は絵を描くとき、何かと考えてしまう癖(主題や、背景)があるので、あんまり先生も扱いやすいタイプでは無いと思いますが、絵に対する思いは誰にも負けないので、今後とも、よろしくお願いします。ある程度作品が出来ましたら、メールでお送りしますので、講評お願いします。
失礼します。
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大熊さん (pikaso)
2010-04-05 22:17:35
コメントありがとう。
頑張ってください。メールで指導できますからいつでもどうぞ。
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すごいですね (和美)
2010-04-08 09:05:06
高校生なのにいろいろ考えながら描いているんですね。わたしは高校生のころ何を考えて絵を描いていたのやら . . . 。
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和美さま (pikaso)
2010-04-08 10:55:13
そうですね。
私もあまり象徴的なことはさせませんでした。
どちらかというと、見えるものとの対話という制作をさせました。見えるものと対話しながら、造形的感覚を教えました。
本庄第一の今の状態は、ただ、上手に描くということ以上のものを求めているのです。これは、顧問の棚沢先生の考え方が大きいと思います。
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Unknown (和美)
2010-04-09 04:50:20
若い時は特に吸収力がありますから先生は重要ですね。わたしだったら、両方の先生に習ってみたかったと思います。わたしは先生に恵まれませんでした。(涙)中学校の美術の先生は美大で日本画を習ったはずが、黒板に線だけの立方体が描けないで、何回も消してやり直しをするしまつ。高校の美術の先生なんか、クラスにほとんど来ないのもいました。
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