バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

胃がんと胃潰瘍

2008年11月26日 | 胃(全般)
現在、胃の治療法は確立されてきています。胃潰瘍では死なない人生となりました。一昔前の話しですが、夏目漱石は胃潰瘍で亡くなったそうです。

さて、今日は胃角の変形というバリウム検査での異常所見について簡単に触れていきたいと思います。
胃角は胃潰瘍が多く発生する部位です。潰瘍ができると、胃粘膜がいわゆる削れたようになります。多くの場合、治ったあとも胃粘膜に傷跡が残ります。この傷跡が胃角にある場合、多くは胃角が変形した状態になっています。

受診者本人が自分の結果をみて、「胃角の変形?!」と聞いただけで、がん?!と思うのはあまり良い受け止め方とはいえないような気がします。大抵の場合は潰瘍の傷跡(潰瘍瘢痕:かいようはんこんと言います)です。ある程度は安心されて良いと思います。

しかしながら胃がんの主な発生部位も胃角です。ただ胃がんの割合は胃潰瘍に比べて頻度は低いようです。当施設での結果では胃がんの割合は約0.25%に対し、胃潰瘍(胃潰瘍瘢痕も含む)の割合は1%を超えています。

(補足:この数値は胃角以外にも発生した件数も考慮されているため、胃角だけの集計をとるともう少し結果が変わるかもしれません。この数字は参考程度にしてください。)


今日の結論です。
バリウム検査で「胃角の変形」と言われたら、一度、内視鏡検査を受けてください。大抵の場合は、悪性所見ではないのですが。怖がらずに精密検査である内視鏡検査を受けてくださいね。