遍路の途中に知り合った女性の話ですが、すごく落ち込んでいたのでどうしたものかと思い理由を聞きました。
彼女が足を痛め更に体調を崩したため、途中から交通機関を所々利用する遍路に切り替えて、お遍路を続けていたところ、前半で顔見知りになった男性のお遍路さんにバッタリ出会い、彼女の状況を話したら「なんだ。歩いてないのか。根性がないな。」と罵声を浴びせられたと私に話してくれました。
それから彼女はお遍路する気力を失いかけ、悩み続けながら歩いていたと言うのです。
それを聞いた私は愕然としました。この男性のお遍路さんは何を目的に四国遍路をされているのか疑問に思いました。確かに歩きにこだわって完全踏破されているお遍路さんは多々いると思います。また遍路とは歩きで結願することです。そんな事は歩き遍路にとっては当然のことです。
でも、私はあえて言わせてもらいます。この女性にこのような罵声を浴びせるお遍路さんがいるとしたら、このお遍路さんは何回いや何百回結願しても意味の無い遍路旅であろうと思います。自分の考えは自分で遂行すれば良いのであって、それを他人に押し付けるどころか、やさしい言葉一つかけるでもなく、罵倒するとは弘法大師様も嘆かれていると思います。
「根性だ・精神力を鍛えるんだ・自分に勝つんだ」と体育会系ののりで、それだけが美学のように自論としている方も見受けられますが、日本人の一番の欠点のような気もします。
お遍路とはそんなことでなく、自分自身の魂の洗濯をすることではないでしょうか。それをすることによって人を思いやったり、助け合ったり、励ましあう気持ちが洗練されていくものだと思うのです。そうなることによって、自分自身も成長していくのではないでしょうか。
お遍路をする人の中には出来る事なら全て歩き通して結願してみたいと思っている人もいるでしょう。
どうぞ、遍路途中に弱っている人を見かけたら、やさしい気持ちで励ましてあげてほしいです。傷つけることなく・・・。