逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

「二度あることは三度ある」or「三度目の正直」

2013年10月10日 | 経済

『アメリカの10月危機と日本』

一時東京大学だけが自分勝手に欧米基準にしようと画策して、半年ずらして秋の9月入学を計画したが、今まで日本の学校や会計年度は春の4月1日から始まる慣わしである。
ところが、欧米など世界では通常秋から新年度が始まる方が多い。
10月1日から始まるオバマ政権の2013年の会計年度のアメリカ政府予算案が議会を通過する見込みが立たないで立ち往生。現在アメリカでは政府機関の閉鎖に追い込まれている。
予算案以外にも10月17日のタイムリミットを目前にしている債務上限の引き上げの超難問も残っている。
17日までに米議会の与野党が債務上限引き上げで合意に至らないと、米国債のデフォルト(債務不履行)が現実になるが、実はデフォルト自体は珍しくない。
国家のデフォルトとは企業や個人の破産のようなもので、世界中で繰り返し起きている範囲の、想定内の普通の出来事である。
ところがアメリカのような世界の基軸通貨国のデフォルトは前代未聞、初めてである。
アメリカの債務不履行が世界経済にどれだか影響するかは『想定外』なのでまったく不明だが、世界中に信用不安を引き起こした5年前2008年のリーマンショック以上の、核戦争並の壊滅的な悪影響を世界に与えることだけは間違いない。
『借りたものは必ず利子を付けて、きっちり返さなければならない』と律儀に考えがちな日本人とは違い、文化が違う一神教世界では旧約聖書とかコーランなどでは利子は違法であるし、60年経てば借金自体が無効になる。
アメリカの場合には悪名高い破産関連法規を悪用して借金を抱えた企業が簡単に破産して負債を帳消しにして済ましているが、道徳が違う日本では到底考えられない。
債務超過で企業が倒産した時に、破産者が困る以上に『返せない金を貸した』として厳しく貸し手責任を問われるのです。
デフォルトでは破産した債務者よりも、(金を貸したほうの)債権者が一番困るのである。
日本ですが、アメリカがデフォルトした場合には保有する膨大な米国債は紙切れになり、当然日本も大きく影響する。

『悪魔がひそむ10月相場』

安倍晋三が輪転機をグルグル回すと表現した日銀の量的緩和策(円の大量発行)にヘッジファンドなど外資が過剰に反応して日本の株価が急上昇したが、10月に入ってからは風向きが変わり下げに転じている。
安倍バブル相場では日本株を大量に買ったハゲタカ米系ファンドは大儲け。
タイやマレーシアを破産寸前に追い込みインドネシアのスハルト政権を崩壊させ韓国を破産に追い込んだ1997年のアジア通貨危機の仕掛け人でヘッジファンドの雄ジョージ・ソロスは今年4月5日米CNBC放送でアベノミクスについて『大変驚く内容で、非常に大胆なものだ』『過去25年、日本は緩やかに死に向かっていたが今や目が覚めた』『あれほどガッツがあるなんて、誰も思わなかった』と評価する理由は簡単。
ソロスは3カ月で総額10億ドル(約970億円)の濡れ手に粟の大儲けをしている。
一見日銀のバクチ政策であるアベノミクスを大絶賛しているかに見えるジョージ・ソロスだが、『円が雪崩のように下落する恐れがある』し、『極めて危険だ』とも指摘している。
10月1日安倍晋三は消費税の増税が正式決定したが、来年4月以降は景気は一気に冷え込み株価が大暴落すると全員が知っているのですよ。
増税が決まった以降に株価の凋落は始まっているが現在の高値で、アベノミクスで大量に買った日本株を売り抜ければ外資の勝ち。売り損ねると大損をする。
現在売りに転じるとみられている外人投資家ですが、逆に増税までの半年間のタイムラグを利用しての外人買いの動きもあり、『悪魔のひそむ10月相場』は不透明であるが、来年4月以降の株価大暴落の奈落が垣間見れるのです。

『アベノミクスによるNISA(非課税制度)導入』

悪魔の碾き臼新自由主義を推し進めた小泉竹中路線では、年金基金などの運用をそれまでの比較的安全な国債ではなくて危険な博打的要素のある株式投資に振る向ける為に、株の配当金や売却益の基本税率をそれまでの20%から10%に半減している。
株式投資の税率10%のアメリカではマイクロソフトのビル・ゲイツに次ぐ世界第二の金持ちのウォーレン・バフェットは自分の税率よりも秘書の税率の方が高い逆進税率になっている社会的不公平を告発している。
竹中平蔵が言ったように『大金持ちをより大金持ちに』(格差が拡大)する悪魔的な最悪の制度なのである。
10年続いた現行の株式投資への優遇措置(売却益の課税20%→10%)は貧富の格差を際限なく広げるだけ広げて今年いっぱいで終了する。
ところが、現行の税率半減の株式投資への資金の誘導策の代わりに導入すると安倍政権が打ち出したのが、来年1月から運用を開始する小口株主へのNISA(少額投資非課税制度)である。
アベノミクスのNISA導入で1年間の購入上限100万円とか最大500万円など制約はあるが株の配当金や売却益は非課税になる。
一見すると大金持ち優遇から小金持ち優遇に変わるように見えるが、今までの悪魔の税制から、地獄の税制への変更である。甘い言葉に絶対に騙されてはいけない。

『ハゲタカ外資の大儲けの尻拭いが目的』

目の前に底無し沼のような日本株大暴落の、強大な落とし穴が待ち構えているのです。
そもそもNISA(少額投資非課税制度)の導入は小口株主優遇策ではなかったのである。
日銀の異次元緩和の一環でETF(上場投資信託)の購入枠拡大による日銀のPKO(株価維持策)で、日銀の掟破りの『禁じ手』は2014年末までの購入枠が3兆5000億円規模と膨大な量である。
しかし中央銀行は証券会社では無いのですから、外人売りでの株価下落防止で日銀が買った分(ババ抜きのババ)を何時かの時点で売却するしかないが、その受け皿が少額投資非課税制度(NISA)の甘い誘惑に騙された善意の個人投資家なのである。
証券会社とか銀行が『ニーサ』の愛称で呼ぶ少額投資非課税制度(NISA)ですが、実は甘い罠で善良な個人を騙して誘い込んで全員が一網打尽に破滅して仕舞う仕掛けである。
ニッチもサッチも抜け出せない泥沼に引きずり込む悪魔のトラップが『ニーサ』だとの裏の声もある。

『輪転機をグルグル回すアメリカ』

過去のQE1は2008年11月から翌年の6月まで、QE2は2010年11月から翌年6月までの間行ったのですが、 その間にドルインデックス(US Dollar Index)が17%と10%下落しています。
ドルインデックスとは円ドル相場のような個別の通貨との為替レートではなくて、 ユーロ・円・ポンドなど複数の主要国通貨に対する米ドルの相場を指数化したもの。
去年の2012年9月から始まった現在のQE3ですが本来なら、もう止めている時期なのです。
大増刷で使い道の無いだぶついた資金の流入により株価だけは上がったが、景気回復が思うようにいかないのでQEが停止出来ない。
今のようにドル札を無制限に大量に刷っている間は間違いなく金回りが良いのですよ。ところが間違いなく信用不安が起きて通貨の下落が避けれない。
10月17日のアメリカ経済の破綻(デフォルト)の情報が正しいか間違っているかは不明だが、そのようなうわさが世間に流れること自体が異常ですね。 ドル(アメリカ)が破綻寸前にあるのは確かなようです。
アメリカ下院の草の根宗教右翼の茶会運動系議員は50人程度なのですが基本的に『アメリカがデフォルトしても構わない』と考えていて世界経済への影響などは眼中に無い。
デフォルトの回避どころか、アメリカ国内で3割以上いると言われている世界が聖書の記述通りであると信じる宗教右派(福音派原理主義者)はヨハネ黙示録にあるキリスト再臨の条件である人類滅亡の最終戦争(ハルマゲドン)の『世界の破滅』を待ち望んでいるのですから恐ろしい。

『世界恐慌の引き金となった暗黒の木曜日』

84年前の1929年10月24日、ニューヨーク証券取引所で株価が大暴落した『暗黒の木曜日』(Black Thursday)は世界大恐慌の引き起こしている。
26年前の1987年10月19日矢張りニューヨーク株式市場の暴落を発端として史上最大規模の世界的株価大暴落を引き起こして暗黒の月曜日(ブラックマンデー)と呼ばれている。
『二度あることは三度ある』なのか、『三度目の正直』なのか。
今までの例と同じ10月に三度目のニューヨーク株式市場の株価大暴落を引き金とする、世界同時経済崩壊が起きる可能性が高まっているのです。
今年の10月17日は84年前の10月24日と同じ木曜日なのでスーパー・ブラックチューズデー(2回目の暗黒の木曜日)となるのだろうか。
ちなみに靖国神社の秋季例大祭も同じ10月17日の木曜日から始まる。
前回の安倍政権時には靖国参拝を見送ったが、今回安倍晋三が公式参拝すれば日本国にとっても正に『暗黒の木曜日』が引き起こされるのは間違いない。

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10月11日のG20ワシントン会議 (宗純)
2013-10-13 15:10:57
農婦さん、コメント有難うございます。

世界最大規模の経済大国である米国に対して、G20の当局者はワシントンで会議を開き、米国を名指しで非難して、早急に行動を求めるなど今回のケースは異例中の異例。
まったく前例が無いのです。
誰もこれから何が起きるかの予想がつかないのです。先がまったく見えないのですね。
だから恐ろしい。
我が家は代々続いた漁師の家系(網元)なのですが何故か男子が生まれず祖母の代まで婿養子を迎えて家業を継いでいた。
ところが高齢になってから予定に反して跡継ぎの男子(私の実父)が生まれ有頂天になり、大騒ぎで家人や周りが徹底的に甘やかしたらしい。
悪い条件が重なって『自分は世界一賢い』(自分以外の全員がアホ)とのとんでもない超わがまま人間に育ち、しかも当時としては最悪の社会主義者になったので、やむなく一人息子を勘当。女手一人で家業を切り盛りしていたが、日本軍の真珠湾奇襲攻撃の報道に即座に第二次世界大戦での日本の敗戦を予見した。
1918年の第一次世界大戦の終了では戦争バブル膨れ上がった景気は一転、その後はデフレに突入してしまった経験から、歳をとっていた祖母は身辺を整理して全財産を現金に変えて銀行に預金して来るべき祖国日本の崩壊の大津波の襲来に備えたのです。
日本の敗戦までは祖母の予想の通りで、寸分の外れもなかったのですが、今までの社会体制全体が崩壊するとまでは予想出来なかった。
1945年の敗戦以後は、預金封鎖とハイパーインフレで全財産を失う訳ですが、案外じっとして何もしないでいるのが良いかも知れません。
今までに日本人が誰も経験していない未曾有の大災難が目の前に迫っているが、避ける手立てが見つからないのです。
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10/17 (農婦)
2013-10-12 10:30:13
今度こそ米国はデフォルトするだろうと、言ってる人がいますが、私達庶民にどんな影響が出てくるのでしょうか。特に被災者でもある私達は、不安です。勿論ニーサとか国債とかそんなものありませんが、銀行は大変な損失を受けるのでしょうね。
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