マヨロ熱の警戒警報、ちょくちょく見かけるようになってきました。
今回はベリーズ発とハイチ発。
- いまのところベリーズではジカウイルス感染症による小頭症もギランバレーも報告されていない。しかしながら、臨床的に疑われるケースは600例あり、これはデング熱よりも多い。
- ベリーズではジカウイルス感染症の症例を見逃さないようアラートになっており、全国でピックアップしているが、ジカやデング類似症状を呈しながら、ベリーズで確認されているアルボウイルスにいずれも陰性な症例が1000例以上というミステリーも。
- いま、マヨロ熱をレーダーにとらえつつある。これはボリビア、エクアドル、ブラジルで発生していて、Hispaniola島でも見られてきている。
- いま検査したうちの88%はデング・チクングニヤ・ジカ陰性。他に空気感染する何かも検討はするが、パターンに合うものはない。
- 先月、米フロリダ大から、ハイチから渡航者からマヨロ熱確認されたと報告している。
- 現在のところ警戒の焦点はジカウイルス感染症にあたっているが、カリブ海諸国で新たな疾患が始まっているのではと警戒されている。
一方、ハイチでは、
- 8歳男児のマヨロ熱感染確認。当初、微熱と腹痛から村のクリニックでチフスと診断され処方うけるが無効。そして血液検査でマヨロ熱と判明して現在隔離中。
- 米国CDCも、マヨロの頻度が上がっていることから警戒呼びかけ。フロリダ大コメント、ここ最近、デング、チクングニヤ、ジカと続いて突然現れて公衆衛生上の危機になってきた。ただいまの状況では、次に来ると思われるのはマヨロ熱。
- マヨロ熱は最初、1954年にトリニダードトバコのマヨロで森林労働者から見つかった。以来、南米でごく小規模の発生を繰り返してきた。ブラジルのアマゾン流域でサルを吸血する蚊で媒介されてきた。
- チクングニヤと近縁のこのウイルスは、それと類似症状の発熱・関節痛・筋肉痛が数週間続く。症状がデングやチクングニヤと類似していることから、マヤロ熱は過少診断されてきた。
- フロリダ大チーム(Emerging Pathogen Institute at the University of Florida in Gainesville)は実際のところ、これまでマヤロ熱を追いかけてきたわけではない。ハイチに入り子供たちの感染症をみてきたところ、マラリアが5%、チフスが5%にとどまってきた。(ハイチの医師たちは発熱患者をみたらまずマラリアかチフスを考える)そこで小児の発熱患者をかたっぱしから検査したところ、多数のデング・チクングニヤ・ジカが見つかった。ハイチのジカウイルス感染症第一例はこのプロジェクトで見つけた。
- 2015年1月8日にある少年が華氏105℃の発熱と腹痛で受診、この子供は肺所見異常なく発疹もなかった。そして血液培養で、かつてフロリダ大で見たこともないウイルスを見つけた。遺伝子分析の結果マヨロと判明。少年はデング熱にも重複感染していたから、この症状がマヤロから来ているのかどうかは判然としない。
- マヤロが科学者が説明できない予期しない方法で大流行する可能性についても警告。ハイチに関しては、現時点では「注視すべきだ」としか言えないが・・・と。
デング・チクングニヤ・ジカに次ぐ第四の主役としてジワジワ拡大しつつあるマヨロ熱。先達たちと同様のスピードで中南米の地図があっという間に赤く塗られてゆくのか、そしてジカウイルス感染症のようにアジアに拡大してゆくのか、注目度が急上昇中のマヤロ熱です。
ソースはamandala
http://amandala.com.bz/news/mayaro-fever-viral-disease-radar/
Mayaro fever, a new viral disease, on the radar
npr
http://www.npr.org/sections/goatsandsoda/2016/10/08/496894601/why-scientists-are-keeping-an-eye-on-a-little-known-virus
Why Scientists Are Keeping An Eye On A Little-Known Virus
October 8, 20167:00 AM ET
元ソース
emerging infectiou disease ,CDC
http://wwwnc.cdc.gov/eid/article/22/11/16-1015_article#comment
Volume 22, Number 11—November 2016
Mayaro Virus in Child with Acute Febrile Illness, Haiti, 2015