ジカウイルスは唾液で感染はしない。だからキスで感染することはなかろう。とい米ウイスコンシン大の報告。昨年の騒動から1年半の月日とてらしあわせて思うこと・・
- マカク猿での実験。まず3匹をジカウイルスに感染させた。その唾液、スワブを採取。
- 次に、感染していない猿5匹にスワブを咽頭部に擦り付けた。咽頭部はインフルウイルスはじめ侵入門戸となる場所。
- 結果、感染の証拠は認められなかった。
ひとまずご同慶の至りなのですが、ここで教訓は「事実が証明されること」なかでも「〇〇が無い、あり得ない」といういわゆる悪魔の証明には時間がかかることです。ジカウイルスが大騒動を起し、リオのオリンピックまで開催が危ぶまれた(事実、辞退しちゃったアスリートまで出た)なかで、さまざまな流言が流れました。「キスしただけでうつる」などは、(陰謀論までは信じない人でも)比較的信頼性を獲得しやすい部類でしょう。結局はないと証明できるのは然るべき時間が経ってから、言い方をかえれば、しかるべき時間が経てば証明できることもあるということ。将来の「感染症X」においても、パニックに対峙する際思い出せるとよいかもしれません。
一方、ジカウイルスが難しい(かもしれない)のは、これと逆も、EVDから連想されることもあります。「精子残存期間」の問題。先日、エボラウイルスが精子中に2年を経ても残存した例があったと報告されました。「精子中にウイルスが2年間残存する」ことが報告されるまでには「2年間」の月日を要します。当たり前ですが。エボラウイルス以上に、精子残存が広く問題となるのがジカウイルス。流行地域に行ってなんらかの症状があった男性は6カ月間safety sexをのWHO勧告、管理人は海外赴任者研修ではマメに伝えておりますが、この期間が将来、6カ月より長くなるとしても、たとえば2年間残存だということに話が変わっても、そのデータが出て査読をとおってパブリッシュされてWHO・CDCに認識されて、議論されて、新たな指針になるのは2019年。
いろいろ連想はたらき悩ましいジカウイルスです。
ソースは
http://www.contagionlive.com/news/kissing-unlikely-to-cause-zika-infection
Kissing Unlikely to Cause Zika Infection
AUG 22, 2017 | MICHAELA FLEMING