新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

抗マラリア薬の新顔登場、その名はtafenoquine(ブラジルで認可)

2019-11-02 09:14:43 | マラリア

抗マラリア薬の新薬登場(認可)!  といっても、耐性マラリア問題を解決なんてドラマチックな話ではないですが。 三日熱ラリアの再発予防に有効な薬というお話。

  • tafenoquine( Kozenis )。ブラジルで認可
  • 三日熱マラリアの再発予防効果。1回投与。
  • クロロキンで治療後、従来のプリマキン7~14日間投与していたところ、tafenoquineは1回投与でOK.
  • マラリアにおける三日熱の比率は増加傾向にあり、効果が期待される。

適応範囲は限りのあるものですが、ともあれ、朗報ではあります。

 

http://outbreaknewstoday.com/plasmodium-vivax-treatment-brazil-approves-single-dose-tafenoquine-or-kozenis-for-radical-cure-74785/?fbclid=IwAR1rHE-TMr3E-jqvFxaKGZ82V8jj7_NZatP7NXK0RTWANTovrWlIHlM2OYQ

Plasmodium vivax treatment: Brazil approves single-dose tafenoquine, or Kozenis for radical cure       

        by                Press Release              
October 30, 2019

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これからのマラリア対策にはこれが必要だ(WHOレポート)

2019-08-26 10:23:51 | マラリア

これからのマラリア対策に要るもの。WHO execive report発表。

  • マラリア感染者数は2015年以来、増えてはいない。しかし、このままでは感染者犠牲者を90%減少させるという目標には届かない。
  • マラリアの犠牲者の大部分は5歳以下の小児。
  • マラリア対策にはもっと資金がさかれるべきで、現行から340憶ドル増やせば、2830憶のGDP増加が得られる。コスパが高い。
  • 現在のマラリア対策は、前世紀からあった技術を用いたものだが、新たなツールに向けた努力もおこなわれている。たとえばマラリアワクチンは、ガーナとマラウィで使われはじめ、ケニアでも予定されている。
  • 大きな困難は、多くの国々で保健医療サービスを受けられない現状。アフリカの中~高リスク国でマラリア予防薬にアクセスできる妊婦は5人にひとりしかいない。マラリア流行国人口の半分は虫よけ処置された蚊帳なしで寝ている。屋内で殺虫剤使えるのは3%しかいない。

これまで比較的うまくいっていると目されてきたマラリア対策ですが、ここのところ足ふみ状態です。その背景には、マラリアに対する注目がかつてほどではなくなってきたこと、そして資金不足があります。管理人はスーダン在勤中に、家族の罹患で真夜中の初発の瞬間から観察する機会が図らずしも遭遇したので何年たっても関心が薄れませんが、遠いアフリカ(とアジアの田舎)の病気というポジションはチャレンジでしょう。

https://www.who.int/publications-detail/strategic-advisory-group-malaria-eradication-executive-summary

Malaria eradication: benefits, future scenarios and feasibility. Executive summary of the report of the WHO Strategic Advisory Group on Malaria Eradication

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2019/08/who-experts-call-new-tools-eradicate-malaria

WHO experts call for new tools to eradicate malaria

 


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サルマラリア(knowlesi )が増えた背景

2018-11-14 11:20:30 | マラリア

マレーシア保健省の見解。サルマラリア(knowlesi )が”増加”した背景について。

  • マレーシアにおいて、サルマラリア増加(2008⇒2017年で、サルマラリア376例⇒3614例、対してヒトマラリア 6071例⇒85例と大幅減)の背景、ひとつにはそういう目で見るようになりアラートがあがり、また診断精度の向上(The MoH Malaysia had introduced molecular-based diagnosis for malaria in 2009)もあり。
  • マレーシアではヒトのマラリアについて、2011年より対策キャンペーンがおこなわれ効果を上げている(上述の6071例⇒85例と大幅減)
  • もうひとつ、森林開発が盛んになり、森で活動( farming, plantation work, logging, forest foraging, hunting and forest-related recreational activities)することがリスクを上げている。

在来のヒトのマラリアが対策効果あげ大幅減の一方でサルマラリアが増加している背景を当局が説明しているものです。医療現場が”そういう目”で、見逃しが減った点は、”あるある”ですが、森林活動が増えてサルマラリアに接触するチャンスが増えた点は要注意です。

2014年に西アフリカでエボラ(EVD)大流行の元の元をたどれば、森林開発で住処をおわれたコウモリが、本来いなかった西アフリカに流れてきていたということが一要素としてありました(そしてそのコウモリが棲息する大木の洞で遊んだ子供から、あの大惨事の種火になって、都市発生やら伝統的治療師やら葬儀風習やら隔離施設脱走やら疾病理解やら流言やらブッシュミートやら・・・と燃料投下もいっぱいあったのでした)。

自然破壊のしっぺ返し、今後も何かと要注意です。

https://sg.news.yahoo.com/health-ministry-monkey-malaria-spike-121410118.html


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三日熱マラリアに60年ぶりの新薬認可(FDA)

2018-07-25 09:17:53 | マラリア

マラリアのなかではどちらかといえば目立たないVivax。60年ぶりの新薬を米FDA認可。

  • グラクソ製のtafenoquine (Krintafel), 。
  • 三日熱マラリアは、治療うけつつも再発が16年間にも及ぶことがあり、その予防として認可(prevention of  Plasmodium vivax (P vivax) malaria relapse in patients over the age of 16 years who are receiving antimalarial therapy)。
  • ヒプノサイトを含む、あらゆる時期に効果。

三日熱マラリアは熱帯熱マラリアのような”治療が手遅れになると死の恐怖”の代わりに、一生のお付き合いになる嫌らしさがあります。第二次大戦を生き延びた元兵士のおじいさんが「わしゃあ、兵隊に行ってマラリアをわずろうてなあ・・・」というお話は、まだかろうじて特養や老健など福祉施設で働けば(かろうじて)耳にすることが出来ます。それは肝内寄生によるものですが、ヒプノサイトも含めて全期間奏功するのは画期的で、朗報です。米国ならベトナム戦争帰りはまだ存命中のことも多く、また、今後もPKOほか必要となる症例は出てくることでしょう。朗報。

https://www.contagionlive.com/news/fda-approves-tafenoquine-first-new-treatment-of-p-vivax-malaria-in-60-years

FDA Approves Tafenoquine, First New P Vivax Malaria Treatment in 60 Years

 
JUL 23, 2018 | MICHAELA FLEMING
 

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サルマラリアの検査キット

2018-04-11 23:46:26 | マラリア

通称サルマラリア、Plasmodium knowlesi の検査キット完成。

  • 南アフリカKwaZulu-Natal 大チーム。Plasmodium knowlesi 特有のタンパク同定。PMT, short for phosphoethanolamine-N methyl transferase.
  • 現在、14億の人口がマラリアの危険にさらされており、南西アジアで150万例が報告されている。
  • 南アフリカにはサルマラリアの発生はないが、マレーシアから検体取り寄せた。

Plasmodium knowlesiの抗体タンパクを同定したという話で、第5のマラリアも的確に診断できるようになることになります。

マラリアは、海外医療に携わる者にとって、最も悩ましいもののひとつです。管理人は前職外務省に入る直前に、当時は群馬大に委託されていたマラリア研修を受けてスーダンに旅立ったのですが、当時(1992年=もう四半世紀も経った!)にはマラリア迅速キットなる物自体存在しておらず、プレパラートをつくって観察する練習をしつつ今一つ確信できないまま飛び立ったものです。マラリアは死ぬ病気ですから、それはそれは不安。実際に高熱を出した同僚の採血は、ベテラン技師のいるイブン・カルドゥーン病院に出しておりました。そしてセネガル在勤の頃にICTマラリアが出来て熱帯熱マラリアが「血液をたらしたら浮き上がってくる線」で可視化されることになんとも革命的な驚きをもって眺めた思い出があります。月報上で”医務官の友”なる愛称を奉る人もいたような(まあ、”医務官の友”と称されるアイテムは時にはロペミンだったり時にはクラビット(あの頃はタリビット)だったり、一定するものではないですが)

今回、サルマラリアも血液一滴で診断できることになりそうで、医務官の友がもうひとつ加わりますね。ご同慶の至り。

http://outbreaknewstoday.com/plasmodium-knowlesi-south-african-researchers-detail-new-test-malaria-85605/

Plasmodium knowlesi: South African researchers detail new test for this malaria

April 10, 2018

 

 

 


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コンゴのボノボから新種のマラリア見つかったけれどミステリー深まる

2017-11-23 14:39:18 | マラリア

コンゴ民主共和国の猿(ボノボ)から、これまで見られなかったマラリアが見つかった!と話題に。

  • これまで、チンパンジーやゴリラなどと異なり、ボノボではマラリアが見つかっておらず、理論的には感染するはずであるのに対して、それはミステリーとされてきた。しかし今回、コンゴ民主共和国のTshuapa-Lomami-Lualaba にて、地理的にさまざまなセッティングで11か所で糞便1556サンプルを調査したところ、ボノボが新種のマラリアPlasmodium lomamiensisに感染していることがわかった。
  • 不思議なことに、マラリア感染したボノボは、地理的には極めて限られた範囲でのみ確認された。その理由は、今現在考えられる要素(生態、植物消費、糞便中微生物)では説明がつかなかった。まだ知られていないバリアがあるのかもしれない。
  • かつて熱帯熱マラリアも、なんらかのバリアを乗り越えて人間に入ってきた。今回の新種が人間の世界に入ってくるか否か予想には、熱帯熱マラリアがどうやって人間界に入ってきたかの知見が必要だ。

(画像は直接関係ありません)

http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2017/11/new-malaria-parasite-discovered-bonobos

New malaria parasite discovered in bonobos


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多剤耐性マラリア、カンボジア・タイ・ラオスはもとよりベトナム南部にも

2017-09-27 09:02:15 | マラリア

 昔から薬剤耐性マラリアの”火薬庫”だった東南アジア。多剤耐性(dihydroartemisinin (DHA)-piperaquine 耐性)が、ベトナムまでおりてきたぞ・・と話題に。

  • dihydroartemisinin (DHA)-piperaquine 耐性マラリア。P falciparum C580Y 。
  • これまで、カンボジア西部、タイ東北部、ラオス南部とならんでベトナム南部でも。結果、マラリア治療失敗例が増加している。
  • この事態は深刻で、将来、マラリア撲滅の動きを危機に陥れる可能性もあり、メコン地域で流行する前に、マラリア対策を今一度強調してゆく必要がある。

耐性マラリアの話になれば、管理人が外務省入省直前のマラリア研修の頃(つまり、四半世紀近くも昔の1993年)から、タイ―ミャンマー国境が云々、ラオスが云々と語られていた長い長い歴史のあるのが東南アジアです。あの頃は、クロロキンが段々効かなくなってきて・・・という今思えば牧歌的なレベルでしたが。そして、あの頃、救世主のように語られていたアーテメサ系が、あの頃のクロロキンみたいなことになりそうだというお話です。しかもベトナム南部まで降りてきているという。

メコンデルタといえば、在留邦人数もどんどん増え、赴任前研修など受けていない零細企業の方々も多く住まれるところですから、こういった情報をどう伝えてゆくか、そして、蚊に刺されないよう行動変容をどう促してゆくか、大きな課題です。

 

http://outbreaknewstoday.com/malaria-superbug-spreads-vietnam-severely-jeopardize-malaria-elimination-efforts-77146/

Malaria ‘superbug’ spreads to Vietnam: ‘This could severely jeopardize malaria elimination efforts’

September 24, 2017

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マラリア迅速診断キットの光と影・・耐性菌問題に油を注ぐ!?

2017-08-20 00:56:13 | マラリア

マラリア迅速診断キット。管理人も外務省時代には非常にお世話になり、当時、医務官の友といわれていました(今もそうじゃないかな)。そんなマラリア迅速診断キットの負の側面。不必要な抗生剤処方を増やしてしまい、耐性菌問題に油を注ぐのではと。

  • マラリア迅速診断キットが出来て以来、遠い村でもマラリア診断ができるようになったメリットは大きい。特に、マラリアと診断された人だけに投与できることになり。ACT(アルテメシニンをベースとする併用療法)の不必要な使用を減らすことが出来た。WHOが迅速診断キットとACTのコンビネーションを推奨していらい、迅速診断キットの使用は飛躍的に伸びた。
  • しかしながら負の側面もある。迅速診断キットの導入以来、抗生剤の使用がぐっと増えてしまった。貧困国においては、すべての医療がプロによっておこなわれるわけではなく、一般商店で抗マラリア薬が取り扱われることもある。発熱した子供を抱えて遠路はるばる受診してきたときに、なんらかの「強力な」薬を出さずに帰してしまうことに心理的抵抗を感じることもある。「強力な」とは抗マラリア薬か抗生剤。(そこで、マラリアが否定されると抗生剤をということになる)。
  • マラリアだけを迅速診断するのではなく、将来、細菌感染症を迅速するキットが必要なのでないか。

う~ん、かつて管理人も愛用していたマラリア迅速診断キットが、多剤耐性菌問題をややこしくしていたとはショックです。たしかに、ストーリーを示されてみれば、そういうことも有ろうかとなりますが、、、その背景となる、促成保健職が薬を扱わねば回らない問題も、スーダンやセネガルでも見てきたところであり(メンタル分野では伝統的治療師さえ、薬を供給して促成教育をして使わねばならない)、実感できるところ。メジャーな感染症それぞれの迅速診断キットを開発してゆかねばならないのでしょう。

 

http://www.sciencemag.org/news/2017/08/revolutionary-malaria-tests-have-unexpected-downsides

Revolutionary malaria tests have unexpected downsides

 


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マラリアの逆襲、1か月で例年50年分のケースが出てしまったカーボベルデの苦悩

2017-08-11 10:32:35 | マラリア

アフリカのカーボベルデ。北アフリカの島国でマラリアが爆発的に増えています。年間1例あるかないかの処で実に1か月に45例。

  • カーボベルデ。過去5年間、年に平均1例のケースが見られたにすぎなかったが、今年6月30日から7月30日のあいだに45例。熱帯熱マラリア。半数は成人男性。
  • 原因としてベクターコントロール不適切、2016年11月に導入された殺虫剤の不適切な使用、ショッピングセンターの工事現場でのぼうふら発生、などが挙げられている。
  • カーボベルデではマラリアは発生少なく排除宣言近くで、人々のあいだに免疫はなく、感染や重症化リスクが高い。

管理人が在セネガル大使館に在勤していた頃、このカーボベルデは(当時のマリやモーリタニア同様)兼轄国のひとつでした。館内ではもっぱら、カーボ、カーボと呼ばれていた小さな島国、ジカウイルス感染症でも名前が出てきたように、時々感染症騒動のフォーカスになります。今回も、わずか1か月で50年分のマラリアケースが発生!と、未曾有なことが展開しているわけで懸念されます。

 

http://outbreaknewstoday.com/cape-verde-sudden-unprecedented-increase-malaria-2017/

Cape Verde: ‘Sudden and unprecedented increase’ in malaria in 2017

August 7, 2017

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DCCのマラリア予防ポケットブック改訂版

2017-06-30 00:12:26 | マラリア

DCCのマラリア予防ポケットブック、2017年版がアップされています。

スーダン・フランス・セネガルと在勤した管理人にとって、緊急移送やら邦人保護やら身内の罹患やら移送受取やら、実にさまざまな方法でかかわりました。

そういえば、Ict malariaが初めて登場した頃、「医務官の友」と呼ばれていました。この頃どうなのかなあ。

ダウンロードはこちらから。
https://www.dcc-ncgm.info/resource/

file:///C:/Users/tabib/Downloads/%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A2%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%EF%BC%882017%E5%B9%B4%EF%BC%89.pdf


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