新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

狂犬病にかかったビーバーがカヌー遊びの7歳児に襲い掛かるの図

2018-08-13 00:23:53 | 狂犬病

狂犬病に罹患するのは犬だけではない。猫もコウモリも・・・と、当サイトの常連さんならかなりの動物をあげられると思います。しかしそれでも、これはなかなか出てこないだろうなあという動物が襲い掛かってくる視聴者投稿画像が話題をよんでいます。

ビーバー!

いかにも腕っぷしの強そうな父ちゃんが7歳の娘を連れて(それぞれ別の)カヌーを漕いでいると、突然ビーバーがオールに噛みついてきました。驚いてパドルで殴るもひるまず、オールを分離して金属部分で殴打。すると7歳の娘のカヌーに向かっていった(!)ので慌てて救助に向かい、今度は丸太のような腕っぷしで直接、殴り殺したところで娘は無事。父ちゃんはPEP(暴露後ワクチン)フルコースと相成りました。

狂犬病は戌だけにあらず。管理人のセネガル在勤時代の現地法人で、道端で弱っている猫を不憫に思ってミルクをあげようとしてガブリとやられてしまった心優しい奥様がいらっしゃいましたが(この話は途上国の赴任者研修で必ず話してる)、それも狂犬病判明でPEP+グロブリン+抗生剤フルコースやっていただきました。ビーバーも注意、川遊びも注意!

動画はソースをクリック、直接ご覧ください。 

https://fox6now.com/2018/08/10/video-rabid-beaver-attacks-kayakers/

Video shows rabid beaver attack father, 7-year-old daughter during kayaking trip


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狂犬病に85人罹患!の衝撃、暴露後免疫1592人に(ペルー)

2017-01-02 20:30:37 | 狂犬病

南米ペルーのクスコで狂犬病85人罹患、民間・軍隊あわせて1592人が暴露後接種を受ける騒動になっています。

  • クスコ周辺のCamana, Mayapo, Puerto Huallana and Alto Pichas。
  • ジャングル地帯でコウモリに咬まれたもの。なかには軍隊が15人咬まれて首都リマに緊急移送されたケースも。うち2例確定、1例死亡。
  • 民間人912人と軍680人がAlto and Bajo Urubamba, in the district of Megantoniで暴露後ワクチン接種を受けた。

吃驚な数字です。そして狂犬病媒介動物としてのコウモリの恐ろしさがあらためて伝わります。

管理人も、スーダン在勤中に、自宅敷地内から一切出したことのない愛犬に咬まれた同僚・・というのを経験し、よく話を聞いてみたら、自宅の大木にこうもりが居て、コウモリ→愛犬(狂犬病確認)⇒飼い主(暴露後免疫)というルートだったことがあります。

日本人にもわざわざ好き好んでジャングル地帯に行きたい人がいます。南米に行く人には要注意喚起。

ソースはoutbreaknews
http://outbreaknewstoday.com/peru-85-suspected-human-rabies-cases-reported-jungle-cusco-28785/

Peru: 85 suspected human rabies cases reported in jungle of Cusco


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ベトナムの狂犬病は今年すでに49例死亡

2016-10-03 21:59:31 | 狂犬病

ベトナムの狂犬病は今年盛り上がりすでに死亡49例。

  • ベトナムの狂犬病、今年にはいってすでに死亡49例、発生は20都市/地方におよんでいる。北部が中心。
  • 多くが犬か猫の咬傷によるものだが、このような咬傷がベトナムでは年間40万件発生している。

記事自体は、上記内容に続けて基礎知識の解説になっており、この数字になっている背景までは解説されていません。

狂犬病の保有動物としてクセ者はコウモリです。管理人がスーダン在勤中、愛犬に咬まれた同僚の暴露後免疫を実施したことがあります。自宅の塀から出したことのない愛娘にて、なぜ狂犬病になるのか(←愛犬の狂犬病自体は解剖で確認)なんとも不思議でしたが、後刻わかったことは、自宅の庭の大木にこうもりがいつもいることでした。コウモリ→自宅敷地から出したことのないペット→人間 というストーリーは実際にあるということです。

ベトナムは日系企業の進出も多く、赴任者も多いところです。外務省海外在留邦人数調査統計では14695人、対前年比プラス8.5%増という数字。

ベトナムといえば、かつて管理人が外務省入省した頃は南部ホーチミン=都会、北部ハノイ=静かなイナカという理解でしたが、今や昔、現在ではハノイに日本人医師の常駐も複数という時代です。赴任者研修では狂犬病の話も必要でしょう。

ソースはoutbreaknews
http://outbreaknewstoday.com/vietnam-reports-49-human-rabies-deaths-to-date-most-in-northern-region-27279/

Vietnam reports 49 human rabies deaths to date, most in northern region

 

Posted by on October 2, 2016


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狂犬病のラクダがJKに襲い掛かかり犠牲になってしまった報道(スーダン)

2015-12-08 07:37:35 | 狂犬病

ラクダから感染する病気といえば、MERS-CoVが有名になってしまったここ数年でありますが、「狂犬病」をうつされ犠牲になってしまった気の毒な12歳と17歳のケースが報じられています。

  • スーダン、ダルフールのEastJabel。
  • 12歳と17歳の少女が狂犬病感染したラクダに咬まれて犠牲に。
  • そのラクダは、狂犬病感染した犬にかまれて感染したと信じられている。
  • この地区で、250頭のラクダが狂犬病感染しているとの情報も。
  • 狂犬病は、理論上、あらゆる哺乳類に感染可能性あり。犬・ネコ・コウモリ・アライグマ・コヨーテ・狐・スカンク。

スーダンの狂犬病、管理人もこの国に在勤中に難儀しました。ある邦人、自分の自宅敷地内から一切出したことのない愛犬に突然咬まれて傷パックリ、その愛犬もまもなく亡くなり解剖の結果狂犬病確認。なぜ自宅敷地から一切出さない愛犬が・・・と思いきや、庭にコウモリが飛来していて、コウモリ⇒犬⇒(飼い主は暴露後免疫でことなきを得ましたが)という事だったらしい。

ともあれ、狂犬病はラクダに注意。ラクダは実は結構凶暴な動物で、蹴られて外傷という話はちょくちょく現地で耳にしますが、狂犬病になればさらに凶暴化して12歳の少女や17歳のJKに襲い掛かってきたりします。ご注意を。

ソースはDabanga ⇒outbreaknews
https://www.dabangasudan.org/en/all-news/article/ocha-haemorrhagic-fever-cases-in-darfur-reach-469

http://outbreaknewstoday.com/sudan-rabies-deaths-linked-to-camel-bites-19565/

Sudan: Rabies deaths linked to camel bites

Posted by on November 30, 2015

 


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狂犬病には想定外の発症があるという話(ネパール)

2015-11-17 07:59:18 | 狂犬病

渡航者研修で狂犬病の話をするとき、咬まれたら帰国まで待たず必ずその日のうちに現地病院へ(暴露後免疫)とか、暴露前免疫の話とか、ネコやコウモリにもいる話とかをしていますが、いささか想定外の問答が本日のProMEDに。

  • ネパール人ドクター:63歳男性。Pahalwanpur, Kailali district (Seti Zone)から受診。腕の痛み・興奮・恐水病・羞明など典型的な狂犬病症状で11月11日受診、翌12日死亡。狂犬病確認されたので病歴を詳細に聞くと、53年前の10歳時に咬まれていたことが判明。狂犬病の潜伏期が53年ってこと有やなしや?
  • 回答者:53年というのは考えにくい。狂犬病は、咬まれていなくても、たとえば毛に付着して唾液とかでも感染するので愛撫でもあぶない。自分でも認識していない(覚えていない)マイナーな接触があるのではないか?

面白い問答です。”53年越しの潜伏期”には否定的見解なるも、咬まれなくても撫でただけで(本人も気づかないうちの)狂犬病・・・という見解は、否定もしにくく、ちらりと一言ぐらいは研修で述べてもよいのかもしれません。

ソースはProMED
http://www.promedmail.org/post/3791390

Date: Thu 12 Nov 2015
From: Sher Bahadur Pun <drsherbdr@yahoo.com> [edited]


Rabies long incubation, human, Kailali district, Nepal


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バリ島の恐怖。観光名所でも犬に追い回され咬まれ狂犬病暴露後免疫(台湾人観光客)

2015-10-22 09:33:48 | 狂犬病

日本人にも人気のリゾート、バリ島。ここの恐ろしさはSTD持ちのビーチボーイズばかりではありません。観光名所の寺院で犬に追い回され30針の犬咬傷のあげく暴露後免疫の一例が帰国後台湾マスコミあげての騒動になっています。

  • 31歳女性。観光名所のTanah temple見学中、複数の犬に追いかけられ咬まれた(and bitten by dogs at one of the island's famous temples)。
  • 犬咬傷は30針の縫合を要し、同時に破傷風ワクチン接種、免疫グロブリン、抗生剤、破傷風ワクチン投与をうけた。
  • 台湾に帰国時、台湾CDCは検疫所にて今後の暴露後免疫の指導をおこなった。

とりあえず発症したとは書いていないので、ハラハラドキドキ観察中なのでしょう。

バリ島の恐ろしさは日本でもあまり知られていません。
1.狂犬病リスク。有名観光地でさえ犬に追い回される。少し以前には、インドネシア全体で狂犬病ワクチン不足でバリ島で咬まれたらジャカルタに緊急移送という情報もアップした記憶がありますが、今回はその事態は免れたようですが、供給不安定問題も無視できません。

2.STD
空港で日本女性を待ち構えているナンパ男の群れ。以前国際渡航医学会でバリ島問題の講演で日本女性を”traditional victim"と表現するスピーカーがいて妙に印象に残っています。

3.テロ
オーストラリア人が集うディスコでドッカン!と大爆発は記憶に残るところですが、そういえば最近ISISが「シリアに来れない同志はここで日本人狙え」と指令だしたのが報告されてたのもインドネシアだったような。

4.デング熱
デング2型の流行がProMEDを賑わせたりしていましたね。

あと、ダイビングインストラクター漂流死事件のときに、ダイバー業界で永住する女性たちと在留邦人として新たな一群の存在も明らかになっていました。メンタルヘルスなど。

これだけネタが豊富なバリ島、管理人的にはいっぺん行ってみたい気もしますが、、、ミャンマーの科研費で行っちゃったりしたら、やっぱダメだろなあ(笑)
 

ソースはfocustaiwan
http://focustaiwan.tw/news/asoc/201510210020.aspx

Taiwanese tourist returning from Bali treated for rabies

2015/10/21 17:42:40
 

 


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世界狂犬病デー(9/28)

2015-10-01 09:14:55 | 狂犬病

 世界狂犬病デーで啓発記事。

  • 世界中で狂犬病の脅威にさらされているのは300万人
  • 世界中で、毎年59000例の犠牲者がでており、9分おきに狂犬病で命をおとす人が発生している。
  • 多くはアジア・アフリカ。半数近くが15歳未満の小児。
  • 適切な処置ーワクチンと免疫グロブリンがなされれば、その多くは救える命。
  • もっとも効率のよいのはペットの予防接種。
  • 途上国におけるキャンペーンのいくつか紹介。エチオピアやハイチなど。

狂犬病の怖いのは、普段ふつうにそこらへんにいる動物が感染により攻撃性をもってくる点です。たとえば、ヘビやムカデならば、存在即危険と(一般人口に)認識されるので、それらを見つけると離れるという行動になります(確実に退治できる能力を持っていると確信できる場合には退治へ)。しかしながら、犬の場合、犬は犬ということで、退避が遅れがちになります。たとえが以下の写真。ゴミ置場で清掃作業員が作業をしれいます。その半径3m以内に少なくとも4匹の野犬が確認できます。この作業員は、「この野犬のうちのどれかが狂犬病ウイルスをもっているかもしれない。怖い!」と思っているかといえば99.9%思っていないでしょう。毎日の日常的風景としかとらえられていないはず。「慣れ」が支配。

この写真を撮った管理人自身、そうです。管理人はこの国を調査研究で訪れるのは6回目。初回はとても怖くて(=健全なレベルの警戒心がはたらいて)近づけなかった。6回目になると、さしたる望遠機能もないコンパクトカメラで、至近距離でこのシーンに入り込んでいる。やっぱ「慣れ」です。

そういう人々に対し、暴露後免疫の知識を含めて然るべき知識をしっかり伝える機会としての記念日は、やはりそれなりに意味があることでしょう。

 

http://outbreaknewstoday.com/world-rabies-day-2015-59000-people-die-of-rabies-globally-each-year-46324/

World Rabies Day 2015: 59,000 people die of rabies globally each year

Posted by on September 28, 2015

 


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狂犬病暴露後免疫はパーフェクトならず(チュニジア)

2015-01-30 11:00:19 | 狂犬病

チュニジアといえば、”アラブの春”のトップランナー国でしたが、狂犬病も難儀なところです。暴露後免疫をキチンと実施したけど薬石効なく・・・のケース。

  • 6歳児。野良犬に顔面を咬まれる。
  • 受傷当日に免疫グロブリン使用、暴露後免疫開始。
  • 暴露後免疫はWHOスタンダードにしたがい、第0、3、7、14日にキチンと実施。
  • しかしながら第17日になり発熱、嘔吐、神経症状を呈して受診。急速経過で当日中にけいれん発作等出現して犠牲に。恐水病症状はなかった。
  • 通常、暴露後免疫を実施して犠牲になってしまうのは極めてマレ。キズの洗浄が不十分でウイルス入りの唾液が残っていた可能性はあるが、たとえそうだとしても助からないのはマレ。
  • 狂犬病ウイルスは、神経を通って脳に到達すると救命困難。神経を通るスピードはゆっくり。ワクチン接種して免疫ができるのと、ウイルスが脳に到達するのとの競争。今回のケースは顔面と、脳に近い部位だったのも要因。

海外渡航者への赴任前研修で必ず盛り込むのが狂犬病の話です。
管理人の経験では、スーダンとセネガルでそれぞれ、「同僚が狂犬病動物に咬まれた!⇒暴露後免疫!」ということを経験しました。前者は自宅庭から出したことのない愛犬でしたが、その後、庭の大木にコウモリが常駐してることが判明(コウモリ→愛犬→ヒト)。後者は心優しい奥様が道端で弱ってる猫に同情してミルクをあげようとしたらガブリとやられたものでした。どちらも暴露後免疫はしっかり機能してご存命中ですから、論文にはしていません(幸)。

今回のケースは野良犬です。チュニジアのようなアラブ圏では通常、犬は忌み嫌われます。スーダンでもセネガルでも、野良犬が家の門に来ると、門番が石をぶつけて追い払っていました。他方、それと正反対なのが上座部仏教国です。仏教の教えに不殺生戒というのがあり殺処分の壁になります。

たとえばミャンマーでは、大通りだろうが中央駅だろうが宗教施設だろうが高級ホテルだろうが観光地だろうが、野良犬が闊歩しています。当局は毒団子を撒くという対策を試みますが、上座部仏教徒の心優しい人々は、撒かれる日になると自宅に野良犬をかくまう(!)という行動に出る人もいると現地で聞きました。

途上国への渡航者への啓発として、狂犬病ワクチンの暴露前免疫と暴露後免疫はデフォで語られますが、「挙動不審の犬を見たら全速力で逃げよ!」という基本も話すべきでしょう。

あと、超音波で犬を撃退する器具というのもAmazonあたりで検索すると色々出てきます。その効果のほどはさっぱりわかりませんが、本稿を書きながら、試してみることを思いつきました。さきほど注文を入れ、来月ミャンマーに行きますので、トライしてみます。

ソースはLive science
http://www.livescience.com/49583-rabies-vaccine-failure.html

Rabies Vaccine Fails in Rare Death


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