デング熱に修学旅行の高校生が感染し、京都・奈良でもらったらしいとの報道が昨日から流れています。これから修学旅行シーズンごとに、こういう事が繰り返されるだろなあというのが実感です。
京都生まれの管理人からみれば「さもありなん」というストーリーです。京都(&奈良)に修学旅行に行き、2人”だけ”が診断された。無症候例もありますから、実際の感染はその倍あたりでしょうか。以下考察
1.なんで2人(~その倍程度)なの? 実はいまどきの京都修学旅行は、観光バスから大勢ぞろぞろ降りてくるのも勿論すたれてはいませんが、タクシーを借り切ってグループで京都の街を回るのが”今風”です。管理人も帰省していつも手を合わせにゆく神様仏様のところにゆけば、中高年男性(タクシー運ちゃん)+3~4人の高校生という組み合わせが、何組も闊歩しているのがいつもの光景です。だから数十人ではなく、2人+αだけ感染するのは、まあそうだろうなというのが実感。では、彼らがどこに行きたがるか。漫画ミュージアムあたりはともかく、先生のOKも要りますから、やはり神社仏閣です。人気は、縁結びの神様、芸能人の玉垣の神社、サッカーの神社、パワースポット、いろいろ。山のようなインバウンド旅行客と、山のような高校生が邂逅します。
2.さて、神社仏閣における、デング熱対策は如何に。これ、公的補助が無けりゃ絶対ムリです。以前、2014年に代々木公園ほかでデング熱が大ブレイクしてしまったのは当サイト常連さんには記憶鮮明なところです。その時に宗教関係者にアンケート調査おこないました。論文は、関西福祉大学リポジトリからpdfダウンロードいただけます( 勝田吉彰: デング熱・チクングニヤ熱など媒介蚊対策における宗教関係者の意識調査 日本医事新報)4764:44-49 2015)
https://kusw.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=448&item_no=1&page_id=24&block_id=42
実はこの頃、管理人はいくつかの僥倖に恵まれました。管理人が奉職する関西福祉大学は金光教(神道系)の経営です。その大教会長が管理人に講演を依頼して来られたのが国際宗教同志会、神職もお坊さんも宗派を超えて仲良く席を同じくする世界というのを初めて知りました。そのご縁で、神道系も仏教系も、誰でも名前を知ってる有名寺院含め、アンケート調査を実施することが出来た結果が上記論文です。
神社仏閣の蚊対策、それはそれは大変です。境内の50%以上が薮や森林や竹藪という処が23%、「竹林だけで2000坪」と書かれていたところもあります。蚊対策は不可能、かなり困難あわせ72%。少しお話させていただいた有名神社のグーグルアースは、ひたすら森。そのHPを見れば、ご利益は(高校生大好きな)縁結び。また、別の仏閣からは隣接する墓地の花指しから大量の蚊がという声も。
蚊対策には、公的支援が必要という声が数多く記されています。
この画像は、車折神社。芸能人たちの玉垣は、多くの修学旅行生たちをひきつけ、インスタ画像はあふれかえっています。(余談ながら、ここは管理人の少年時代の、学習塾のすぐご近所です。つまりこの神様とは50年来のおつきあいいただいておりまして、H1N1以来10年来、TV局ラジオ局で大きな失敗をせずにやって来れてるのはこの神様のご加護と率直に信じておるところであります)さて、この神社とて、境内の樹木には苦戦しており、毎年、「尊厳維持」と、その伐採の費用を求める振込用紙が送られてきます。管理人も、いくらか協力はさせていただいておりますが、そういう寄付が集まるわけでもない多くの神社仏閣の状況は推して知るべしです。
結論;
1.今回の、京都奈良修学旅行生のデング熱罹患は、京都人から見れば「さもありなん」である。
2.京都の(奈良も)神社仏閣が、大勢のインバウンド旅行者と修学旅行生であふれかえり続ける限り、今回のような事象は起こり続けるであろう。来年も再来年もその先も。
3.それでは京都のイメージダウンだから、なんとかせなあきまへん、だが、神社仏閣の自助努力で蚊をなくせというのは絶対不可能である。公的支援が不可欠。(詳細は上記論文)