風極の岬 えりも 法光寺住職の「善き人々に出逢う旅」

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

典座(仏道修行の食事係り)の心構えとは?

2015-09-02 20:02:16 | 日記



<昨夜に続いて、お食事についての、仏道の考え方を記してみます>
道元禅師は『典座教訓』の中で、食事をつかさどる係り=典座〈てんぞ)の心構えを、三つ示しています。
それを「三心」と言います。

一つ目は「喜心」~喜びを持って行う心です。
「自分は人間世界に生じ、多くの修行者の為の清らかな食事を作ることが出来る。そのご縁を喜びましょう」
善き縁を「喜ぶ」気持ちがあると、調理にも励みが生まれ、心のこもった料理ができるでしょう。
お店で材料を吟味することにも、楽しさが生まれてまいります。
勿論、一般のご家庭では、予算や、調理の時間の制限もあるでしょう。
しかし、その中で工夫し、「おいしいね」という声を聞くことが出来たら、喜びが増すでしょう。
作る方も、頂く方も喜びを分かち合う食事の席は、素敵です。


写真は、先年訪れたメキシコシティーの市場。
こんなに沢山の食材があると、選ぶだけで楽しいですね。
値段もとっても安かったです。


二つ目は{老心」~父母の心のような優しい、おもいやりの心です。
修行僧は、お水やお米を扱うにも、丁寧な「親心」を忘れてはいけないと、教えられます。
食べる人の立場になって、調理を行う心。温かいものは温かく出すタイミング。
さっぱりしたものが食べたい時節には、味付けをあっさりとしてみる。
全てにおいて、親が子を思うような愛情を持って接するのです。
お祝いの食事の時などは、ダインングテーブルに花を飾る優しさも、持ちたいですね




三つめは「大心」~些細なことを気にしない大きな、おおらかな心です」
大山が群山にそびえてびくともしないように、大海が沢山の川の水を受け容れているように。偏りのない、差別のない心です。
どんな材料でも、工夫によって美味しい料理になるでしょう。たとえ、少し味付けに失敗してもクヨクヨしないのです。
食べる側も、細かいことをあまり気にせず、互いを思い遣ることが出来れば、会話も弾みますね


「喜心」「老心」「大心」を、是非参考に、学んで欲しいと存じます。