風極の岬 えりも 法光寺住職の「善き人々に出逢う旅」

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お彼岸に願うこと~六波羅蜜の実践

2015-09-23 19:42:39 | 日記

 世間はシルバーウイークで、行楽の時節です。
 しかし出世間であるお寺では、今日はお彼岸の中日です。
 勿論、お盆と同様に故郷に帰って、お寺やお墓にお参りされた方も多いでしょう。
 拙寺のお位牌堂、納骨堂にも信仰深い方々が多く訪れます。
 お寺離れとか、墓じまいという言葉が広まる昨今ですが、先祖を敬う心は失われていません。

 写真は、今月上旬に、布教に伺ったD寺の万灯供養の模様です。
 通常は夕刻や夜に行われますが、ここでは本堂を暗くして、日中修行されました。
 短いお塔婆に先祖のご戒名等を記し、想いと祈りを込めて、それぞれが灯明に灯をつけます。
 梅花講員の女性方のお唱えの中で、厳かに行われる、美しい儀式です。
 この日の法式は、コンパクトにされたものですが、それでも1時間近くかかりました。
 ときおり揺らめく蝋燭の灯をみつめながら、お手伝いの僧侶と共に、静かに流れる時間を味わいました。


 

 






 さてお彼岸ですが、一般には先祖を敬い偲び供養する一週間と、考えられていましょう。
 しかしそれと共に、ご先祖様に想いを馳せて、いのちの源に感謝しながら自らを振り返り、修養する期間なのです。
 その修行の内容を六つにまとめたものを「六波羅蜜」と呼びます。勿論、普段から心掛けるべき内容です。
 拙僧なりに、まとめてみます。
 
 1、布施(ふせ)波羅蜜=限りない慈しみと思いやりの心を育て、分かち合う喜びを知る
 2、持戒(じかい)波羅蜜=正しい生活をしていましめを守り、自身の向上につとめる
 3、忍辱(にんにく)波羅蜜=怒りをしずめ、寛容な心で物事にむかう
 4、精進(しょうじん)波羅蜜=怠ることなく、目標に向かって努力を続ける
 5、禅定(ぜんじょう)波羅蜜=心を穏やかにして、真理を見極める眼を磨く
 6、智慧(ちえ)波羅蜜=ものごとの道理を正しくみつめて、理解する


 「六波羅蜜」は、大きく深い幸せに向かって生きる六つの実践目標です。


 
 

結婚式の仲人をつとめました~承前~その後布教の日々

2015-09-22 20:16:57 | 日記

(前回の投稿途中でPCの調子が悪くなり、後でとおもいましたが、誤ってアップしてしまいました。失礼しました)

 (その後)出張や、お彼岸のおつとめがあり、仕事に追われる日々です。

  さて、室蘭のお寺の婚儀は盛大なものでした。
 美男美女のカップルで、媒酌人としても誇らしい。
 30歳になる新郎は落ち着いていて、立派な挨拶をしました。新婦さんは実に愛らしく、美しかったです。
  それにしても、高砂の席に3時間も坐るのは、なかなか大変な仕事。結構疲れました。
 お酒も少しだけいただきましたが、酔う訳にもいきません。

  
  晴れの日の翌日からは、3日間、千歳周辺のお寺で布教のつとめを致しました。
 3つのお寺に伺い、お寺参りの法要に出て法話をするのが、拙僧の仕事です。
  恵庭のお寺では、幼稚園児たちが参列し、仏さまのうたを合唱してくれました。



  

  小さな手を一つに合わせる姿は、仏さまそのものです。保護者の皆さんも一緒にお参りです。この子たちが、すくすくとそのまま真っ直ぐに育って欲しいと、拙僧も掌を合わせました。
  


結婚式の媒酌人をつとめました

2015-09-14 20:15:30 | 日記

9月の初旬、良く晴れた穏やかな日。

ご縁の深いお寺の若様(副住職)夫妻の婚礼に赴きました。
お昼からお寺の御本堂で行われた荘厳な仏前結婚式に、立会人として臨席。
夕刻からは、披露宴で媒酌人の大役をつとめました。




最近は、媒酌人いわゆる仲人をたてる挙式は、数少ないようです。
この日の参会者は、およそ360名。大変な数です。勿論、お坊さんも沢山いらっしゃいました。
若い僧侶に、法話の指導をする役目を



典座(仏道修行の食事係り)の心構えとは?

2015-09-02 20:02:16 | 日記



<昨夜に続いて、お食事についての、仏道の考え方を記してみます>
道元禅師は『典座教訓』の中で、食事をつかさどる係り=典座〈てんぞ)の心構えを、三つ示しています。
それを「三心」と言います。

一つ目は「喜心」~喜びを持って行う心です。
「自分は人間世界に生じ、多くの修行者の為の清らかな食事を作ることが出来る。そのご縁を喜びましょう」
善き縁を「喜ぶ」気持ちがあると、調理にも励みが生まれ、心のこもった料理ができるでしょう。
お店で材料を吟味することにも、楽しさが生まれてまいります。
勿論、一般のご家庭では、予算や、調理の時間の制限もあるでしょう。
しかし、その中で工夫し、「おいしいね」という声を聞くことが出来たら、喜びが増すでしょう。
作る方も、頂く方も喜びを分かち合う食事の席は、素敵です。


写真は、先年訪れたメキシコシティーの市場。
こんなに沢山の食材があると、選ぶだけで楽しいですね。
値段もとっても安かったです。


二つ目は{老心」~父母の心のような優しい、おもいやりの心です。
修行僧は、お水やお米を扱うにも、丁寧な「親心」を忘れてはいけないと、教えられます。
食べる人の立場になって、調理を行う心。温かいものは温かく出すタイミング。
さっぱりしたものが食べたい時節には、味付けをあっさりとしてみる。
全てにおいて、親が子を思うような愛情を持って接するのです。
お祝いの食事の時などは、ダインングテーブルに花を飾る優しさも、持ちたいですね




三つめは「大心」~些細なことを気にしない大きな、おおらかな心です」
大山が群山にそびえてびくともしないように、大海が沢山の川の水を受け容れているように。偏りのない、差別のない心です。
どんな材料でも、工夫によって美味しい料理になるでしょう。たとえ、少し味付けに失敗してもクヨクヨしないのです。
食べる側も、細かいことをあまり気にせず、互いを思い遣ることが出来れば、会話も弾みますね


「喜心」「老心」「大心」を、是非参考に、学んで欲しいと存じます。


曹洞宗大本山總持寺の精進料理を味わう

2015-09-01 20:41:33 | 日記


残暑厳しい砌、皆様お元気でしょうか?
夏バテで食欲も薄れがちの方もいらっしゃるでしょう。
そんな時は、精進料理を試しては如何でしょう。

朝はお粥に梅干し。昼はご飯に味噌汁と漬物。夜はそれに別菜とよばれるオカズが一品。
雲水と呼ばれる修行僧の日常の食事は、こんなものです。
しかし、それでも厳しい修行に耐えることができます。
野菜を中心とした材料で、いかに美味しく、栄養のあるものを工夫できるか、
典座(てんぞう)と呼ばれる、食事係りの責任者の老師はいつも心をくだいています。

道元禅師がお示しになった『典座教訓』には、食事を用意する際の心構えが、事細かに書いてあります。
例えば
「材料がおおすぎるとか少なすぎるとかの不満を表情に表したり、口に出して言うことは慎まなければならない。
 典座たるもの、一日中、食材と調理器具に心を傾け、物と心が通い合うように、一体となるように励まねばならない」と。



写真は、曹洞宗の大本山であります、横浜鶴見の總持寺様のお膳。
お祝いごとなどの時に頂く、二の膳です。
結構ボリュームがあります。拙僧が頂戴しても、お腹が一杯になります。
野菜を作った農家の方、それを運ぶ流通業者の方、販売する方々、そして調理と配膳を行ってくれる方々。
それらの人々のご苦労と、お気持ちを想うと、自然に手が合わさるのです。           合掌



(今日も有難く頂戴します)