世間はシルバーウイークで、行楽の時節です。
しかし出世間であるお寺では、今日はお彼岸の中日です。
勿論、お盆と同様に故郷に帰って、お寺やお墓にお参りされた方も多いでしょう。
拙寺のお位牌堂、納骨堂にも信仰深い方々が多く訪れます。
お寺離れとか、墓じまいという言葉が広まる昨今ですが、先祖を敬う心は失われていません。
写真は、今月上旬に、布教に伺ったD寺の万灯供養の模様です。
通常は夕刻や夜に行われますが、ここでは本堂を暗くして、日中修行されました。
短いお塔婆に先祖のご戒名等を記し、想いと祈りを込めて、それぞれが灯明に灯をつけます。
梅花講員の女性方のお唱えの中で、厳かに行われる、美しい儀式です。
この日の法式は、コンパクトにされたものですが、それでも1時間近くかかりました。
ときおり揺らめく蝋燭の灯をみつめながら、お手伝いの僧侶と共に、静かに流れる時間を味わいました。
さてお彼岸ですが、一般には先祖を敬い偲び供養する一週間と、考えられていましょう。
しかしそれと共に、ご先祖様に想いを馳せて、いのちの源に感謝しながら自らを振り返り、修養する期間なのです。
その修行の内容を六つにまとめたものを「六波羅蜜」と呼びます。勿論、普段から心掛けるべき内容です。
拙僧なりに、まとめてみます。
1、布施(ふせ)波羅蜜=限りない慈しみと思いやりの心を育て、分かち合う喜びを知る
2、持戒(じかい)波羅蜜=正しい生活をしていましめを守り、自身の向上につとめる
3、忍辱(にんにく)波羅蜜=怒りをしずめ、寛容な心で物事にむかう
4、精進(しょうじん)波羅蜜=怠ることなく、目標に向かって努力を続ける
5、禅定(ぜんじょう)波羅蜜=心を穏やかにして、真理を見極める眼を磨く
6、智慧(ちえ)波羅蜜=ものごとの道理を正しくみつめて、理解する
「六波羅蜜」は、大きく深い幸せに向かって生きる六つの実践目標です。