太鼓台文化・研究ノート ~太鼓台文化圏に生きる~

<探求テーマ>①伝統文化・太鼓台の謎を解明すること。②人口減少&超高齢者社会下での太鼓台文化の活用について考えること。

古刺繍酷似「龍」‥頭部・筋肉の連結(A-①)

2019年10月07日 | 研究

衣裳でも太鼓台でも、信仰世界の聖獣といわれる龍や獅子は格別に大切にされていて、双方古刺繍への採用は、時代を通じ連綿と受け継がれてきた。龍は架空の存在ではあるが、古い寺社建築などの彫刻や浮世絵などの絵画としても見ることができたため、私たちにとっては案外身近な存在の〝聖獣〟であったとも言える。ここでは「地芝居・太鼓台‥双方古刺繍の酷似相関表」(以下、酷似相関表)(A)(F)の順に従い、関連画像を用い、双方の酷似する内容や数珠つなぎとなる関連事項の紹介を行なうこととする。

龍の頭部・筋肉の連結は、「く」の字型筋肉に挟まれた頭頂の筋肉とその手前の筋肉が、目尻(角・つの)に近い部分でつながっている状態を指す。松里庵・髙木工房の龍頭部は、次回に紹介する「目尻の三角筋表現(A-②)」と併用された技法が多いが、この連結及び三角筋が、工房の大きな特徴である。なお、この連結の理由を現当主の四代目・髙木敏郎氏にお尋ねしたところ、「殊更連結することも無いように思うが、家の流儀としてこだわり続けて受け継いできた。連結しないよりも確実に手間がかかります」とのことであった。

[地歌舞伎衣裳]

・土庄町小海(おみ)の陣羽織

小海は地芝居が廃れてしまった地区。貴重な衣裳は地区で大切に管理されている。衣裳に龍の刺繍を用いているのは案外と少ない。 (小海自治会蔵/観音寺太鼓台研究グループ撮影)

 

[太鼓台]

・大崎下島大長(おおちょう)の上幕と龍蒲団〆‥明治初期以前の新居浜で使用されていた。 (撮影・提供は西条市T・O氏)

  

・まんのう町大向(おおむかい)の蒲団〆

 

・伊吹島西部の幕‥「北条時政、江ノ島弁財天に(家紋の)三鱗を賜る」伝説 (幕題の指摘・教示=新居浜市/K・T氏、西部太鼓台蔵)

 

・土庄町豊島甲生(こう)の幕と蒲団〆(残欠)‥小豆島から伝わった。 (甲生自治会管理/観音寺太鼓台研究グループ撮影)

  

・三好市池田町馬路の幕「海女の珠取り」‥保管箱には「天保6年(1835)、辻若中(大野原町)」と書かれているが‥(馬路太鼓台蔵/観音寺太鼓台研究グループ撮影)

 

・美馬市脇町の蒲団〆‥伊予からの中古購入と伝わる。

 

・山本町大辻の昼提灯‥「明治13年(1880)、琴平・松里庵」の作と判明。 (坂出市S・T氏撮影提供/道具箱は大辻太鼓台で現役使用)

 

・まんのう町明神の蒲団〆‥琴平の酒屋からの購入と聞く。


・豊中町福岡の蒲団〆‥明治43年(1910)の作

・山本町河内上組の蒲団〆‥明治中期の作。伊予三島で使用されていた。(香川県立ミュージアム蔵)

・坂出市新浜子供太鼓台の扇獅子と龍の蒲団〆‥左は歌舞伎の小道具「扇獅子」をアレンジしたもの。即ち「獅子」で、一対で「龍虎」の蒲団〆となる。

・小豆島町中山の幕‥龍退治・虎退治の幕(中山自治会蔵/観音寺太鼓台研究グループ撮影)

 

(終) 


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