【所感、大府市に対して】
「官による後方支援、民による支援」
市の後方支援について。まず着目するのは「想定内の災害であった」と市長がお話になっている点である。未曾有の災害と言われながらH19,H20と実際の訓練を伴い準備を進めていた。また、立地だけでなく地域相互の関係が歴史上も現在も深く、住民感情として支援に向かいやすかったという面がある。遠野市とてこの震災全体から見れば軽微な被害と映るが、広い市域に5000名の避難者を抱えており、その市民生活の支援復旧に携わる一方で、時間も人手も割いて後方支援を行うには、住民の理解が必須である。大府市が知多半島の付け根に位置するという地理的要因をもって本当に知多半島の後方支援を考えるなら、自治体間のネットワークづくりは当然であるが、住民もその活動に理解ができるよう意識の醸成が必要である。
遠野市の動向は非常に計算されている。後方支援拠点施設整備については、平時は遠野市民に提供する施設と認識しつつ、複合機能として初めから後方支援を位置づけた。施設機能の複合化は、市町村合併によらずともスケールメリットを展開できる例として昨今着目されており、機能のみならずサービス提供対象まで複合化して考えた点は先進的である。この施設整備計画で国費補助を見込む一方、貴重な経験となったH19、H20の大規模広域訓練はそれぞれ県費、国費(防衛省)で賄っている。必要性や目的はブレず、費用負担は抑える形で実現している。後方支援は広域生活圏の維持と有事の人道的側面から決して否定するものではないが、財政規律として市税は当地市民のために使われるべき原則から、その備えの段階からどんどん市税からの歳出をしていくことは合理性に難があるので、このように市のふところを痛めずに準備を進めていた着眼と工夫はぜひ見習いたい。なお、実際の支援活動に要した費用は国費負担として補填されている。
リーダーの判断力、行動力で、対応に差が出た、との話は被災自治体各地でお聞きする声である。「支援の希望は断らずに受け入れる」との判断は、簡単なようで行政としてはなかなか下しがたいものと察するが、それが結果として人もモノも遠野に集積する形となり、それをさばく力・指揮官が官にも民にも存在したため非常に有効に機能した。また、各地支援隊やボランティアの滞在拠点を提供することも、平時から広い市域の把握とリスト化の即時判断が奏功している。個々の才覚といえばそうかもしれないが、自治体リーダーの責任とスピードによるものが平時以上に重大になることは覚悟しておく必要があろう。有権者として選出する責任をも自覚したい。
【参考リンク】
みちのくアラート2008(自衛隊東北方面隊Web・活動写真集)
「官による後方支援、民による支援」
市の後方支援について。まず着目するのは「想定内の災害であった」と市長がお話になっている点である。未曾有の災害と言われながらH19,H20と実際の訓練を伴い準備を進めていた。また、立地だけでなく地域相互の関係が歴史上も現在も深く、住民感情として支援に向かいやすかったという面がある。遠野市とてこの震災全体から見れば軽微な被害と映るが、広い市域に5000名の避難者を抱えており、その市民生活の支援復旧に携わる一方で、時間も人手も割いて後方支援を行うには、住民の理解が必須である。大府市が知多半島の付け根に位置するという地理的要因をもって本当に知多半島の後方支援を考えるなら、自治体間のネットワークづくりは当然であるが、住民もその活動に理解ができるよう意識の醸成が必要である。
遠野市の動向は非常に計算されている。後方支援拠点施設整備については、平時は遠野市民に提供する施設と認識しつつ、複合機能として初めから後方支援を位置づけた。施設機能の複合化は、市町村合併によらずともスケールメリットを展開できる例として昨今着目されており、機能のみならずサービス提供対象まで複合化して考えた点は先進的である。この施設整備計画で国費補助を見込む一方、貴重な経験となったH19、H20の大規模広域訓練はそれぞれ県費、国費(防衛省)で賄っている。必要性や目的はブレず、費用負担は抑える形で実現している。後方支援は広域生活圏の維持と有事の人道的側面から決して否定するものではないが、財政規律として市税は当地市民のために使われるべき原則から、その備えの段階からどんどん市税からの歳出をしていくことは合理性に難があるので、このように市のふところを痛めずに準備を進めていた着眼と工夫はぜひ見習いたい。なお、実際の支援活動に要した費用は国費負担として補填されている。
リーダーの判断力、行動力で、対応に差が出た、との話は被災自治体各地でお聞きする声である。「支援の希望は断らずに受け入れる」との判断は、簡単なようで行政としてはなかなか下しがたいものと察するが、それが結果として人もモノも遠野に集積する形となり、それをさばく力・指揮官が官にも民にも存在したため非常に有効に機能した。また、各地支援隊やボランティアの滞在拠点を提供することも、平時から広い市域の把握とリスト化の即時判断が奏功している。個々の才覚といえばそうかもしれないが、自治体リーダーの責任とスピードによるものが平時以上に重大になることは覚悟しておく必要があろう。有権者として選出する責任をも自覚したい。
【参考リンク】
みちのくアラート2008(自衛隊東北方面隊Web・活動写真集)