ヒッキーはつむじ風!!

ヒッキーが観て気に入った映画を、ブログで紹介します。

「永遠の0」

2014-02-16 11:00:50 | Weblog
                                    「永遠の0」

TOKYO FMのラジオ番組で、桑田佳祐さんが本作について触れていたのを聴き、久しぶりに劇場で映画を観ることに致しました。。。

ネタバレあります。。。
司法試験に落ちて、自分の生き方に迷っている青年・健太郎(三浦春馬)は、祖母・松乃の葬儀の日に、それまで知らされなかった事実を知ります。
それは、彼と祖父・賢一郎(夏八木勲)の間には血のつながりが無く、“血縁上の祖父”が別にいること。。。
そしてその本当の祖父は、太平洋戦争で零戦のパイロットとして戦い、終戦間近の昭和20年に特攻隊として出撃し、戦死していたこと。。。

このあと健太郎と姉の慶子(吹石一恵)が、その祖父・宮部久蔵(岡田准一)はどんな人物だったか、何故終戦間近に特攻を志願したのか。。。その人物像にせまるべく、生前の祖父を知る人々を訪ねてゆくことのなるのですが。。。訪ねゆく先々で待っていた、祖父へ投げかけられる言葉は、「海軍一の臆病者」という辛辣なものばかりでした。。。


この作品は、健太郎が生きる現代と、久蔵が生きた太平洋戦争の時代とを、回想録のような形で繋いでゆきます。
それがゆえに、戦時中のみを描くよりも、より振幅が大きく強烈なインパクトで観る者の心を打つのでしょう。

久蔵は“生きること”に執着します。“最後まで生き延びる努力をする”ことを部下に叩き込みます。
“敵と戦い華々しく散る”ことが旨とされていた時代にあっては、久蔵の考えは受け入れられ難いものだったのでしょう。

そんな久蔵の考え方や行動を苦々しく見ていた一人の零戦パイロットが登場します。新井浩文演ずる景浦です(現代は田中泯が演じています)。
景浦は久蔵に模擬戦闘訓練を何度となく申し入れ、ある日ついに景浦と久蔵の乗った2機は模擬空中戦状態になります。ここで景浦は、久蔵の驚くべき機体操縦能力に直面し、「宮部(久蔵)はただ乱戦を逃げているだけの男ではない」ことを痛感ー進退窮まり思い余った景浦は訓練で絶対やってはいけない「実弾」を宮部機に向けて放ってしまいます・・・。
景浦が掃射した弾丸は宮部機を逸れ、大事には至りませんでしたが、その日から景浦にとって宮部久蔵は憎しみの対象から、“いつの日か宮部に”というライバルに変わったのであります・・・。

この景浦が、後に久蔵が特攻出撃する沖縄戦で、護衛・戦果確認機に搭乗することになります。

それにしても、新井浩文さんて、存在感のあるイイ俳優さんですね。。。

「海軍一の臆病者」と呼ばれてもなお、“生きて帰ること”そして“部下を生きて帰すこと”に執着した久蔵でしたが、昭和20年、「特攻隊」として若い命を散らせて行く仲間の護衛・戦果確認を任されてから苦悶の日々が続きます・・・。

そんなシークエンスと前後して、健太郎が参加する現代の合コンのシーンが挿入されます。ここでの若者たちの会話が、戦時中に特攻などで死んでいった若者たちの想いとの距離感を強めます。
「私たちには、関係ないし・・・」という女の子のセリフが突き刺さるようです。


そして時は終戦間近・・・特攻を志願した久蔵が河原で、同じ特攻志願の若者と語らうシークエンスがあります。
「未来の日本はどうなっているのでしょうね・・」と語る笑顔に胸が締めつけられる思いでした。

宮部久蔵機はその若者の乗るゼロ戦と、護衛の景浦機に別れを告げます。
夏八木勲さん演ずる賢一郎が、戦争、そして“生き残る”とはどういうことか、を語る姿が印象的でした・・。
久しぶりに映画を観て涙が出ました。

現代を生きる自分の生き方に、“本当にそれでいいのか”という疑問を投げかけてくれる、そんな厳しく、そして素敵な映画でした・・・。




ひきばっち的満足度★★★★☆





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