ヒッキーはつむじ風!!

ヒッキーが観て気に入った映画を、ブログで紹介します。

「インセプション」

2010-07-28 19:51:35 | Weblog
                           「インセプション」
ユナイテッドシネマ豊島園にて。
監督・脚本・クリストファー・ノーラン

久しぶりに映画館へ行って参りました。
平日だったのでお客さんはまばら・・。しかし左のほうに携帯を光らせている年配のご夫婦がいらっしゃいまして、「さすがに始まったら切るだろうな~・・」と、思っていたのですが・・(汗)。

本作のあらすじは~、え~、夢のまた夢、そのまた夢の中で繰り広げられるアクションで、一見荒唐無稽なようで実は結構計算されているという「夢を操作する犯罪サスペンス」とでも申しましょうか・・。

レオナルド・ディカプリオ演ずる主人公コブは、他人の夢の中に入り込んで「情報」を盗むことで生業をたてておるのですな。
この「夢に入り込んで情報を盗む、或いは操作する」ことは、犯罪なのですな。

コブは過去の犯罪歴のために、アメリカへは帰れず、最愛の妻・モル(マリオン・コティヤール)や二人の子供とも二度と会えないっちゅう状況なんですな・・。

そんな時現れたのがこの「情報(感情?)植え付け」の依頼人であり国際的な大企業のトップ、サイトー(渡辺 謙)であります・・。
依頼内容は、競争関係にある大企業トップの夢に入り込み、自らの意思で企業解体へもっていかせるような「情報(感情)を植え付ける」こと・・。
この極めて難度の高い仕事「インセプション」と引き換えにサイトーが約束したのは・・コブの犯罪歴の抹消、つまり祖国アメリカへの切符なんですな。

この作品は、夢の中でさらに夢をみてさらに・・という具合にストーリーが二重、三重・・となってゆくので、途中まで正直???みたいな感じでした。
CG(VFX?)が凄いのには目が点になっちゃいましたが・・!

そこにさらにコブとモルの内輪話が入り込んできて、「実はオレとモルは・・」って過去を振り返ってる場合じゃないでしょ!爆発しとるがな!みたいな・・(苦笑)。

そこへ前述のお客さんが携帯で何と話し始めて「今、映画みてるの!」って・・(T_T)。
通話だけは止めて欲しかったっす・・。

スクリーンでは、凄まじい銃撃戦やカーチェイスが繰り広げられるのですが、「ってこれ、夢だもんね・・。」という気分になると、何だかいま一つ乗れなかったりはしましたが・・。

ワゴン車(バン?)が橋から落ち始めてからは、結構緊迫感ありましたな。
無重力の中で冷静に粛々と任務を遂行するアーサー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)はCOOLでしたな。

そして、キック!・・へ~、な~るほど、そこへ終結して・・・そしてオーラスにもう一味と・・!ほ~・・なーるほど・・!

なんだかキツネにつままれたような不思議な気分の映画でした。
知能犯が成功してエンディングというのは、「スティング」的で個人的には好きですな(^^♪。
天性の素質を買われてコブの右腕となるアリアドネ(エレン・ペイジ)。マリオン演ずるモルに比べると身長も低いしセクシー系ではない・・。

しかし彼女の少しいたずらっぽい笑顔と、機知に富んだ行動は本作の大きな魅力の一つではないでしょうか(^^♪。




ひきばっち的満足度★★★★










「必死剣 鳥刺し」

2010-07-12 19:10:48 | Weblog
                               「必死剣 鳥刺し」
ユナイテッドシネマ豊島園にて。
原作・藤沢周平
監督・平山秀幸

わたしも歳なのでしょう。こういう作品を観るといいな~・・!としみじみ思うようになりました。

本作は藤沢周平原作の短編の一つです。「武士の一分」「隠し剣 鬼の爪」などのこれまでの藤沢作品と同じく、東北にある“海坂藩”が舞台となっています。

あらすじ的には・・海坂藩のいわゆる殿様である右京太夫(村上淳)が、側室である連子(関めぐみ)に骨抜きにされまして、藩の政事、財政などは実質上この連子様の言うがまま・・・勤勉に仕事をこなしている何の罪も無い勘定方になんくせをつけ、切腹を命じたり、民百姓からの年貢を吊り上げて自らの目的に使い、逆らう農民を打ち首に処すなど・・天下のご政道はこの連子様のおかげで荒む一方でした・・。

右京太夫とは「別家」の立場にある帯屋隼人正(吉川晃司)は農民の藁にもすがる思いを聞き、右京太夫直々にご政道を正すべく参ずるも、何と右京太夫のすぐ横には連子が不敵な笑みを浮かべていました・・。

右京太夫の側近の一人である兼見三左ェ門(豊川悦司)はそういう事態を静かに、しかし憂いて見ていました・・。
そして、ある日、お能の舞台が終わり、廊下を引き揚げる連子様を、三左ェ門は刺殺します・・

前の歳に、妻・睦江(戸田菜穂)を病で亡くし、生きる意味を失った三左ェ門にとっては、連子刺殺は打ち首覚悟の最期のお務めのつもりでした・・。

しかし、中老・津田民部(岸辺一徳)が読み上げた殿よりの御沙汰は、少しの禄減らしと、自宅での閉門蟄居という、いたって軽いものだったのです・・。

そして閉門蟄居が明けた三左ェ門は、なんと殿のたっての命により、近習頭取に召し上げられたのです・・。

とある夜、三左ェ門は津田民部の屋敷に招かれ、「そなたの“天心独名流”の腕前で殿をお守りするのだ・・。」
そう、三左ェ門は“天心独名流”のきっての使い手であり、「鳥刺し」という彼にしか出来ない技の持ち主なのでした・・。

まあ、ここまでで、あとは是非観て欲しいです(^^♪。
亡くなった睦江の妹で、三左ェ門を支え、思慕の思いを寄せる理尾役を、池脇千鶴が好演しています!私は彼女の他の出演作は「ジョゼと虎と魚たち」しか知らないんですけれど、好きな女優さんです~(^^♪。


本作は、オープニングから途中までは、「画面の感じ」が「あ~、東映だな~・・。」とでも申しましょうか、TVの時代劇の雰囲気がそこはかとなく漂っていて、「う~ん、いまひとつなのかな~・・。」と、心配になっていました・・。

しかし、農民の一揆を、別家・隼人正が止めに入るシーンあたりから、ビリビリして来ました!私は吉川晃司の隼人正役、イメージに合っていたと思います(^^♪。

三左ェ門と理尾が結ばれるシーンは、正直のところ、「えっ?こうなるの??」と思いましたが・・・。

隼人正と三左ェ門との一騎打ちからラストまで、シビレました・・!
決してスマートな殺陣ではありません。まさに“斬り合い”です。でも、だから、凄いんです・・。
映画を観て 鳥肌が立ったのは久しぶりです・・!



ひきばっち的満足度★★★★★ 5/5






「ロストクライムー閃光ー」

2010-07-10 18:25:49 | Weblog
                            「ロストクライムー閃光ー」
角川シネマ新宿にて。
原作・永瀬隼介「閃光」
脚本・長坂秀佳・伊藤俊也
監督・伊藤俊也

1968年12月10日に起きたかの有名な「三億円事件」(未解決)の謎に踏み込んだ「クライム・サスペンス」と言ったらいいのだろうか・・。

私が物心ついた頃にはすでに「超有名な過去の事件」になっていた「三億円強奪事件」・・。
子供心に、新たに起きた事件(といっても子供の知る範囲ですが)は次々と解決してゆくのに、なんであの「三億円事件」って、犯人が解らないんだろうな~??と、この事件に関するTVとかを見ると、子供のくせに何となくケツの座りが悪い感じがしていました。

しかし日本経済の高度成長と共に、小学生になった頃には「あれはもう解決しない事件」という認識が自分の中に出来上がっておりました。
以後、諸説紛々あったのでしょうが、大人になり、あの事件は「時効」となります・・。
日常の所持万端に忙殺される自分がこの事件に再び関心を持つきっかけとなったのが、2006年に公開された映画「初恋」(主演・宮崎あおい)です。

この「初恋」では、三億円強奪の白バイに乗った実行犯を宮崎あおいさんが演ずるという「ええっ!そうきたか・・!!」的な、「思い切った発想の転換」と「ほのかなラブ・ストーリー」、ラーメンに例えれば、「ダシ」「返し」が絶妙のバランスで(笑)混ざり合ったという感じでした(どんな感じや(笑)!

                              『初恋』

え~、思い切り引っ張って、本作「ロストクライムー閃光ー」なのですが、単純に「映画としての面白さ」で言えば「初恋」にはかなわないと、私は思います。

しかし、作品を作るスタンスが本作と「初恋」では微妙に(というかかなり?)違っていると、思うわけです。
本作は“くくり”としては「クライム・サスペンス」に入るのでしょうか。

確かに、ストーリー随所で見られる拳銃による殺人シーンなどや、不必要とも思える濃厚なベッドシーンなどは「エンタメ」的要素充分でしょう。

しかし、伊藤監督(ひいては原作者の永瀬さん)以下この作品のスタッフ、キャストの皆さんの、「これだけは・・!」というような執念のようなものを私はこの映画から感じるのです。

作品がミステリーの要素もあり、これからご覧になられる方もいらっしゃるかと思いますので、ストーリーにはあまり触れませんが、
武田真治演ずる宮本の子供の頃の出来事や、夏八木勲演ずる緒方耕三の苦しみ、
かたせ梨乃演ずる「真山恭子」の存在。

滝口(奥田瑛二)と片桐(渡辺大)が命懸けで開けようとした真実の蓋
捜査一係管理官・藤原(矢島健一)が滝口に言い放った「その名前は劇薬です。」という言葉・・。

確かに「映画の出来」或いは「作品の造り」という面から見ると、拳銃で撃たれるシーンひとつとっても、「これ火サス?土サス??」みたいな感じで、先に書きました“ベッド・シーン”も「え~っ!今どきこれはないだろう!?(T_T)」といった、突っ込みどころが随所にあります。

そうなのですが、『花いちもんめ』で千秋実を得て、アルツハイマー患者と、それを看護する家族の問題を20年以上も前に描き、『プライドー運命の瞬間ー』では津川雅彦を主役に東京裁判における東条英機を描き賛否両論の渦を巻き起こした「伊藤俊也監督」の作品であるが故、“ただでは、すまんぞ”なのだろうなぁ、という気がしています・・。



ひきばっち的満足度★★★☆



「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」

2010-07-05 12:02:46 | Weblog
                       「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」
新宿ピカデリーにて。
監督・脚本・大森立嗣

「私たちの望むものは」
  私たちの望むものは 生きる苦しみではなく
  私たちの望むものは 生きる喜びなのだ
エンディングでを吐き捨てたカヨ(安藤サクラ)のアップにこの歌がかぶる。
映画に感動したのか、この歌の登場に感動したのかは判らないが涙が出た。

松田翔太高良健吾もよかったが、私的にはカヨちゃんを演じた安藤サクラがイイのだ!
「俺たちに明日はないッス」に出ていたのは「あ~!あの子!?」という感じで憶えているが、「愛のむき出し」は未見なのでDVDを借りなくては。
と言っても、彼女はこの映画の設定にもあるように、それほど“カワイイ”訳ではない(本作のカヨちゃんは、ブスで、バカで、脇ガであるという設定がなされている)。

彼女の演じる“カヨちゃん”のようなキャラクターは、今まで私が見たことのある映画、TVドラマ等を思い返しても、見当たらないかもしれない。(「スローなブギにしてくれ」で竹田かほりが演じたキャラクターは知識はないが竹田かほり自身が美形だった。)
それほど“カヨちゃん”というキャラクターが立って“活きて”いるのだ

ケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)は同じ施設で育った。親がいないのだ。
ケンタには兄がいるが、問題を起こし、網走刑務所に入っている・・。

中卒のケンタとジュンは「電動ブレーカー」でコンクリートの壁を壊す毎日・・。。ジュンの指先は毎日の電動ブレーカーの職業病で、緊張すると血流が滞り、真っ白になってしまう・・。

ケンタは同じ職場の先輩である裕也(新井浩文)から陰湿なイジメを受けていた・・。その上、「兄が起こした問題の慰謝料」と銘打って毎月5~6万裕也にたかられている状況であった・・。

ジュンは言う。世の中には、自分の人生を自分で選べる人と選べない人がいる・・。ボクたちは選べない人だね・・。

ある夜、ナンパに出かけたケンタとジュンは、一人の女の子と知り合う。カヨちゃんである。

ジュンとセックスするカヨちゃんの顔が映し出され、彼女の心の声が聴こえる・・・私は誰とでもセックスをする・・自分が可愛くないのを知ってるから・・抱かれている時が一番落ち着く・・愛されたい・・愛されたい・・

すごいセリフだなと思った。男の人(大森監督)が書いたセリフとは思えない。参りましたという感じだったm(__)m

この後、職場の事務所をぶち壊し、裕也の車をハンマーでぶち壊したケンタとジュンは、“すべてをぶち壊した先に何かがある・・・”、カヨちゃんと3人で、兄のいる網走を目指すのだった・・!


私には両親がおりました(というかまだ存命しておりますが)。幼い頃は間借りでしたが、とりあえず帰る家はあった訳です。
1960年代中盤に生を受けた私は、とりあえず“ひもじい”という思いをした記憶はありません。なんらかでも取りあえず食べるものはありました。

なので、この映画のケンタとジュン、そしてカヨちゃんの「全てをぶち壊した先に何かがあるはずだ」という思いは、本当のところ私は「想いをめぐらす」ことしかできません。

しかし、多部未華子演ずるゆみかの「将来の夢」を聞かされて、茫然となっているジュンの表情にはせつないほどに魂を揺さぶられました・・。

ラスト、車から道に落とされて、うずくまるカヨちゃん・・。
少しずつ起き上がった時の表情は、それまでの彼女のものではありませんでした・・
この時の安藤サクラの、何かはりつめていた糸がプツンときれたような表情が、まっすぐに空を見る目線が、私の心に残りました・・。

私たちの望むものは 社会のための私ではなく
私たちの望むものは 私たちのための社会なのだ・・

私たちの望むものは あなたと生きることではなく
私たちの望むものは あなたを殺すことなのだ・・。この岡林信康の曲の発売が1970年ですから、リアルタイムで知っているはずもなく、20才を越えた頃に初めて聴いた覚えがあります。
本作では阿部芙蓉美さんが歌っておられるのですが、エンディングに流れるとやはり感無量で胸が詰まりました・・。

今ある不幸にとどまってはならない
まだ見ぬ幸せに今跳び立つのだ・・。



ひきばっち的満足度★★★★