ヒッキーはつむじ風!!

ヒッキーが観て気に入った映画を、ブログで紹介します。

「いまを生きる」

2009-07-29 19:58:11 | Weblog
                           「いまを生きる」

この作品は20年前、渋谷の映画館で某Y氏と観て以来である。

原作はナンシー・H・クラインバウムの「Dead Poets Society」。

映画の原題も「Dead Poets Society」である。劇中では「死せる詩人の会」という和訳になっている。

「いまを生きる」という邦題は、劇中でロビン・ウィリアムス演じる英語教師キーティングが生徒たちに、「人は必ず死を迎える・・だから、若者よ、Seize the Day・・(いまこの時を生きるのだ)・・」
という最初の授業でのキーティングの言葉を引用したのである。


物語りの舞台は'59年のバーモント。名門進学高校ウェルトン・アカデミーである。

新学期、新しい英語教師として赴任してきたジョン・キーティング(ロビン・ウィリアムス)は、型破りな授業を始める。

英語詩の教科書の「概要」部分を破って捨てさせたり、
「言葉は何のために発達したか解るかい!?女を口説くためだよ!!」
など、学校側は眉をひそめていた・・。

キーティング自身も同校の卒業生である。そんな彼が在学中に「死せる詩人の会」
なるものを主催していた事を、ニール(ロバート・ショーン・レナード)が古い年鑑に見つけた。

真夜中に森の洞窟に集まり、皆で好きな詩を朗読したり、自分の詩を発表したりする集まりであった。「今は学校側が許可しないだろう・・」キーティングは学生たちに言った・・。

しかし、毎日抑圧され続けている17才の青年たちは、有志を募って「死せる詩人の会」を復活させるのであった。

全寮制の名門男子校・・。生徒たちの肩には親や教師の「期待」が支えきれないほど重くのしかかっていた・・。

そんな彼らに新任教師キーティングの一言、一言が自由な風を送り込んだ・・。

ノックス(ジョシュ・チャールズ)はクリスという女性に恋をした・・。

トッド(イーサン・ホーク)は自分の言葉で表現することを学んだ・・。

ニールは俳優を志し、「真夏の夜の夢」の舞台に立った・・。


しかし若者たちの夢は、「親の言う通りに生きなさい」の一言で、悲しい結末をむかえてしまう・・。


私事で恐縮ですが、私も学生の頃(ウェルトン・アカデミーのような名門校ではなかったっすが)、親の期待が煩わしくてどうしようもなかった時期がありましたね・・。
親の期待と学校の方針でがんじがらめになって、「自分が本当にしたいこと」が判らなくなったですね・・。感覚が麻痺するというか・・。
まぁ、私の場合は「自分が弱かった」、の一言ですが・・。

そんなこともありまして、この作品は人ごとだとは思えないのです。


キーティングは全責任を負って、学校を去っていきます。

「Seize the Day」・・今を生きろ!私は今でも時にこの言葉をかみしめています・・。







「イキガミ」

2009-07-27 00:43:56 | Weblog
                             「イキガミ」

「逝紙」と書いて「イキガミ」と読むのだそうな。

いわゆる「死亡通告書」ですな。

「国家繁栄維持法」なるものがありまして、命の尊さを知るために、逆に1000人に一人死んでもらいましょうというおっかない思想であります。

小学校入学直前にすべての児童に「国繁予防接種」なる注射を受けさせます。

1000人に一人の割合で「ナノ・カプセル」なるものが注射液に入っているわけですな。
そしてその子が18~24才になってから、あらかじめ設定された日時に肺動脈のなかで破裂して、その命を奪うわけであります。

誰がナノ・カプセル所有者で、いつ破裂するのかは、国家だけが知っています。

怖いっすねぇ~!

主人公の藤本賢吾(松田翔太)は、厚生保健省の国家公務員であり、仕事は、ナノ・カプセル所有者に、「24時間後にあなたは国家の繁栄のために死んでいただきます」と死亡通告書、通称「イキガミ」を配達することであった・・。


作品中には、三つのエピソードがあり、それぞれ3人の若者が「イキガミ」を受け取るのだが、
私は山田孝之と成海璃子の兄妹の話が心に残った。

成海璃子演ずる飯塚さくらは幼い頃の交通事故で両親を失い、自らも失明してしまった・・。
たった一人の肉親である兄のさとし(山田孝之)はそれ以来ずっとさくらを守ってきた。
いつかきっと角膜のドナーが現れる事を信じて生きてきたさとしの元へ、「イキガミ」が届いた・・。

残された24時間でさくらになにがしてあげられるのか・・・。


山田孝之うまいっす!とても電車君と同じ人とは思えません。

松田翔太を喰ってましたね!

ちょいネタバレですが、病院の売店をいそいで開けてくれるシーンはぐっときました(T_T)/。


全体的には(原作があるようなので仕方ありませんが)もっとハード・ボイルドな話にして欲しかったですね。
松田翔太の野性味が活きるような・・・。

と、思いました。

「それでもボクはやってない」

2009-07-21 13:47:47 | Weblog
                     「それでもボクはやってない」

この映画も観るのは二度目だが、あらためて凄い映画だと思う。

「痴漢」という軽犯罪が主題になっているが、この作品は「痴漢」だけでなく日本の刑事裁判の旧態依然とした部分を見事に描いている。

警察での取調べも含め、一人の青年がいかようにして「冤罪」の罪を着せられてゆくか、観る者に解りやすく描くことに成功している。

ネタバレ入ります。
ストーリー的には、加瀬亮演じる金子徹平が、超満員電車の中で扉に挟まれたスーツの背中の部分を、右手で引っぱって抜こうとすることが発端となります。

乗り換えの「岸川駅」で降りたところ、中学生の女の子が徹平の腕をつかみ、
「痴漢しましたよね・・・!」
いわゆる「私人による現行犯逮捕」というやつだ。

あれよあれよというまに、徹平は警察署で取調べを受けるはめになった。
やってもいないことを「やりましたと言えば示談金で済むんだ!交通違反と同じだ!すぐに帰れるぞ」

すごいことになっている。実際にこんないいかげんなものなのだろうか・・・。

当番弁護士として徹平と面接した浜田(田中哲司)も、「いっそのことやりましたと言って示談にしたほうが・・裁判で争うとなると、長期間拘留されるし、痴漢の
裁判の有罪率は、99.9%だ。まず勝てる見込みは無い・・」

この99.9パーセントの有罪率というのはどういうことなんでしょうか・・・!?
「現行犯」だからなのでしょうか・・。

結局、徹平は「否認」したまま裁判で争うことになります。

裁判長は、警察や法曹界から「無罪病」と陰口されている大森裁判官(正名僕蔵)
でした。
この大森裁判長は適切な裁判を理論立てて進めてゆきます。

この大森裁判長が司法修習生たちに語った次の言葉に、この映画のテーマそのものがあると思います。
「刑事裁判の最大の使命は、無実の人を罰してはならない、ということです」

刑事裁判の鉄則、「疑わしきは、罰せず」のことです。

映画冒頭に出てくる、「十人の真犯人を逃すとも、一人の無辜(むこ)を罰するなかれ」
これが、この映画で周防監督が言いたかった事だと思います。

日本ではいったいどれだけの冤罪があるのでしょうか・・・?
「疑わしきは、ねじ伏せてでも罰する」という感じが否めません。

映画では裁判長が突然交代になります。
後任の裁判長(小日向文世)は荒川弁護士(役所広司)や須藤弁護士(瀬戸朝香)の発言や要求をことごとく却下してゆきます。

そして判決の日がやってきます・・・。


この作品は周防監督が「冤罪とはこうして造られる」という事を、3年間におよぶ調査、傍聴、関係者からの聞き取りをへてフィルムに焼き付けた、渾身の一作だと思います。







「炎のランナー」

2009-07-19 15:12:48 | Weblog
                             「炎のランナー」

最近は映画館へ行く暇がないので、TSUTAYAさんから過去に観た作品を借りてきて見直しています。

この「炎のランナー」は1981年の作品ですから、およそ28年振りに見直しました。

ネタバレ入りますのでご注意ください。

この映画はのっけから海岸を走る若者たちの映像に、ヴァン・ゲリスのあの有名な曲が重なって・・・それだけでもう70点くらい稼いでいると言っても過言ではありません!!
そのくらい素敵なオープニングであります。

イギリスの名門、ケンブリッジ大学に籍を置き、自らがユダヤ人であることに対し葛藤の日々を送っている陸上短距離ランナー、ハロルド・エイブラハムズと、
同じイギリスのスコットランドでは敵なしの宣教師エリック・リデル。

1920年代に活躍した二人の「ランナー」の実話を描いています。

二人は互いに良きライバルとして、'24のパリ・オリンピックに出場が決定します。
ところが、フランスへ渡る船中で、リデルが出場する100メートルの予選が、日曜日に行われることがわかりました・・・!

敬謙なクリスチャンの宣教師であるリデルは、落胆しましたが、すぐに関係者に「安息日である日曜日に走ることはできない・・・。辞退いたします。」苦渋の選択だった・・。

イギリスの選手団長が予選を別の日に出来ないかと八方手を尽くしますが、これだけはどうしようもありませんでした・・。

ところが、オリンピックが始まったある日、同じイギリス陸上短距離の障害物競技と400メートルの代表であるアンドリューがやってきて、
「私はもうメダルを1つ獲得した。リデルに400メートルを走ってほしい」・・。


現代のオリンピックで問題になっているドーピング。
噂によればかなりの選手が行っているとか・・。
「勝たねばならぬ、負けては意味がない!」というのも解らないでもないが・・。

そんなことを考えながらこの作品を見ていると、目頭が熱くなる。
ある者はただひたすら自己の魂の解放を願って走り、ある者はただひたすら神の御心にそって走る。

オリンピックとは、スポーツとは、生きるとは・・。
爽やかで深い感動をあたえてくれる大好きな映画です・・。

本作はイギリス映画であるにもかかわらず、'81年米国アカデミー最優秀作品賞を受賞しました・・。








「ドライビング・ミス・デイジー」

2009-07-14 20:30:19 | Weblog
                     「ドライビング・ミス・デイジー」

ちょうど20年前に新宿の映画館でこの映画を観た。オイオイ泣いた覚えがある(T_T)/~~。

20年振りにDVDで観た。大人になって心がくすんでいるせいなのか、泣くことはなかった。

しかし(ネタバレ入りますのでご注意を)、あの時見たラストシーンは20年経ってもなお深い感動を私に与えた。

どんな人も、いつか年老いて、人生の現役をリタイアする日が来る。
いや、そういう日が迎えられる人は、幸せなのだろう・・・。

教師であったデイジー(ジェシカ・タンディ)は、'48年にその職を勇退した。

そんなある日、自動車の運転ミスであやうく死ぬ目にあった・・。

事なきを得たが、息子のブーリー(ダン・エイクロイド)は、半強制的に、

ホーク(モーガン・フリーマン)という運転手を雇ったのだった・・・。


この映画で初めてモーガン・フリーマンを知りました。イイ俳優だなぁ・・と思ったのを覚えています。

モーガン・フリーマン演じるホークは、字が読めません。
劇中でデイジーがホークに読み方を指南するシーンがありますが、かたくなだったデイジーの心が少し溶けてゆく、私の大好きなシーンです。

ジェシカ・タンディは本当に素晴らしいです・・!
ホークに対して堅く心を閉ざしていた'48年の出会いから、'73年までの25年間。
その心の変遷を凛として演じ切っています。
彼女はこの演技で80才にしてアカデミー主演女優賞を獲得しました。


この作品は、そこはかとなく気品がただよっています。
観終わった後も、なにか背筋を正して歩きたくなるのです。
ジェシカ・タンディとモーガン・フリーマンの人種も年齢も超えた「友情」を見たせいかもしれません・・・。

この作品は'89のアカデミー最優秀作品賞を受賞致しました。








「夜の大捜査線」

2009-07-09 21:59:42 | Weblog
                            「夜の大捜査線」

久しぶりにこの映画をDVDで観た。

いつ観てもイカした映画だ。

人種差別、殺人事件など、重いテーマを扱いながらも、レイ・チャールズの歌うメジャー・ブルースがニクイほど作品に風を吹き込む・・。

7月14日(火)の午後1時30分より、テレビ東京でこの映画を放送するらしい。
気が向いたら録画などして観てみるのもいいかも・・。

この映画の原題は「In the HEAT of the Night」である。

舞台はミシシッピー州の田舎町、スパータ。根強い人種差別の残る町である・・。

タイトルの通り、夏の夜の暑さがこちらにも伝わって来そうな映像である。

この夏の暑い夜に、殺人事件が起こる。

容疑者として警察署に連れてこられたのは、バージル・ティッブス(シドニー・ポワチエ)と名乗る黒人の男だった。
駅の待合室で列車を待っていたという。

警察署長ビル・ギレスピー(ロッド・スタイガー)はすでにティッブスが犯人と決め付けていた。

しかし、ティッブスはやにわに茶色い警察手帳を取り出してビルに見せた・・。
彼は、フィラデルフィア市警の刑事だったのだ・・・!


と、こんな感じで始まるですよ!

全編にわたって夜のシーンが多いっす!!むせ返るような南部の夏の夜です。

バージルとビルは協力して捜査することになるのですが、'60年代の南部の田舎町です。いたるところでバージルは黒人差別の壁に突き当たります。

ビル自身もバージルを差別しているのです。ただバージルが殺人事件に詳しい刑事だから心ならずも協力してもらっているのです。

ビルを演じるロッド・スタイガーがいいんですよ。
最初バージルと会ってから、ラストで彼を見送るまでの心の変化を見事に演じている。
この演技で彼はアカデミー主演男優賞を獲得している。

作品自身もアカデミー作品賞を受賞している。

音楽はクインシー・ジョーンズが担当している。

レイ・チャールズが歌うテーマ曲「In the HEAT of the Night」が忘れがたい印象を心に残す・・・。









まきちゃんぐDUOえーす with 広沢タダシ ライブ・リポート

2009-07-06 19:25:41 | Weblog
まきちゃんぐ 『サプリ』/ライブ映像



オープニングはまきちゃんぐと広沢さんのデュエットで、先日逝去された清志郎さんのバンド、タイマーズより、「デイ・ドゥリームズ・ビリーヴァー」(これもカヴァーですが)を演ってくれました!

前半は広沢さんのステージで、
まきちゃんぐは後半に登場いたしました!

この日のまきちゃんぐは、何か舞い上がっているような感じで(本人も言っとりました)御座いましたが・・。

それにしても「サプリ」って、イイ曲でやんす!

「愛の雫」もイイ曲ですが、なんでメインが入れ替わった(当初はサプリがメインの曲でした)のか、不思議ですな~・・?

「ハニー」はいつもながらの迫力満点のヴォーカルを聴かせていただきました。

そして「砂の城」。
“死んでも許せない事が 一つや二つはあるだろう 数え切れないほどの悲しみが
いつかこの世を包むでしょう・・”
魂の叫びが胸に迫る、鳥肌が立ちました・・。

今回のまきちゃんぐのライブの特徴。
「さなぎ」と「鋼の心」を演らなかったことでしょうね!

アンコールは「さなぎ」だとばっかり思っていたので、違う曲が始まり「ええっつ!」びっくりしました。

この2曲を演らないというのは、狩人が「あずさ2号」と「コスモス街道」を演らないくらいインパクトがありますからね!
まきちゃんぐの新しい挑戦でしょう。


エンディングでもう一度、まきちゃんぐと広沢さんのデュエットがありました。
な、なんと、中島みゆきさんの「糸」ではありませんか・・。

他のアーティストの曲に一番感動してしまうのは自分としても悔しかったのですが、「糸」という曲の持つ力に、涙が出そうになってしまいました。

まきちゃんぐ!頑張れよ~!!


「ダンサー・イン・ザ・ダーク」

2009-07-03 06:24:18 | Weblog
                      「ダンサー・イン・ザ・ダーク」

DVDを借りて、久しぶりにこの映画を観てみた。

冷静に見ると、この作品の評価は二極化するであろうことが解る。

ネタバレになってしまうが、

やはりラストシーンの賛否ではないかと思う。

私はこの映画が好きである。主人公セルマ(ビョーク)の息子へのひたむきな愛がストーリーに一貫して流れている。

また、セルマを魅了して止まない音楽とダンスの数々が、物語りにふんだんにちりばめられている。

セルマは歌う。セルマは踊る。仕事や日々の雑事をその瞬間だけ忘れることができるのだ。

セルマは遺伝的な目の病気を持っている。プレス工場で働いているが、ぼうっとしか見えていない・・・。

その視力も、あと1年はもたない・・。そうなるまえにお金を貯めて、同じ目の病気を持つ息子・ジーンに手術を受けさせなければ・・・。


この映画はどうやら「悲劇」にカテゴライズされているらしい。

しかしこの作品を観終わると、えもいわれぬ優しい気持ちになるのは何故だろうか。

それには色々な要素があると思うのだが、
なにをおいても、セルマを演じるビョークの圧倒的な“生命力”と“無為自然な愛情表現”に尽きると言っても過言ではない。

“どんな名演出も、一人のはまり役にはかなわない”とよく言われるが、
この作品の「ビョーク」がまさにそれなのである!

彼女以外で“セルマ”をここまで演じられる女優がいるとは思えないほどの“当り役”なのである。

ストーリーを観ていくうちに、「この子(ビョーク)は、演技じゃないんじゃないか・・・!?」と、思ってしまうほど、ビョーク=セルマに限りなく近く見えてくるからすごい。


チェコからの移民であるセルマを優しく包む人々の描き方も、監督の視線は温かい。
セルマを陰になり、日向になり支えてくれる職場の同僚、キャシーを、なんとカトリーヌ・ドヌーブが演じている。


後半、ストーリーがやや重くなってくるが、セルマの笑顔と、随所に挿まれる“ミュージカル”によって、決してどん底まで行かない。

ラストは衝撃的だが、最後の最後までセルマは自らの身を挺して息子・ジーンのために自分の道を選ぶのである。


監督は「奇跡の海」のラース・フォン・トリアー。

本作はカンヌ映画祭で、パルム・ドール(最優秀作品)を受賞し、主演のビョークは主演女優賞を受賞しました。

時にむしょうに観たくなる。そんな映画です。