そういえば、引っ越し前に家具の大きさを測って、どこに何を置くか決めていた。が、エアコンの設置場所とタンスが重なってしまったり、冷蔵庫の幅が広すぎて食器棚が予定通り収まらない(あと2センチ!)などの不具合が判明する。引っ越し前に気付いて良かったけれど。余裕のない空間でそういった事態になると、配置を変えるのは大変。もう一回パズルをやり直す気分。
引っ越し日、つれあいは出勤前に
「タンスを置いてた所のタタミの窪みを直していけ」
「お前のせいで(お前の持ってきたタンスのせいで)、オレがこのタタミをきれいに直さないといかんだろう」
「タンスの裏のカビと、台所の油汚れを全部きれいにしていけ」
「オレが帰ってくるまでに消えとけ」
数々の捨てゼリフを吐いていった。セリフのくだらなさに疲れを覚える。勿論掃除はしていくけれど、原状復帰は無理な相談。ご自身でどうぞ、と思う。
今傷ついている人の慰めになるかは分からないが、ちょっと一言。
的外れでくだらないこのような罵りは、案外忘れてしまえる。実際私は、何かけったいなことで怒鳴られた、という記憶はあったが、何を言われたっけ?と日記を読み返しながら書いている。私の忘れっぽさは、日常で困ることも多々あるけれど、私を助けてもくれる。大丈夫。
できるだけ体力・気力を消耗しないように無理はしなかった(つもり)。食べて寝られたらOK。照明とカーテンだけ取り付けたらおしまい。食卓もなく、段ボールをひっくり返して皿を並べる。炊飯器や洗濯機の聞きなれない電子音、前の道路を走る車の音、暗がりでスイッチの場所が分からず、そろりそろりとする手探り。なじみのない環境の、小さな重なりが気分を押し下げる。でも家の中でビクビクする必要がなくなったのはありがたい。
数日後、食卓や電話台、台所ワゴン、目覚まし時計など、大きさを決めて買いに行く。以前から『ちゃぶ台生活』だったので床に座るのは慣れているけれど、電話やらパソコン、缶詰などを床に積み上げておくのはちょっと…ね。段ボールちゃぶ台ともおさらば。
これだけで随分と生活がサマになる。嬉しかった。私の生活、私の人生。