医大生・たきいです。

医大生的独言。

「将棋の渡辺くん」を読んで

2016-08-20 23:59:59 | 読書感想文

医大生ブログ村、2016年8月20日注目記事ランキング。


オフ会の記事で溢れていて本当に幹事冥利につきます。自分も参加してみたい!という一般の医大生の方はこの機会に今すぐブログをはじめてみてくださいね(笑)。次回は2017年3月東京の方向で調整していきます。医大生・たきいです。





さて、本日ご紹介したいのがこちら。

将棋の渡辺くん(1) (ワイドKC 週刊少年マガジン)
伊奈 めぐみ
講談社

将棋の渡辺くん(2) (週刊少年マガジンコミックス)
伊奈めぐみ
講談社


ゆるい感じで爆笑モノ。母親に貸してあげたらケラケラ笑っておられましたが、曰く「このマンガのユルさは、うーはなちゃんのブログに通ずるものがある」とのことでした。ブログ村を読み漁り医大生ブログに精通するわが母です。

本作は将棋のトップ棋士、渡辺明の奥様によるマンガです。渡辺明はブロガー棋士ということで(渡辺明ブログ)昔から有名で、その影響でわたくしもブログサービスにgooブログを選びました。渡辺明が使っているくらいなら当分はgooブログ潰れないんじゃないかという気がして。

かつての渡辺明ブログには「嫁が書く。」というコーナーが不定期であって、奥様ご登場となるわけですがいい味だしていて非常に好きでした。今では有名になられて独自のブログを持たれていますが「嫁が書く。」の魅力たるや。

「医大生・たきいです。」というこのブログも卒業したら名前的に更新できなくなるので、いま密かに狙っているのが結婚して育休をとって子育てブログを始めるというもの。それが実現したら「嫁が書く。」コーナーも作ろう。結婚相手も見つかっていないのに妄想だけが広がります。笑

ちょうど今宮城県の実家にいるので、渡辺明と一緒に撮った写真があったような気がしたので探してみました。

渡辺明(左)と中学生・たきい(右)

痩せてんな、俺。











(昔の写真見始めたらキリがなくなった人(笑))

「企画書は、手描き1枚」を読んで

2016-06-19 18:07:59 | 読書感想文

後輩と酒を調達しに「やまや」へ。確か福岡では「やまや」は明太子屋さんなんだけど、東日本を中心として展開されているお酒の小売店のほうの「やまや」。

「やまやって本店どこか知ってる?」
「あー、宮城県なんですよね」
「あれ、この話したっけ?」
「ええ、それ聞かされるの3回目くらいです」

と後輩くんに言われてしまって微妙な気持ちになりました(笑)。医大生・たきいです。





さて、本日ご紹介したいのがこの一冊。

企画書は手描き1枚
高橋 宣行
ディスカヴァー・トゥエンティワン


大手広告代理店で長年お勤めになっていた高橋宣行さんによる「デジタル全盛の今だからこそ、手描きが効く!」と謳う本書であります。サブタイトルは「恋愛型プランニング術」で、手描き1枚の企画書というコミュニケーションツールを通じて、

「“あのひとがいないと困る”という信頼関係」

の築き方が導かれます。ビジネス社会で活躍している文系卒の大人たちはこういった頭の使い方をして思考回路をまわしているんだと知ることのできるだけでも一読の価値があります。正直、手描きであることの必然性は少ないように読んでいて思ってしまったのですが(笑)、共通の「絵」をイメージして考え抜くことの大切さはよく分かりました。バラバラに考えてしまっても生み出されるものは小さく、人を動かすにはイメージを共有することを実践しなければなりません。そのためにはきっと相手への真心が必要で、それが「手描き1枚の企画書」の真意なのではないかと。



手描きで書けば何事もオッケーというわけではなくて、デザインの技術を学んでパワポで活用する努力などもこれからは欠かせないと個人的には考えます。真心を込めたスライドも作れない人が周りには多いように思いますが、まずはそうした努力も必要ではないでしょうか。もちろん手描き1枚もひとつの方法で、日常的な勉強に取り入れるのも悪くはないかなとこっそり画策しています。企画書風に疾患を整理したら忘れなさそう。やってみよう。

「医者にはこうした企画書を書く能力がない人がほとんど」と公衆衛生を生業としている先生も仰っておりました。人を動かすには、まず人を愛すること。その先まで考えて相手を驚かせること。こうしたトレーニングは普段ほとんど積んでいないぼくらはこの本1冊読んだところで、一朝一夕には身に付かないことでしょう。小さなことでも整理して考えて、それを相手に提案してみることから始めてみたいものです。そして、立ち止まってしまったいつかのときはまたこの本を振り返ってみたい、なんて。






(月曜日を迎えるのが正直憂鬱な気分なので酒を飲んで誤魔化す方針な人(笑))

「ラジエーションハウス」を読んで

2016-06-18 23:59:59 | 読書感想文

もう夏みたいな毎日ですねぇ。まだ夜の空気だけはひんやりとしてくれているのが救いです。医大生・たきいです。


病理医マンガ「フラジャイル」や「麻酔科医ハナ」など一般の方からすると馴染みの薄い診療科が人気を集めるこの頃ですが、医療コミック新機軸として発売されたのがこれ。

ラジエーションハウス 1 (ヤングジャンプコミックス)
横幕 智裕
集英社


次は放射線科ときました。なるほど。そろそろまだマンガになっていない診療科が焦りだす時がきたかもしれません。各学会がマンガ家の誘致とか始めたりして(笑)。精神科、皮膚科、総合診療科あたりはいいネタが揃っていそうですので医療系マンガ原作者の皆さまご検討ください。

さて、ラジエーションハウス。治療ではなく、診断のほうの放射線科をテーマとしているようです。憧れの幼馴染の女の子との約束を果たすため、医師なのに放射線技師としてはたらく謎設定の五十嵐という男が主人公。そんな人いるのか?とツッコミたくなりますが、この設定が物語に膨らみを生む予感がします。

ドラマ化や映画化もワンチャンあるかなと思う本作ですが、恒例のキャスト予想いってみます。因みにフラジャイルの岸先生は阿部寛と予想して外した過去があります。
「フラジャイル病理医岸京一郎の所見」を読んで―医大生・たきいです。2014/11/22

放射線技師・五十嵐唯織
濱田岳
コミュ障設定の五十嵐は演技派俳優の濱田岳さんで決まりでしょう。ちょっとボケっとしておきながらMRIの細かい設定を変更してアーチファクトを消し始める名演技に期待がもてそうです。フラジャイルの長瀬はいい配役だったと思いますが、本作はジャニーズだとちょっとつまらない気がします。

放射線科医・甘春杏
有村架純
こんなきれいな女医さんいるかよ!みたいな旬な女優さんでどうでしょう。凄腕放射線技師の五十嵐を前にムッとする表情は絵になりそうです。因みに有村架純ちゃんは好きです。

放射線科志望で医学部に入学する人って限りなく0%だと思いますが、本作を読んで放射線科医になりたくて医学部入学する人なんかが出てきたら面白いものですね。確かに「ウェステルマン肺吸虫症」をズバリ診断とかカッコいいですものね。

画像診断医療コミック、「ラジエーションハウス」。今後の展開にも期待です。






(溜まっているタスクを消化しきれずに参っている人(笑))



フラジャイル 病理医岸京一郎の所見(6) (アフタヌーンコミックス)
草水敏,恵三朗
講談社

麻酔科医ハナ コミック 1-5巻セット (アクションコミックス)
なかお 白亜
双葉社

「はたらく細胞3巻」を読んで

2016-06-09 22:05:23 | 読書感想文

久々に締め切りに余裕をもってレポートが仕上がりましたとさ。医大生・たきいです。



さて、本日ご紹介したいのがこれ。

はたらく細胞(3) (シリウスKC)
清水 茜
講談社


第1巻からブログで書評をあげさせていただいてる「はたらく細胞」。生体内の擬人化に成功した今話題の作品でございます。

3巻のラインナップは、

・循環
・風邪
・胸腺
・獲得免疫
・ニキビ


個人的に気に入ったのが循環。これまでの話は「細胞」だけあって免疫学的な話が多めだったのですが、循環をネタに細胞の話を作っちゃうのには不意を突かれました。循環器の勉強するときは、血液自体にはあまりフォーカスをあてないものですから。なるほどなぁ、天才的な物語構成能力です。

気になるのが著者の清水茜さんって何者なんだということですね。医学を噛み砕いて話を作り上げるって相当な努力が必要なハズです。医者が原作を練っていたとしても不思議ではありません。もちろんあくまでもマンガですから医学的見地とは矛盾するところもあるとは思うのですが、凡人医学生のわたくしからすると目をつぶれる範囲に収まっていると思います。患者さんに説明するときにこんなたとえ話をすっと出てくるようになったらカッコいいなとさえ考えます。

前回の書評では微生物学的な路線で攻めてくれると嬉しいだなんていうマニアックな発言をしましたが、薬理学的な話で攻めてもネタが作れそうだなというのが今回の印象です(笑)
免疫学的ネタはそろそろお腹いっぱいな気もするので、「まさかそれをネタにしちゃうとは……!」みたいな展開を今後は期待します。





(レポートをスタイリッシュなデザインにして中身をごまかし気味なことを反省している人(笑))

「「医師アタマ」との付き合い方」を読んで

2016-05-29 23:59:59 | 読書感想文

既に次の週末が楽しみだと思ってしまう週末の終わりを過ごしております。医大生・たきいです。





さて、今日読み終わったのがこちら。

「医師アタマ」との付き合い方―患者と医者はわかりあえるか (中公新書ラクレ)
尾藤 誠司
中央公論新社


新学期のオリエンテーションで先生からちょっと話題に出ていたので気になっていた本でした。ネットに上がっている本書に対するコメントによると医学部の編入試験に出題されたという一冊です。

病棟実習をしている医学生たちはときに、「君たちはまだ何もできないのだから」だなんて言われてしまうこともあります。確かにまだ医師免許を持っていないのだからあたり前。「ロコモ」を知らないとやや失言をしていた同級生に対して先生は、「一般大衆の理解はその程度なんだよね」と言って落ち込んでいた様子もこの目で見たことがあります。このように、病院で働く医師の先生にとって「学生さん」は基本的にお客様として認識されているケースが多いわけです。だから医学生の我々は限りなく患者さんに近いはずだ、という理論が成り立ちそうなものですが、「医師アタマ」は自分にもしっかり作り上げられてしまっていたことに気が付いたのが一番の衝撃でした。

例えば。本書80頁にて、「繊維筋痛症」とはおそらく「線維筋痛症」の誤字だと思われますが、ちょっと冷ややかな目で見てしまった私には少なからず「医師アタマ」の要素はあるのかもしれません。

それはさておき。本書中の、よくある医者と患者さんのやりとりを叙述している場面。「ふつうはそうやって問診を進めていくものだよね。OSCE(※いわば病棟に出るための仮免許実技試験)でもそうならったもの。」と読みながらそうした感想を抱きましたが、患者は質問に答えようとしているのに医師に遮られてしまう不自然さ、急に角度の変わった質問の不思議さ等々、言われてみればなるほどという指摘が続きます。「変だな」と思えなくなっているあたり、私はすでに「医師アタマ」なのでしょう。このことに自覚的になれたことだけでも本書を手に取ってみた価値があるかもしれません。

医師自身にも患者さんのために一生懸命になっているという思い込みがあるかと思います」(p.132)
本書は恐らく、医師とのコミュニケーションに悩んでいる患者さんに売れている本ではないかと思いますが、医師側にとっても重要な指摘がいくつもあります。

実臨床で画一で合理的な判断をするために医師は「モンドリアンの思考回路」を起動させているのだとか。これはつまり理系的な考え方です。相談に乗ってほしいときには医者に文系的な「モネの思考回路」を起動させてもらわなければならず、「医学上の質問なら医師アタマで答えられますが、不安の解消など人間的な質問や相談には“人”としてしか乗れないのです」(p.164)ということになります。「artとしての医学」の重要性を再認識します。

「医師アタマ」が「石アタマ」になってしまう前に、患者さんの不安には寄り添える人間でありたいと思いを新たにします。

著者の尾藤先生には恐ろしく医療業界の構造が見えているのだろうと推察いたしましたが、自分もこうした文章が書ける人間でもありたいと考えます。仲間にも是非一度読んでもらいたいと思いますし、入試の現代文で出てもおかしくなさそうなので高校生が読んでみてもいいでしょう。

調べる限りこの本の初出は10年ほど前のようですが、今の時代ならネットメディアを利用して同じテーマでバズらせることも可能だったのかもしれないなとも思います。そこは少し惜しかったかもしれない、と。より多くの人に医療の問題を考えてもらうためにも、「医師アタマ」は「医師アタマ」なりに考えつづけなければならないのでしょう。







(ラーメン食べたい気分な人(笑))