某月某日 夕方のことでした。
五年ぶりに、わたしは自動改札口を出ました。つまり、電車に乗ったのが五年ぶりということです。
ここはわたしの庭みたいなもの。土地勘もしっかり持っていたつもりでした。週に一、二回はバスに乗ってやって来ます。
ところが、そのときは違っていました。芋を洗うが如く人人 人 それも毎度のことです。さて、行こうかと歩きかけたとき、右へ二、三歩、左へ歩きかけて えぇ、どっちだったぁ 頭の中が上みたいにドロドロした状態に 同時に、真っ白くなりました。
もともと方向感覚が狂いがちだった、たとえば、映画館を出た途端、こっちの方向と覚えていたつもりが反対方向へ歩いていたとか。このときも、そんな感じでした。そして、思いました。痴ほう症になったら、こんな頭の状態で徘徊するんかなぁって。痴ほう症と徘徊はまた、違うんでしょうけど。僅かなときでしたけど、ほんと自分が行く方向が分らなくなりました。
あのとき、節電で構内はたしか暗かったぁ でも、外は明るかったです。
さいわい、直ぐに何時もの階段をおりて帰りのバス亭へ向かいました。また、当日、検査のため朝から何も口にしていなかったのも思いだしました。
あのときのわたしが味わった一瞬の思い、恐怖以外のなにものでもなかったぁ
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