多聞月記

シルクドゥソレイユのドラリオンをきっかけに中国雑技、サーカス好きになったおっちゃんの月記

サーカスの未来を守りたい ~木下大サーカスの想い~

2012-04-08 22:00:00 | Weblog
朝,なにげな~くチャンネルをまわしていたら
あれ?ホイールオブデスだ・・・
と思ってみていたら,NHKが木下大サーカスの特集をやってたんです.
“ルソンの壷”という番組
赤テントから夢と感動を!』
途中からでしたけどいろいろ木下大サーカスのことや木下社長の
日本のサーカスにかける想いなど知ることができるいい番組でした.
こういうNHKの番組でサーカス団にスポットがあてられるっていうこと自体が
すごく嬉しいですよね.

一昨年だったかな・・・キグレNewサーカスが倒産しました.
そして去年はシルクドゥソレイユのZEDも撤退という状態に.
やはりサーカスエンターテイメントというのが置かれている状況というのは
厳しいようです.

木下大サーカスもバブル期には借金が10億円に達し
20年前にはつぶれる寸前だったそうです.
そこからの建て直し.

アメリカから演出家のジョンさんという方を招いてショーアップ化への取り組み.
そして日本の伝統芸能的なサーカスばかりだったところに世界中からアーティストを招聘.
ホイールオブデスはまさしくその象徴みたいですね.
あと,水洗式トイレの設置に冷暖房を完備.
とにかくいろいろやってやってやって
そして3年で少しずつ光が見えてきたかなと感じたそうです.
現在は無借金経営.
ただし,ちょっとでも気を抜くとすぐに借金はできるっておっしゃってました.

サーカスで大切なもの
1.場所
2.根
3.ネタ
“場所”とはどこでやるか.
“根”とは根気強くやっていくこと.
“ネタ”とはクオリティー

いかにお客さんに足を運んでもらうかというのは大きな課題で
地元のありとあらゆる組織,たとえば子ども会とかにもあいさつに行くそうです.
そして初日の時点で“木下大サーカスが来る”というのを知っていてもらう.
初日の時点で知ってもらっていれば初日のお客さんから口コミでショーの内容が広がるそうです.
そしてそこでも重要なのが
“常に変化させる”
前といっしょではお客さんはやってこない.
違う楽しさがあることが必要なんだそうです.

こう思うとZEDは演目はほぼ3年間同じ.
それがシルクの中では常識なんでしょうけど,やはりそれでは口コミからの
リピーターは呼べないのかもしれないですね.
ZEDというストーリーを大切にしつつ,定期的に演目を入れ替えていく.
かなり乱暴でシルクで意図的に定期的に演目を入れ替えるなんてことは
しないでしょうが,そういうことが必要だったのかもしれないですね.

もう一つすごく印象的なお話だったのが人材育成です.
もともとサーカスという世界は上下関係がとにかく厳しく
そして新人が新しい技を覚えるっていうことはベテランにとっては
自分の出番を減らしてしまうということで
基本的に技は教えてもらえないものだったそうです.
職人らしい“見て覚えろ”というしきたり.
でもそれだとなかなか技を見につけることができず
また,給与が出演回数で決まっていたので
新人はいつまでも給与が得られず,結局サーカスを離れてしまうという
のが大きな問題としてあったそうです.
現社長の木下さんももともとはパフォーマーなのでそのあたりの問題意識は強かったんでしょう.

まず給与体系を基本給の割合を増やして新人でも食べていけるように.
そして新人が初舞台をふむと教えた先輩の給料もあがるというシステムにされたそうです.
さらに新卒採用もスタート!
まったくのズブの素人でもやる気があったらみんなで育てていく.
そういう想いなんだそうです.
そんな中,スポットをあてられていたのが
“河田優子さん”というパフォーマー.
なんと出身は文学部!!
そんな彼女をていねいに指導している様子が描かれていました.

そしてパフォーマンスをする環境にも変化を.
以前はトラピスは固定のメンバーだけで,誰かが怪我をしたら
トラピスはなくなるという状態が普通だったそうです.
旧給与体系だとたしかにそうなってしまうのかもしれないですね.
でもそこからいろんな人ができるようにして
誰かが怪我をしても全員でそれをカバーしてトラピスをする.
“ファミリーとして助けあう そして成長していく”そうおっしゃってました.
『上下関係はあるけど互いに助け合う』

この改革,ベテラン勢にとっては給料が下がったかもしれないですよね.
それでもこういう方針でやっていこうというのについていった.
それも素敵だと思いました.
そこには次々と消えていくサーカスという危機感もあったと思いますが
サーカスの未来を守りたい テントから夢と感動を
そんな想いを一人一人がもっていたんじゃないかなと思います.


もっともっとおしゃれで最高の“ファミリーエンターテイメント”にしたい
そう最後におっしゃってました.
楽しみですね.
ファミリーエンターテイメントってのがいいな~って思います.
木下大サーカス.
日本が誇る日本のサーカスです.
これからの木下大サーカスにも期待したいですね.


(おまけ)
日本のサーカス
というだけあって,伝統芸能の復活にも力を注がれているようですね.
西洋を導入するだけでなく,それと並行して日本のサーカスも大切にし
演じてがいなくなってしまった伝統サーカス芸はなんとか復活させようとする.
そんな取り組みもされているそうです.
その一つが“坂綱”
綱渡りで綱を上っていく演目です.
上ったところで約10メートルの高さ分,後ろ向きの状態ですべるんですが
それが中々バランスが難しいそうです.
しかしそれが20年ぶりに復活!!
14年目のパフォーマーさんが今演じられているそうです.
そしてそれをさらにパワーアップして2年後にモンテカルロに出場されるそうな!!
これはまた注目ですね!!!

なおこの番組は関西地区では再放送があります!!
4月13日(金)午前11:05~11:30
私も前半を見られていないんで予約録画します!
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする