ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

DUNE/デューン 砂の惑星

2021年10月21日 | 映画館で見たばっかり篇
第一印象はとにかく地味…『ブレードランナー2049』の興行的な失敗が原因だろうか。今までのフィルモグラフィーでかいまみれた玄人好みの作家性はみごとに封印されている。封切り1週目にもかかわらず館内の観客もまばら、日本における興行もおそらく地味な結果に終わるだろう。しかし欧米における成績は上々らしく、続編以降のgoサインが出るのも時間の問題だとか。映画の内容よりも継続の可能性が注目を集めている1本だ。 . . . 本文を読む

ドライブ・マイ・カー

2021年10月02日 | 映画館で見たばっかり篇
少し説明が多すぎるんじゃないかと思いながらずっと見ていたのだか、他者とのコミュニケーションをテーマにした本作は、聴覚や視覚障害者向けのバリアフリー版が別途あるらしい。環境意識への高まりとともに、ダイバーシティ等への配慮のあるなしがマーケットにも直接影響を及ぼすようになってきた社会の風潮を、ちゃんと察知した上での演出だろう。読解力不足が指摘される若者にも優しい本作を監督した期待の若手ホープ濱口竜介の . . . 本文を読む

TENET

2020年10月10日 | 映画館で見たばっかり篇
公開1週目にしてすでに考察サイトが何本もアップロードされ、今現在も謎が謎を呼ぶ超難解映画に成長しつつある映画、それが『TENET』なのです。最新物理理論を駆使した前々作『インターステラー』は、グレッグ・イーガンを思わせるハードSF的世界観が自分のような文系人間が見ると特にわかりにくく、目の前の映像が何を意味しているのかさっぱりという場面も。そしてこの『TENET』、その『インタース . . . 本文を読む

デッド・ドント・ダイ

2020年06月23日 | 映画館で見たばっかり篇
どんなに前評判がよろしくなくとも新作が公開されたらとりあえず映画館に足を運ぶことを決めている映画監督、自分にとってはそれがジム・ジャームッシュである。インディーズ界のレジェンドことJJの作品についてコメントを求められると、“オフ・ビート”という形容詞をつけておけば間違いなし的な通りいっぺんの回答をよこしてくれる人が多いのだが、本作に関しては不思議とそれがない。そんな思考 . . . 本文を読む

パラサイト 半地下の家族

2020年01月02日 | 映画館で見たばっかり篇
監督自ら頭を下げてネタバレ禁止のお願いをしてくる映画というのを生まれて初めて見た気がする。本作のおかげで、2年連続アジア人監督作品がパルムドール受賞という快挙となったわけであるが、是枝裕和の『万引き家族』とボン・ジュノの本作では、観客への信頼度という点でかなりの温度差があるような気がする。2作品とも国家にある意味見捨てられた棄民家族を主人公にしているのだが、ボンA . . . 本文を読む

アイリッシュマン

2019年12月25日 | 映画館で見たばっかり篇
タランティーノは“シャロン・テート惨殺事件”をモチーフにして、昨今のウォーク・カルチャー一色に染まりつつあるハリウッドの凋落ぶりをブラックな笑いで丸焦げにしてみせたが、かつて格好のアメリカン・ゴシップ・ネタにされてきた“ジミー・ホッファ失踪事件”を題材に選んだ本作で、マーティン・スコセッシは観客に何を伝えようとしたのだろう。一介の食肉運搬業者だったアイルランド系アメリカ人フランク・シ . . . 本文を読む

マリッジ・ストーリー

2019年12月07日 | 映画館で見たばっかり篇
アカデミー作品賞の有力候補として『ジョーカー』の対抗馬にもあげられている本作だが、離婚訴訟を扱った秀作『クレイマー、クレイマー』のリメイク的内容にとどまっており、前評判倒れといった感じの1本だ。ウェス・アンダーソン作品の脚本も何本か書いているバームバック、実は初監督作品となる『イカとクジラ』も観ているのだが、ウェス作品同様自分が苦手とする部類の作り手である。自身の離婚経 . . . 本文を読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

2019年11月19日 | 映画館で見たばっかり篇
生涯に10本しか映画を撮らないと宣言しているタラちゃんことクエンティン・タランティーノ通算9本目に当たる本作は、ハリウッドを出禁中のロマン·ポランスキー監督の元妻シャロン・テート惨殺事件をモチーフにしている。しかしこの映画、一種の歴史改変ものといってもいい思わぬどんでん返しがラストに待っている。 スティーブ・マックイーンやブルース・リーのそっくりさんまで登場させて、 . . . 本文を読む

ターミーネーター :ニュー・フェイト

2019年11月14日 | 映画館で見たばっかり篇
ターミネーター生誕35周年を記念して製作された、T2の正統的続編がこの“ニュー・フェイト(原題:DARK FATE)”だ。その間にジェームズ・キャメロンの手を離れたターミネーターシリーズは、本作にいたるまで別人の手によって3本の続編が、 そして若きサラ・コナーを主人公にしたTVシリーズまで製作されている。ターミネーター産みの親であるキャメロンが35年前に想像していた未来から大幅に改変されてしまった . . . 本文を読む

象は静かに座っている

2019年11月04日 | 映画館で見たばっかり篇
234分。こんなに長時間映画館に缶詰めになったのは、『ファニーとアレクサンドル』のリバイバル上映以来。途中インターミッションが入らない訳ありのぶっとうし作品なので、トイレは上映開始前に必ず済ましておくことをお勧めする。しかし、私のように途中○○○で数分途中退席してもさほど影響を受けない退屈なシナリオに、開始早々鼾がそこかしこで鳴り響いたのも頷ける冗長な長回しが特徴ともいえる1本だ。こ . . . 本文を読む

JOKER

2019年10月16日 | 映画館で見たばっかり篇
『ハング・オーヴァー』シリーズをはじめとする下ネタコメディばかりを撮ってきたトッド・フィリップスがここにきてまさかの路線変更。ホアキン・フェニックスの狂気?迫る怪演も話題をよび本作はヴェネツィアで金獅子賞に輝いている。ジャック・ニコルソン→ヒース・レジャーと続いた、バットマンのヴィランとして有名なジョーカー誕生までを描いた前日譚 . . . 本文を読む

アベンジャーズ/エンドゲーム

2019年06月01日 | 映画館で見たばっかり篇
前作『インフィニティー・ウォー』のリベンジ劇は冒頭あっけなく幕を閉じる。この女兵士が最初から仲間入りしていればあんな負け方しなかったんじゃないの。そう思えるほどデラ強いキャプテン・マーベリックの協力を得たアベンジャーズ残党は、戦意喪失のサノスをワザワザ探し出し、○○○○○てしまうのだ。 それから5年後。大戦に負けたショックと仲間を失った悲しみ、そして仇を討とうにも相手がいなくなったアベンジャー . . . 本文を読む

リーン·オン·ピート

2019年05月01日 | 映画館で見たばっかり篇
女好きな父親と二人、ポートランドで借家暮らしをしているチャーリー(チャーリー・プラマー)の日課は、家の近所をジョギングすること。ある日痴情沙汰で大怪我をおった父親の傷がなおるまでの間、厩舎でピートという名前の競走馬の世話をすることに。レース中怪我が判明したピートはメキシコに売られることになってしまうのだが… アメリカで最も住んでみたい街といわれるポートランドだが、『世界ふれあい街歩き』に描かれ . . . 本文を読む

グリーンブック

2019年03月09日 | 映画館で見たばっかり篇
神田のある居酒屋での出来事。店内は7割程度の混み具合にも関わらず、中国人旅行客グループの入店を店主が断ったのだ。当然中国人たちはカンカンに怒って帰って行ったのだが、店内で酒を飲んでいた日本人客はみな一様にホッとした様子。入店を断られた中国人にしてみればもちろん差別待遇に他ならないが、逆に常連客は店主のとった行動に信頼感すら覚えたはず。この映画のように簡単に解決できるほど差別問題は単純ではな . . . 本文を読む

ボヘミアン・ラプソディ

2018年12月02日 | 映画館で見たばっかり篇
友人の影響で私がロックを聴き始めた時、ラジオのFMでクイーンの「地獄へ道づれ」がよくかかっていた。70年代の熱狂が峠をこしロックの終わりがそろそろ見えてきた頃で、かすかな燃えかすを探してはその残り香を貪るように嗅いでいた、そんな時代だった。好きなバンドは?と聞かれると、ハードロック派ならレッド・ツェッペリン、ロックンロール派ならローリング・ストーンズ、パンク派ならクラッシュかセックス・ピストルズ . . . 本文を読む