2013年6月3日。
アスンシオン中心部・セントロの北側に広がるスラム街。「ここには一人で近づかないように」とのお触れが出ていたが、その世界を知るために、僕は足を運んだ。
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手前のストリートまでは多くの人が練り歩き、活気に満ちている。治安の悪さも感じない。しかし、スラム街の手前まで来ると、信じられないくらい空気が変わる。人気も一気になくなり、何というか、殺気さえ感じる。ほんの200m手前までとは打って変わって違う世界になる。
近くにいた警官が僕をにらむ。明らかに僕を見ている。
スラムの青年が僕をにらむ。明らかに僕を見ている。
青年が何かを叫んだ。スラムの若者が数人集まってくる。その動きに反応してか、子ども達も集まってくる。
「僕は世界の不条理に憤っている日本の若者だ。皆さんを卑下するためにここに来たんじゃない。そんな目で見ないでくれ。冷やかしの気持ちなんかじゃない。僕は知るために、本気で今ここに来ているんだ。」
そんなことを考えたりする。
「おい!この日本人!」
突然誰かが叫んだ。
それは僕だった。
「お前はそういうつもりで来ているのかもしれないけど、ここの人達にとってはお前なんかただの冷やかし同然なんだよ。ここでの様子を写真に撮って、ブログやらフェイスブックやらに載せて世間に知らせた気になって、日本で買ってきた百均のボールペンやお菓子とか配って、それで満足か?ここの人達にとってはな、お前がきたことで生活が変わるわけでもなんでもねーんだよ!このマスターベーション野郎が!」
まだ叫んでくる。
「お前らみたいな奴らはな、ただの物珍しさにやって来たクソ野郎なんだよ。お前らはたまたま日本という国に生まれて世界を旅することもできる。でもな、ここに生まれた人達は、一生ここからあ出られない人がほとんどなんだよ。頭ではお前も分かっているだろ?お前が来たことで、ここの人達の何が変わる?お前らみたいな奴らは、クソッタレバックパッカーなんだよ!」
僕が僕に叫んでいる。
僕は言い返す。
「そんなつもりじゃない。ここに住んでいる人達を卑下する気持ちなんて、全くない。僕は本気で心を痛めている。本気で何とかしたいと思っている。でも・・・今の僕は・・・今の僕に出来ることは・・・。」
スラム街を後にする。少し遠くで、警官は僕をじっと見ている。
そうだ。僕は自覚しなくちゃいけない。僕は崇高な気持ちで世界を見ている「つもり」でいる。でも、そんなのは彼ら彼女らには関係ないんだ。僕は無力だ。僕に出来ることなんて、筆記用具やお菓子を配ることくらいしかない。僕なんて、ただの見物人以外の何者でもないんだ。
そうだ、俺達はクソッタレバックパッカーなんだ。
そう、俺達はクソッタレバックパッカーだ。
2013年6月3日。思ったよりも冷え込んでいる、エンカルナシオン北の日本人居住区にて。
アスンシオン中心部・セントロの北側に広がるスラム街。「ここには一人で近づかないように」とのお触れが出ていたが、その世界を知るために、僕は足を運んだ。
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手前のストリートまでは多くの人が練り歩き、活気に満ちている。治安の悪さも感じない。しかし、スラム街の手前まで来ると、信じられないくらい空気が変わる。人気も一気になくなり、何というか、殺気さえ感じる。ほんの200m手前までとは打って変わって違う世界になる。
近くにいた警官が僕をにらむ。明らかに僕を見ている。
スラムの青年が僕をにらむ。明らかに僕を見ている。
青年が何かを叫んだ。スラムの若者が数人集まってくる。その動きに反応してか、子ども達も集まってくる。
「僕は世界の不条理に憤っている日本の若者だ。皆さんを卑下するためにここに来たんじゃない。そんな目で見ないでくれ。冷やかしの気持ちなんかじゃない。僕は知るために、本気で今ここに来ているんだ。」
そんなことを考えたりする。
「おい!この日本人!」
突然誰かが叫んだ。
それは僕だった。
「お前はそういうつもりで来ているのかもしれないけど、ここの人達にとってはお前なんかただの冷やかし同然なんだよ。ここでの様子を写真に撮って、ブログやらフェイスブックやらに載せて世間に知らせた気になって、日本で買ってきた百均のボールペンやお菓子とか配って、それで満足か?ここの人達にとってはな、お前がきたことで生活が変わるわけでもなんでもねーんだよ!このマスターベーション野郎が!」
まだ叫んでくる。
「お前らみたいな奴らはな、ただの物珍しさにやって来たクソ野郎なんだよ。お前らはたまたま日本という国に生まれて世界を旅することもできる。でもな、ここに生まれた人達は、一生ここからあ出られない人がほとんどなんだよ。頭ではお前も分かっているだろ?お前が来たことで、ここの人達の何が変わる?お前らみたいな奴らは、クソッタレバックパッカーなんだよ!」
僕が僕に叫んでいる。
僕は言い返す。
「そんなつもりじゃない。ここに住んでいる人達を卑下する気持ちなんて、全くない。僕は本気で心を痛めている。本気で何とかしたいと思っている。でも・・・今の僕は・・・今の僕に出来ることは・・・。」
スラム街を後にする。少し遠くで、警官は僕をじっと見ている。
そうだ。僕は自覚しなくちゃいけない。僕は崇高な気持ちで世界を見ている「つもり」でいる。でも、そんなのは彼ら彼女らには関係ないんだ。僕は無力だ。僕に出来ることなんて、筆記用具やお菓子を配ることくらいしかない。僕なんて、ただの見物人以外の何者でもないんだ。
そうだ、俺達はクソッタレバックパッカーなんだ。
そう、俺達はクソッタレバックパッカーだ。
2013年6月3日。思ったよりも冷え込んでいる、エンカルナシオン北の日本人居住区にて。
http://blog.livedoor.jp/kaya0169/archives/50732506.html
が、殺されました。プロの日本人が
http://saketobara.blog50.fc2.com/blog-entry-189.html
私も含め、自業自得ですね。
生きていられたのは、自分はただ運が良かっただけなのかもしれません。
コメントと貴重な情報、ありがとうございます。