2013年6月30日。
スクレの夜は長かった。午前3時のボリビアの路上、なかなかに危機感のある時間だった。バスターミナルが開き、中に入れた時のあの安心感。久しぶりに心から「ホッとした」瞬間だった。
スクレから目的地のサンタクルスに向かおうとする僕。しかし困ったことに、サンタクルス行きのバスは夕方までないという。いくつものバス会社に聞いて回ったが、みんな同じくらいの出発時間だった。仕方ないのでチケットだけ購入し、昼間はスクレ市内を散策。そして夕方、バスターミナルに戻って来た。
出発は午後4時。バスは来ていたので荷物を積み込み、席に座り出発を待つ僕。バストラブルが続いたので、今回ばかりは静かに大人しく目的地に着いてくれることを祈るばかりだ。
しかししかし、トラブルというのは重なるもの。何やらチケットを確認している兄ちゃんが騒いでいる。そして僕の座席に、「ここは私の席なんだけど」と現地の方が話しかけてくる。僕の席だけじゃなく、他の席でも起きているようだ。どうやらちゃんとチケット販売が出来てないらしい。まったく、何やってんだ!席くらいちゃんと確認して売ってくれ!と思う僕。
そしてこのトラブルが思いのほか長く、さっそく出発が1時間以上遅れた。まぁ1時間の遅れなんてボリビアでは日常茶飯事だが、それでもやっぱり頭に来る。
そして本当のトラブルは、この後やって来た。バスが走り始めて1時間ちょっと経った頃であろうか、小さな集落にバスが通りかかった。
こちらのバスは面白い事に、席が空いていれば途中でバンバン人を乗せていく。どういう基準でお金を集めているのかは謎だが、とにかく人を乗せていくのだ。この集落でもサンタクルス方面に行きたい人が多かったようで、バンバンと人を乗せ始めた。空いている席は、どんどん埋まっていく。そして係の兄ちゃんが、「飛び乗り組」からお金を徴収していく。
どうやら全員から集め終わったようだ。さて出発か、と思いきや、ここでまたトラブルが発生。
何やら徴収していた金額が人によって違っていたらしく、一人のおじさんが激怒している。スペイン語なのか現地の民族の言葉なのかサッパリ分からないが、その怒り方はハンパではない。言葉が分からないので何とも言えないが、そうとうキレている。
そして始まった、プチ乱闘。バスの乗務員とそのおじさんが、激しくいがみ合っている。しかも僕の隣で。「おいおいおい、止めてくれよ~、早く行こうよ~、しかも俺の隣でやるなよ~。ほら、大騒ぎするから、コーラも床にこぼれてベタベタだよ~。俺の靴のところにまで流れてきてるじゃないかよ~。」と思いながらもどうしようもないので、空気の様に存在感を消してバトルの終了を待つ。
周りの人も巻き込みながら、何分争ったであろうか。ひとまず乱闘は終了した。さて、ようやく出発だ。ボリビアのバスは災難続きだぜまったく・・・。
そして、次の災難がまた起きる。すったもんだした挙句、全員の席も決まったのだが、僕の両サイドには現地の方々、いわゆる「インディヘナ」の方たちが座った。
もちろん色々なインディヘナが存在するわけが、この集落から乗って来たインディヘナの方たちは、ことのほか貧しそうに見えた。服も相当に汚いし、靴も履いていない人もいる。
これは敢えて書いてしまうのだが、正直な感想なので、書いてしまいます。問題はここから起こった。
どうやらこのインディヘナの人たちは、全然お風呂の入っていないらしい。
正直に書いてしまいます。とっても臭いのだ。両サイドを固められてしまった僕は、その中に完全に閉じ込められらた。
これはなかなかに強烈だった。まともに息をするのもしんどい。
もちろん、僕には差別的な思いなどあるはずがない。ボリビアという国の貧富の差、格差の問題が、このような人たちを生み出していることなんだと思う。それについてはひどく心を痛めているし、本当に何とかできないものかと真剣に考えている。
しかし、そうは言っても、きついものはきつい。しかしどうしようもない。時計を見る。まだ午後8時前。到着予定時刻は最初は朝5時だと言っていたが、トラブルが頻発しているので、間違いなく2時間は遅れるだろう。うーん、あと10時間以上このままか・・・。こりゃまずいぞ、あと10時間も耐えるのか。しかしやるしかない。戦闘力を上げるための修業だと、腹をくくるしかない。
再び長い夜がやって来た。
ただでさえ眠ることなど困難なボリビアの夜行バス。昨夜は昨夜で、真夜中の街中に放り出された僕。今日は今日でこの状況。2日連続でまったく眠れないのか。いいね!いいじゃないか!ゾクゾクしてくるじゃないか!
最後に時計を見たのは、午前2時過ぎだった気がする。疲れ果てていた僕は、何だかんだで最後は少しだけ眠りに落ちた。そして午前7時、ようやく目的地・サンタクルスに辿り着いた。
おおお・・・なんと美しい朝なのだろう・・・!何だかよく分からない達成感でいっぱいだぜ。
2日連続の夜行バスで、僕自身も2日間風呂に入っていない。まずはシャワーを浴びて、服を着替えたいぜ。
この3日間、バスに乗りっぱなしだったが、本当に気力と体力を使う旅になった。しかし僕は、日本の若者に、このような経験をぜひしてほしと思う。
自分の常識は世界の常識じゃないということ、日本の常識も世界の常識じゃないということ。それを肌で感じでほしいし、そこから自身の人間的成長につなげてほしい。
旅というものは、はっきり言って即戦力にならない修業の場だ。例えば、パソコンの使い方についての研修をみっちり受けたとしよう。そこでの「修業」は、すぐにビジネスの場で活かすことができる。「即戦力」を見に付けるための「修業」の場だ。
ところが旅というものは、「即戦力」にはならない。ボリビアのバスの事情を体験しても、すぐに何かに活きるということはないであろう。しかし、このような経験・体験は、確実に「人間力」を上げるのだ。僕はそう信じている。
自分の普段の「生」の枠を超えた体験をすること。それが自らの「人間力」を高め、厚くて熱い人間を育ててくれる。その高い「人間力」こそが、最後は人としての魅力になり、全ての基盤となる。「即戦力」にはならないが、最後はそういう人としての魅力と深みが、その人の人生を成功へと導き、揺るぎない「力」になっていくはずだ。
僕は最後は「人間力」が勝負だと思う。いくら小手先のテクニックがあっても、人としての厚みと深みがない人間は、表面的な部分だけで終わってしまうと思う。
旅には、そのような「人間力」を鍛え、身に付けさせてくれる不思議な力がある。だから僕は今また旅をしているし、若い世代にぜひ一歩、この世界に足を踏み出してほしいのだ。
もし僕のフェイスブックやブログを見ることのある若者がいたら、ぜひ一度、フリーな立場で世界に飛び出してほしい。素晴らしい「何か」が必ず経験できるはずだ!楽しいぞ!
2013年6月30日。乾期なのに雨模様が続いているサンタクルスにて。
スクレの夜は長かった。午前3時のボリビアの路上、なかなかに危機感のある時間だった。バスターミナルが開き、中に入れた時のあの安心感。久しぶりに心から「ホッとした」瞬間だった。
スクレから目的地のサンタクルスに向かおうとする僕。しかし困ったことに、サンタクルス行きのバスは夕方までないという。いくつものバス会社に聞いて回ったが、みんな同じくらいの出発時間だった。仕方ないのでチケットだけ購入し、昼間はスクレ市内を散策。そして夕方、バスターミナルに戻って来た。
出発は午後4時。バスは来ていたので荷物を積み込み、席に座り出発を待つ僕。バストラブルが続いたので、今回ばかりは静かに大人しく目的地に着いてくれることを祈るばかりだ。
しかししかし、トラブルというのは重なるもの。何やらチケットを確認している兄ちゃんが騒いでいる。そして僕の座席に、「ここは私の席なんだけど」と現地の方が話しかけてくる。僕の席だけじゃなく、他の席でも起きているようだ。どうやらちゃんとチケット販売が出来てないらしい。まったく、何やってんだ!席くらいちゃんと確認して売ってくれ!と思う僕。
そしてこのトラブルが思いのほか長く、さっそく出発が1時間以上遅れた。まぁ1時間の遅れなんてボリビアでは日常茶飯事だが、それでもやっぱり頭に来る。
そして本当のトラブルは、この後やって来た。バスが走り始めて1時間ちょっと経った頃であろうか、小さな集落にバスが通りかかった。
こちらのバスは面白い事に、席が空いていれば途中でバンバン人を乗せていく。どういう基準でお金を集めているのかは謎だが、とにかく人を乗せていくのだ。この集落でもサンタクルス方面に行きたい人が多かったようで、バンバンと人を乗せ始めた。空いている席は、どんどん埋まっていく。そして係の兄ちゃんが、「飛び乗り組」からお金を徴収していく。
どうやら全員から集め終わったようだ。さて出発か、と思いきや、ここでまたトラブルが発生。
何やら徴収していた金額が人によって違っていたらしく、一人のおじさんが激怒している。スペイン語なのか現地の民族の言葉なのかサッパリ分からないが、その怒り方はハンパではない。言葉が分からないので何とも言えないが、そうとうキレている。
そして始まった、プチ乱闘。バスの乗務員とそのおじさんが、激しくいがみ合っている。しかも僕の隣で。「おいおいおい、止めてくれよ~、早く行こうよ~、しかも俺の隣でやるなよ~。ほら、大騒ぎするから、コーラも床にこぼれてベタベタだよ~。俺の靴のところにまで流れてきてるじゃないかよ~。」と思いながらもどうしようもないので、空気の様に存在感を消してバトルの終了を待つ。
周りの人も巻き込みながら、何分争ったであろうか。ひとまず乱闘は終了した。さて、ようやく出発だ。ボリビアのバスは災難続きだぜまったく・・・。
そして、次の災難がまた起きる。すったもんだした挙句、全員の席も決まったのだが、僕の両サイドには現地の方々、いわゆる「インディヘナ」の方たちが座った。
もちろん色々なインディヘナが存在するわけが、この集落から乗って来たインディヘナの方たちは、ことのほか貧しそうに見えた。服も相当に汚いし、靴も履いていない人もいる。
これは敢えて書いてしまうのだが、正直な感想なので、書いてしまいます。問題はここから起こった。
どうやらこのインディヘナの人たちは、全然お風呂の入っていないらしい。
正直に書いてしまいます。とっても臭いのだ。両サイドを固められてしまった僕は、その中に完全に閉じ込められらた。
これはなかなかに強烈だった。まともに息をするのもしんどい。
もちろん、僕には差別的な思いなどあるはずがない。ボリビアという国の貧富の差、格差の問題が、このような人たちを生み出していることなんだと思う。それについてはひどく心を痛めているし、本当に何とかできないものかと真剣に考えている。
しかし、そうは言っても、きついものはきつい。しかしどうしようもない。時計を見る。まだ午後8時前。到着予定時刻は最初は朝5時だと言っていたが、トラブルが頻発しているので、間違いなく2時間は遅れるだろう。うーん、あと10時間以上このままか・・・。こりゃまずいぞ、あと10時間も耐えるのか。しかしやるしかない。戦闘力を上げるための修業だと、腹をくくるしかない。
再び長い夜がやって来た。
ただでさえ眠ることなど困難なボリビアの夜行バス。昨夜は昨夜で、真夜中の街中に放り出された僕。今日は今日でこの状況。2日連続でまったく眠れないのか。いいね!いいじゃないか!ゾクゾクしてくるじゃないか!
最後に時計を見たのは、午前2時過ぎだった気がする。疲れ果てていた僕は、何だかんだで最後は少しだけ眠りに落ちた。そして午前7時、ようやく目的地・サンタクルスに辿り着いた。
おおお・・・なんと美しい朝なのだろう・・・!何だかよく分からない達成感でいっぱいだぜ。
2日連続の夜行バスで、僕自身も2日間風呂に入っていない。まずはシャワーを浴びて、服を着替えたいぜ。
この3日間、バスに乗りっぱなしだったが、本当に気力と体力を使う旅になった。しかし僕は、日本の若者に、このような経験をぜひしてほしと思う。
自分の常識は世界の常識じゃないということ、日本の常識も世界の常識じゃないということ。それを肌で感じでほしいし、そこから自身の人間的成長につなげてほしい。
旅というものは、はっきり言って即戦力にならない修業の場だ。例えば、パソコンの使い方についての研修をみっちり受けたとしよう。そこでの「修業」は、すぐにビジネスの場で活かすことができる。「即戦力」を見に付けるための「修業」の場だ。
ところが旅というものは、「即戦力」にはならない。ボリビアのバスの事情を体験しても、すぐに何かに活きるということはないであろう。しかし、このような経験・体験は、確実に「人間力」を上げるのだ。僕はそう信じている。
自分の普段の「生」の枠を超えた体験をすること。それが自らの「人間力」を高め、厚くて熱い人間を育ててくれる。その高い「人間力」こそが、最後は人としての魅力になり、全ての基盤となる。「即戦力」にはならないが、最後はそういう人としての魅力と深みが、その人の人生を成功へと導き、揺るぎない「力」になっていくはずだ。
僕は最後は「人間力」が勝負だと思う。いくら小手先のテクニックがあっても、人としての厚みと深みがない人間は、表面的な部分だけで終わってしまうと思う。
旅には、そのような「人間力」を鍛え、身に付けさせてくれる不思議な力がある。だから僕は今また旅をしているし、若い世代にぜひ一歩、この世界に足を踏み出してほしいのだ。
もし僕のフェイスブックやブログを見ることのある若者がいたら、ぜひ一度、フリーな立場で世界に飛び出してほしい。素晴らしい「何か」が必ず経験できるはずだ!楽しいぞ!
2013年6月30日。乾期なのに雨模様が続いているサンタクルスにて。