世界中から熱苦しく・・・「ふじもん世界放学ブログ」

元「変な学校先生」私ふじもんが、ただ今世界を駆け巡っています!世界の今と僕の魂をお届けしますので、ぜひお読み下さ~い!

【第1章 南米編 ふじもん in trouble バスの旅vol,3 ~ボリビア・スクレ ⇒ ボリビア・サンタクルス~】

2013-06-30 21:40:58 | 日記
2013年6月30日。

スクレの夜は長かった。午前3時のボリビアの路上、なかなかに危機感のある時間だった。バスターミナルが開き、中に入れた時のあの安心感。久しぶりに心から「ホッとした」瞬間だった。

スクレから目的地のサンタクルスに向かおうとする僕。しかし困ったことに、サンタクルス行きのバスは夕方までないという。いくつものバス会社に聞いて回ったが、みんな同じくらいの出発時間だった。仕方ないのでチケットだけ購入し、昼間はスクレ市内を散策。そして夕方、バスターミナルに戻って来た。

出発は午後4時。バスは来ていたので荷物を積み込み、席に座り出発を待つ僕。バストラブルが続いたので、今回ばかりは静かに大人しく目的地に着いてくれることを祈るばかりだ。

しかししかし、トラブルというのは重なるもの。何やらチケットを確認している兄ちゃんが騒いでいる。そして僕の座席に、「ここは私の席なんだけど」と現地の方が話しかけてくる。僕の席だけじゃなく、他の席でも起きているようだ。どうやらちゃんとチケット販売が出来てないらしい。まったく、何やってんだ!席くらいちゃんと確認して売ってくれ!と思う僕。

そしてこのトラブルが思いのほか長く、さっそく出発が1時間以上遅れた。まぁ1時間の遅れなんてボリビアでは日常茶飯事だが、それでもやっぱり頭に来る。

そして本当のトラブルは、この後やって来た。バスが走り始めて1時間ちょっと経った頃であろうか、小さな集落にバスが通りかかった。

こちらのバスは面白い事に、席が空いていれば途中でバンバン人を乗せていく。どういう基準でお金を集めているのかは謎だが、とにかく人を乗せていくのだ。この集落でもサンタクルス方面に行きたい人が多かったようで、バンバンと人を乗せ始めた。空いている席は、どんどん埋まっていく。そして係の兄ちゃんが、「飛び乗り組」からお金を徴収していく。

どうやら全員から集め終わったようだ。さて出発か、と思いきや、ここでまたトラブルが発生。

何やら徴収していた金額が人によって違っていたらしく、一人のおじさんが激怒している。スペイン語なのか現地の民族の言葉なのかサッパリ分からないが、その怒り方はハンパではない。言葉が分からないので何とも言えないが、そうとうキレている。

そして始まった、プチ乱闘。バスの乗務員とそのおじさんが、激しくいがみ合っている。しかも僕の隣で。「おいおいおい、止めてくれよ~、早く行こうよ~、しかも俺の隣でやるなよ~。ほら、大騒ぎするから、コーラも床にこぼれてベタベタだよ~。俺の靴のところにまで流れてきてるじゃないかよ~。」と思いながらもどうしようもないので、空気の様に存在感を消してバトルの終了を待つ。

周りの人も巻き込みながら、何分争ったであろうか。ひとまず乱闘は終了した。さて、ようやく出発だ。ボリビアのバスは災難続きだぜまったく・・・。

そして、次の災難がまた起きる。すったもんだした挙句、全員の席も決まったのだが、僕の両サイドには現地の方々、いわゆる「インディヘナ」の方たちが座った。

もちろん色々なインディヘナが存在するわけが、この集落から乗って来たインディヘナの方たちは、ことのほか貧しそうに見えた。服も相当に汚いし、靴も履いていない人もいる。

これは敢えて書いてしまうのだが、正直な感想なので、書いてしまいます。問題はここから起こった。

どうやらこのインディヘナの人たちは、全然お風呂の入っていないらしい。

正直に書いてしまいます。とっても臭いのだ。両サイドを固められてしまった僕は、その中に完全に閉じ込められらた。

これはなかなかに強烈だった。まともに息をするのもしんどい。

もちろん、僕には差別的な思いなどあるはずがない。ボリビアという国の貧富の差、格差の問題が、このような人たちを生み出していることなんだと思う。それについてはひどく心を痛めているし、本当に何とかできないものかと真剣に考えている。

しかし、そうは言っても、きついものはきつい。しかしどうしようもない。時計を見る。まだ午後8時前。到着予定時刻は最初は朝5時だと言っていたが、トラブルが頻発しているので、間違いなく2時間は遅れるだろう。うーん、あと10時間以上このままか・・・。こりゃまずいぞ、あと10時間も耐えるのか。しかしやるしかない。戦闘力を上げるための修業だと、腹をくくるしかない。

再び長い夜がやって来た。

ただでさえ眠ることなど困難なボリビアの夜行バス。昨夜は昨夜で、真夜中の街中に放り出された僕。今日は今日でこの状況。2日連続でまったく眠れないのか。いいね!いいじゃないか!ゾクゾクしてくるじゃないか!

最後に時計を見たのは、午前2時過ぎだった気がする。疲れ果てていた僕は、何だかんだで最後は少しだけ眠りに落ちた。そして午前7時、ようやく目的地・サンタクルスに辿り着いた。

おおお・・・なんと美しい朝なのだろう・・・!何だかよく分からない達成感でいっぱいだぜ。

2日連続の夜行バスで、僕自身も2日間風呂に入っていない。まずはシャワーを浴びて、服を着替えたいぜ。


この3日間、バスに乗りっぱなしだったが、本当に気力と体力を使う旅になった。しかし僕は、日本の若者に、このような経験をぜひしてほしと思う。

自分の常識は世界の常識じゃないということ、日本の常識も世界の常識じゃないということ。それを肌で感じでほしいし、そこから自身の人間的成長につなげてほしい。

旅というものは、はっきり言って即戦力にならない修業の場だ。例えば、パソコンの使い方についての研修をみっちり受けたとしよう。そこでの「修業」は、すぐにビジネスの場で活かすことができる。「即戦力」を見に付けるための「修業」の場だ。

ところが旅というものは、「即戦力」にはならない。ボリビアのバスの事情を体験しても、すぐに何かに活きるということはないであろう。しかし、このような経験・体験は、確実に「人間力」を上げるのだ。僕はそう信じている。

自分の普段の「生」の枠を超えた体験をすること。それが自らの「人間力」を高め、厚くて熱い人間を育ててくれる。その高い「人間力」こそが、最後は人としての魅力になり、全ての基盤となる。「即戦力」にはならないが、最後はそういう人としての魅力と深みが、その人の人生を成功へと導き、揺るぎない「力」になっていくはずだ。

僕は最後は「人間力」が勝負だと思う。いくら小手先のテクニックがあっても、人としての厚みと深みがない人間は、表面的な部分だけで終わってしまうと思う。

旅には、そのような「人間力」を鍛え、身に付けさせてくれる不思議な力がある。だから僕は今また旅をしているし、若い世代にぜひ一歩、この世界に足を踏み出してほしいのだ。

もし僕のフェイスブックやブログを見ることのある若者がいたら、ぜひ一度、フリーな立場で世界に飛び出してほしい。素晴らしい「何か」が必ず経験できるはずだ!楽しいぞ!

2013年6月30日。乾期なのに雨模様が続いているサンタクルスにて。

【第1章 南米編 ふじもん in trouble バスの旅vol,2 ~ ボリビア・ウユニ ⇒ ボリビア・スクレ~ 】

2013-06-29 21:54:37 | 日記
2013年6月29日。

6月26日の午後2時過ぎ、難局を乗り越えて無事にボリビアのウユニに辿り着いた僕。

ウユニはボリビアを代表する一大観光地だ。何といっても、あの「ウユニ塩湖」がある。最近は日本の旅番組でも頻繁に放送され、ウユニの名前は日本人にもかなり知れ渡っているようだ。

普通ならウユニに来たのなら、真っ先にウユニ塩湖を目指すものだ。しかし以前ガッツリ行ったことがある僕は、今回はパスしようと決めていた。それよりも、次の目的地のサンタクルスに一刻も早く行きたかったので、さっそくサンタクルス行きのバスを探した。

どうやらウユニからサンタクルスへの直行バスはないらしく、スクレという街で乗り継ぐことになるらしい。内心、「ホントに直行バスねーのかよ?実はどっこかから出てんじゃねーの?」と疑いつつ、スクレまでのチケットを購入した。

バスの出発は午後7時。まだまだ時間はある。ウユニの街をじっくり歩いたことはなかったので、ウユニ散策をしてバスの時間を待つことにした。

そして午後6時30分、バスの出発場所へ。珍しく時間通りにバスはやって来た。が・・・。

かなりヤバいバスだ・・・。明らかにボロいし、もっと大型のバスかと思いきや、かなり小さい。シートも狭い。荷物をしまうトランクもなく、乗客の荷物はバスの上に乗せるタイプ。これはタフな夜行バスになるな・・・と覚悟を決め、バスに乗り込んだ。

スクレへの到着予定時刻は午前3時。着いたらバスターミナルで夜明けを待ち、サンタクルスへのチケットを買うしかない。もう今夜は寝られないであろう覚悟で、座席に座っていた。

午後7時、珍しく時間通りに出発。とりあえず順調に進むバス。隣の席も空いてるし、狭いが何だかんだで快適だ。

ウトウトしかけていた頃、トラブルが発生。「ふじもん in trouble バスの旅vol,2」の幕開けだ。

なんと、突然バスのエンジンがストップ!完全に停止してしまった。「おいおいおい、マジかよ。それだけは止めてくれよ・・・。」と思いつつ、エンジンの回復を願った。

運転手が懐中電灯を手に、ガサガサと修理をしている。停止すること約15分、再びエンジンがかかった!

ああ~よかった・・・と、ホッと胸をなでおろしたのも束の間、ちょっと走ってはエンジンストップを繰り返す。これはヤバい展開だ。

もしバスにトラブルがあったとしても、日本のように代理のバスが来るはずがない。恐らくその場で夜を明かし、その道を通る別のバスに飛び乗るしかない。料金の補償など、あるわけがない。

走ったり止まったりを繰り返し、何とかバスは進んでいる。そして午前1時、ポトシという都市に辿り着いた。

そしてついにバスは完全に故障。エンジンが煙を吹いている。スクレまで行けるはずがない。これは覚悟を決めるしかない。どうしたもんかと思っていたら、どうやらスクレまで行く乗客は3人しかいなかったようで、タクシーで送ってくれることになった。さすがに料金はバスの運転手が払っている。

やった!これはラッキー!とりあえずスクレまでは行けそうだ!

慌ててタクシーに飛び乗る。僕たち3人を乗せて、一路スクレへ!とは言っても、これがまた狭いタクシーで・・・。とてもじゃないが、ウトウトすらできない。

走ること1時間半、ようやくスクレに到着。時間は午前3時。まぁ時間的には、バスと同じだ。それは良いのだが、ここでまたトラブルが・・・。

なんと!バスターミナルが閉まっているではないか!

僕は路上に投げ出された。午前3時のボリビア。ちょっとよろしくない展開だ。

ターミナルの前には人通りのほとんどない夜のストリート。ノラ犬くん達は相変わらず闊歩しまくり。たまに通る人は、何だかちょっとヤバそうな男ばかり。

どうしようもないので、ターミナル入口の出来るだけ地味な場所に待機するしかない。何時にターミナルが開くのかさえ分からない。そして寒い。僕は寝袋を身体に巻きつけ、腰を下ろし、空気の様に存在感を消して夜明けを待った。

たまに話しかけてくるタクシーのおっちゃんと、ちょっと怪しい男たち。僕の身体の臭いを嗅いでは去っていくノラ犬くん達。おお、なんと切ない時間か。時間が経つのがこれほどまでに遅いとは・・・。頼むから、早くバスターミナルよ開いてくれ・・・。僕はただひたすらに願いながら、寒さに凍えながら、朝を待った。

そして午前4時30分。ついに係のおっちゃんが到着!ターミナルが開いた・・・!

おお、何と長い夜だったか。久しぶりにタフな夜を過ごしたぜ・・・。戦闘力は上がったかもしれないが、ちょっと過酷だったぜ・・・。

しかししかし、まさか「ふじもん in trouble バスの旅vol,3」がこの後また待っているとは、この時は思いもしなかった・・・。

2013年6月29日。サンタクルスの闇夜を眺めながら。

【第1章 南米編 ふじもん in trouble バスの旅vol,2 ~ボリビア・ウユニ ⇒ ボリビア・スクレ~】

2013-06-29 17:11:54 | 日記
2013年6月29日。

6月26日の午後2時過ぎ、難局を乗り越えて無事にボリビアのウユニに辿り着いた僕。

ウユニはボリビアを代表する一大観光地だ。何といっても、あの「ウユニ塩湖」がある。最近は日本の旅番組でも頻繁に放送され、ウユニの名前は日本人にもかなり知れ渡っているようだ。

普通ならウユニに来たのなら、真っ先にウユニ塩湖を目指すものだ。しかし以前ガッツリ行ったことがある僕は、今回はパスしようと決めていた。それよりも、次の目的地のサンタクルスに一刻も早く行きたかったので、さっそくサンタクルス行きのバスを探した。

どうやらウユニからサンタクルスへの直行バスはないらしく、スクレという街で乗り継ぐことになるらしい。内心、「ホントに直行バスねーのかよ?実はどっこかから出てんじゃねーの?」と疑いつつ、スクレまでのチケットを購入した。

バスの出発は午後7時。まだまだ時間はある。ウユニの街をじっくり歩いたことはなかったので、ウユニ散策をしてバスの時間を待つことにした。

そして午後6時30分、バスの出発場所へ。珍しく時間通りにバスはやって来た。が・・・。

かなりヤバいバスだ・・・。明らかにボロいし、もっと大型のバスかと思いきや、かなり小さい。シートも狭い。荷物をしまうトランクもなく、乗客の荷物はバスの上に乗せるタイプ。これはタフな夜行バスになるな・・・と覚悟を決め、バスに乗り込んだ。

スクレへの到着予定時刻は午前3時。着いたらバスターミナルで夜明けを待ち、サンタクルスへのチケットを買うしかない。もう今夜は寝られないであろう覚悟で、座席に座っていた。

午後7時、珍しく時間通りに出発。とりあえず順調に進むバス。隣の席も空いてるし、狭いが何だかんだで快適だ。

ウトウトしかけていた頃、トラブルが発生。「ふじもん in trouble バスの旅vol,2」の幕開けだ。

なんと、突然バスのエンジンがストップ!完全に停止してしまった。「おいおいおい、マジかよ。それだけは止めてくれよ・・・。」と思いつつ、エンジンの回復を願った。

運転手が懐中電灯を手に、ガサガサと修理をしている。停止すること約15分、再びエンジンがかかった!

ああ~よかった・・・と、ホッと胸をなでおろしたのも束の間、ちょっと走ってはエンジンストップを繰り返す。これはヤバい展開だ。

もしバスにトラブルがあったとしても、日本のように代理のバスが来るはずがない。恐らくその場で夜を明かし、その道を通る別のバスに飛び乗るしかない。料金の補償など、あるわけがない。

走ったり止まったりを繰り返し、何とかバスは進んでいる。そして午前1時、ポトシという都市に辿り着いた。

そしてついにバスは完全に故障。エンジンが煙を吹いている。スクレまで行けるはずがない。これは覚悟を決めるしかない。どうしたもんかと思っていたら、どうやらスクレまで行く乗客は3人しかいなかったようで、タクシーで送ってくれることになった。さすがに料金はバスの運転手が払っている。

やった!これはラッキー!とりあえずスクレまでは行けそうだ!

慌ててタクシーに飛び乗る。僕たち3人を乗せて、一路スクレへ!とは言っても、これがまた狭いタクシーで・・・。とてもじゃないが、ウトウトすらできない。

走ること1時間半、ようやくスクレに到着。時間は午前3時。まぁ時間的には、バスと同じだ。それは良いのだが、ここでまたトラブルが・・・。

なんと!バスターミナルが閉まっているではないか!

僕は路上に投げ出された。午前3時のボリビア。ちょっとよろしくない展開だ。

ターミナルの前には人通りのほとんどない夜のストリート。ノラ犬くん達は相変わらず闊歩しまくり。たまに通る人は、何だかちょっとヤバそうな男ばかり。

どうしようもないので、ターミナル入口の出来るだけ地味な場所に待機するしかない。何時にターミナルが開くのかさえ分からない。そして寒い。僕は寝袋を身体に巻きつけ、腰を下ろし、空気の様に存在感を消して夜明けを待った。

たまに話しかけてくるタクシーのおっちゃんと、ちょっと怪しい男たち。僕の身体の臭いを嗅いでは去っていくノラ犬くん達。おお、なんと切ない時間か。時間が経つのがこれほどまでに遅いとは・・・。頼むから、早くバスターミナルよ開いてくれ・・・。僕はただひたすらに願いながら、寒さに凍えながら、朝を待った。

そして午前4時30分。ついに係のおっちゃんが到着!ターミナルが開いた・・・!

おお、何と長い夜だったか。久しぶりにタフな夜を過ごしたぜ・・・。戦闘力は上がったかもしれないが、ちょっと過酷だったぜ・・・。

しかししかし、まさか「ふじもん in trouble バスの旅vol,3」がこの後また待っているとは、この時は思いもしなかった・・・。

2013年6月29日。サンタクルスの闇夜を眺めながら。

【第1章 南米編 ふじもん in trouble バスの旅 ~チリ・カラマ ⇒ ボリビア・ウユニ~ 】

2013-06-28 23:28:03 | 日記
2013年6月28日。

6月26日早朝。前日の朝チリ北部の街カラマに着き、その足でチュキカマタ銅山の視察ツアーに参加した僕。一度見てみたかったチュキカマタに足を運べてゴキゲンな僕は、意気揚々と次の目的地、ボリビアはウユニに向けて出発の準備をしていた。

チケットは前日に購入。バスの出発時間は朝6時。集合時間は15分前ということで、ちょっと早めに5時30分過ぎにバスターミナルに到着した。

そこに一枚の張り紙。スペイン語なのでサッパリ分からないが、何人かの現地人の方がざわついている。

嫌な予感がする・・・。

張り紙の文章の中に、「サスペンド」の文字。スペイン語と英語は似ている単語もあるので、ある程度意味が分かることもある。

サスペンド・・・サスペンドだと?

張り紙一枚残しておくだけで、こんな朝早くに集めておいて、バスが来ねぇだと?

こっちはしっかり金も払ってんだぞ!ふざけんな!

でもここは南米。よくある話ではあるんです。

張り紙一枚残しておいて、バスが来ませんなんて…日本じゃ絶対考えられないですよね。

しかし困った…。もうカラマは十分満喫したし、ここで黙ってまた一泊…なんて、絶対したくねぇ。

もちろん周りに日本人など誰もいない。いや、日本人はおろか、英語が通じる人すらもいない。

追い込まれた僕。

いや、何か手があるはずだ。他にもウユニに行くバスはないのか?

焦りと同時に、僕の闘争心に火が付き始めた。

ふと右の方を見ると、何やら人が集まっている。どうやらそこにもバスが来るようだ。

とりあえず近くに人に話してみる。

すると、なんと!どうやらこのバスも、ボリビア行きのようじゃないか!

しかし当然、チケットは前売り。かなりの数の人が並んでいる。いや、でも全部埋まってはいないはずだ。

僕は決心した。「よし、このバスに飛び乗ってやる!」

やがてバスが到着。チケットもないくせに、誰よりも早くバスに飛び乗る。ここが勝負だ。

チケットを確認するおばちゃんに、通じないと分かっていてもとりあえず英語で説明をする。すると事情を分かっていたのか、34番の座席に座れと言ってくれた。

よっしゃあ!俺の勝ちだぜ!

僕は34番の座席を陣取る。

次々と席が埋まっていく。しかしどうやら僕と同じく「飛び乗り組」も多数いるようで、みんな早い者勝ちで席を取っていく。そして全ての座席があっという間に埋まってしまった。

窓の外には、バスに乗れなかった現地の人達が立ちすくんでいる。どうやら僕と同じ状況の人も多いようだ。

ここは南米、弱肉強食。時には図々しく動かないと、全てが奪い取れられてしまうのだ。

果たしてこのまま出発してくれるのか?内心ドキドキしながら、何故かそのその危機感にワクワクもしてくる。自分の戦闘力が上がって来るのを感じる。

そしてバスが出発!よし、勝った!

しかしまだ戦いは残っている。やがてこのおばちゃんはチケットの確認に来るはずだ。僕が持っているのは他のバス会社のチケット。間違いなく拒否される。

さらに僕は、もうチリを出ることが分かっていたので、もうチリペソを使いきっていた。持っているお金はアメリカドルのみ。支払はアメリカドルでするしかない。果たしてそれが通じるのか?

やがておばちゃんがやって来た。一人一人、チケットの確認をしていく。飛び乗り組からは、その場でお金を徴収している。

やがて僕のところへやって来た。

僕は、またしても通じないと分かっていながら英語で説明をする。そして、おばちゃんが理解していないと分かっていながら、僕は当然のようにアメリカドルを出した。

するとおばちゃんは、はぁ?とちょっと呆れた顔をして、僕に話しかけてくる。おそらく「チリペソはないのか?」と言っているのだろう。しかし僕は、他の会社のチケットとアメリカドルを差し出して、「俺はむしろバスが急に来なくなった被害者だ。これで何とかしろ!」的な雰囲気を出して、おばちゃんを説得した。

するとやがておばちゃんは呆れ果て、僕を素通りした。

どうやら僕から金を徴収することを諦めたようだ。よっしゃあ、完全勝利!ざまーみやがれ!

でもさ、俺はちゃんと金払ってんだぜ、本当は。いきなり朝になってバスが来ないとかいう、あっちのバス会社が悪いんだぜ。だから違う会社のチケットでも、飛び乗ったっていいじゃないか。少なくとも、チケットも無いのに当日来て乗ろうとしている人達よりは、俺の方が乗る権利があるはずだ。

まぁ普通に考えれば他社のバスなんだから、そりゃお金は払わないといけない…ですよね。しかし、ここは南米。理不尽に素直に応じていたら、こっちが完全に食われかねない。おばちゃんには申し訳ないけど、僕は僕自身に正論を押し付けて、そのままバスを乗り継いでウユニに向かった。

さすがにちょっと心苦しかったのとおばちゃんを味方に付けるため、パスポートチェックのためにバスを降りるとき、「グラシアス」と一言言いながら、おばちゃんのポケットに少しだけ残っていたチリペソを入れた。

よし、アフターフォローも完璧。マジで勝利だぜ!(笑)

バスの旅は戦闘力も上げてくれる。だからバスは面白い。だから旅は面白い。

外には、ただひたすらに荒涼としたアタカマ砂漠が広がっている。しかし「ふじもん in trouble バスの旅」がこの後もすぐやって来るとは、この時は思いもしなかった・・・。

2013年6月28日。ボリビアのイメージとはかなり異なる街、サンタクルスにて。

【第1章 南米編 僕がバス旅にこだわる理由「バスが教えてくれるもの」】

2013-06-25 17:54:01 | 日記
2013年6月25日。

僕はバスや鉄道での移動が好きだ。飛行機は極力使わない。最近は格安航空会社が著しく伸びてきているので、タイミングが合えば信じられないくらい安い価格で飛行機を使うこともできる。

でも、僕はバスが好きだ。何故か?それは、「過程」があるからだと思っている。

僕がバスが好きな理由①:土地が見える。

僕は今回、この細くて長いチリという国を、南北に縦断してやろうと決めた。そこで一番見たいと思ったのが、気候の変化と土地の変化だ。

南米大陸最南端、フエゴ島。雪が降り積もり、その寒さからか背丈の高い木々は育たない。「冬に来るもんじゃねーな…」という寒さと景観だ。


そして少し北上すると、少しだけ暖かさが増してくる。しかし、景色は相変わらずだ。


さらに北上し、太平洋沿岸のプエルト・モンという街へ。さらにそこから南のチロエ島という地域に足を伸ばしたのだが、まるでヨーロッパを思わせるような風光明媚な景色が…!そして魚が美味い美味い!(笑)


北上を続け、チリの首都・サンチアゴへ。このあたりまで来ると、景色が大きく変わってくる。徐々に乾燥してきているのが分かる。


さらに北に行くと、地肌の割合が増えてくる。毎度お馴染み、サボテン君の出番だ。


そしてチリの最北端、アタカマ砂漠へ。
ここまで来ると、完全に「砂漠」となる。こういう変化が自分の目で見ることができて、またその変化が如実に分かる。これがとても面白い!どんどん移動していることが、肌で感じられるのだ。

僕がバス旅が好きな理由②:現地の人と触れ合える。

日本や欧米などの国々ではそうではないが、その他の国では、飛行機はまだまだお金持ちの乗り物だ。一部の裕福な人々しか利用できない。

僕は、もっと現地の人々の「リアル」が見たい。現地の庶民の方々はバスを利用するのがほとんどなので、その中で現地の人達と触れ合えるのは本当に面白い。

例えば、バスの隣に座ったおっちゃんと仲良く話したり、子どもたちとはしゃいでみたり…。そして「どんな常識で」人々は公共の乗り物に乗るのか、それを見ているのもとっても面白い。

南米であれば、バスの中での携帯電話の通話はお構い無し。そもそもマナーモードってやつが存在しないのであろう。最初は一瞬気になるが、それは最初だけ。その違いを楽しむのが旅の醍醐味であり、自分自身を大きくさせてくれる。

人々が何をバスに詰め込み、何を食べ、どんな売り子がバスの中に物売りに来るのか…。その国の「リアル」が肌で感じられる。だからバスは面白い!

僕がバス旅が好きな理由③:値段

これは言うまでもなく、安いから(笑)。格安航空券といっても、やはりなかなかバスの価格に敵うものはない。はい、その通り、安いからです!

僕は今、チリの最北端、アタカマ砂漠のまっただ中にあるオアシス都市、カラマにいる。最南端のフエゴ島からここまで地に足を付けて移動してきたが、実に面白い。カラマは砂漠のど真ん中にありながら、オアシスの豊富な水とチュキカマタ銅山の経済効果でとても栄えている。人々もどことなく明るく、余裕があるように見える。その表情は、寒さの厳しい南部とは、また違って見えるのだ。

旅は本当に自分自身を豊かにしてくれる。海外に気持ちのある若者は、ぜひ一度その歩みを外に向けてほしいと、心から僕は思う。

留年?したらいいじゃん!休学?しちまえ、そんなもん!退職?転職?再就職?大丈夫だそんなもん、なんとかなる!南米人の明るさと陽気さを見習っちまえ!(笑)

長い人生の中で、「旅」という方向にちょっと足を向けてみる。そんな人生、僕は「アリ」だと思うなぁ…!うん!

2013年6月25日。カラマの中心にある、Wi-Fiフリーの図書館の隅っこにて。