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2013年10月12日。
《僕らは今日、ネイティブアメリカンの部族の1つであるプエブロ族が住む地域、タオス・プエブロを訪れた。ここは世界遺産にも指定されており、プエブロ族の人々が昔ながらの生活をそのまま営んでいる。小さな集落なのだが、住居や教会などその街並みは美しく、素晴らしい場所であった。しかし、ちょっとした出来事から、僕は考えさせられた。》
タオス・プエブロ。茶色い土塗りの建物。土産物を売るプエブロ族の人々。背後には雄大な山々が広がり、突き抜けるような青空が全てを包んでいる。
魅力的な建物ばかりだ。僕は以前から述べているように、その土地に住む先住民の人々の生活にとても興味と関心を持っている。今回は何を見、何を感じることができるのか。楽しみにしてこの場所に足を運んだ。
この魅力的な光景を少しでもカメラにおさめようと、僕は何枚ものシャッターを切った。そして、タオス・プエブロのメインとなる建物「プエブロ・マンション」を撮影しているとき、その建物の奥にプエブロ族の人々が何人か集まっているのが見えた。
僕は何の気なしに、そのシーンを撮影しようとカメラを向けた。
まだシャッターを押したわけではない。ある程度の距離もあったので、僕が彼らだけを撮影しているのかどうか、それとも建物全体を撮影しているのかどうかも、彼らには分からなかったかもしれない。
しかし彼らは、激しい剣幕で僕のところに迫ってきた。
「ノーノーノー!!!」
正直、僕は焦った。今まで世界中で何百枚も写真を撮ってきたが、何度か「ここは撮らないで」という注意を受けてしまったことはあった。でも、明らかに禁止されている場所で僕は撮影することは絶対にないし、誤ってカメラを向けてしまったときでも、今日ほど強く注意されることはなかった。
スリランカで政府機関の写真を撮ってしまってマシンガンを持った兵士に注意されたときも、ネパールと中国の国境で中国側の写真を撮ろうとして人民軍兵士に注意されたときも、それほどきつい口調ではなかった。むしろスリランカではそれをきっかけに兵士と仲良くなり、マシンガンを持たせてもらったりしたものだ(笑)。
焦った僕は「ノーノー、まだ撮っていないよ。カメラを向けてしまってごめんなさい。」と、とにかく平謝りをした。まだ撮っていなかったのは本当なのでデジカメのデータを見せて、事なきを得た。
最後は「Have a good day」と言ってくれたものの、その背中からは少しの怒りが滲み出ているようにも見えた。
ネイティブアメリカンの人々の歴史。僕は正直詳しくは分からない。
どのような経緯を経て、現在のような生活をすることになったのか。
詳しいことは僕には分からないけど、でも僕たちのような観光客が支払う入場料が、貴重な収入になっていることは間違いない。
じゃあ僕たちは、もっと偉そうにしていい存在?彼らの生活を支えているのだから。
写真くらい撮らせろよ、と言ってもいい?彼らの生活を支えているのだから。
何を言うか。そんなはずはない。
忘れてはいけない、彼らはネイティブアメリカン。この土地に元々住んでいた人たちだ。
政府からの保護もあるだろう。しかしその「政府」とは、ネイティブアメリカンの人々によるものではない。
彼らが望んで、今のような「観光客からの収入に依存する生活」をしているとは到底思えない。
ものすごくフレンドリーな人もいる。握手を求めてきて、「Where are you from?」と聞いてきてくれる人もいた。そして「Japan」と答えると、「地震の影響は大丈夫かい?」と心配もしてくれた。
ものすごく気難しい人もいる。建物全体を撮っているのに、「私のことは撮らないでよ」と、強い剣幕で注意をしてくる人もいた。
別にどちらが良いとか悪いとか言いたいわけではない。ただできることならば、僕は彼らの気持ち、心境、本音にガチで触れてみたいという想いはある。
そうなんだよな、アメリカだけじゃない。僕は南米から中米、そして北米へと上がってきたけど、「元々その土地に住んでいた人だけで作り上げられている国は1つもない」んだよな。すべての国が植民地による支配を経験し、その支配層が国の中心にいる。
ということは、南北アメリカ大陸すべての国が「裏と表の顔」を持っていることになる。普通に旅をしていれば、僕たちは普段「表」の顔ばかりが見えるけど、そこには歴史的な背景からやってくる「裏」がある。
過去のことをいつまで愚痴々々言うのは僕は大嫌いだ。向くべき方向は未来。それは分かっている。それでもやっぱり、僕にはその「裏」の部分が心に引っ掛かる。
僕が向けたカメラに対して、強い剣幕で注意をしてきた人。
とてもフレンドリーに握手を求めてきてくれた人。
「写真は撮らないで」と、事前に注意をしてきた人。
彼らは皆、この土地に住むプエブロ族の人々だ。彼らのそれぞれに想いがあるだろう。僕たちには理解できないような、複雑な想いが・・・。
今日僕は、「その国を訪れることの難しさ」を感じた。世界中のほとんどの国で、「表と裏」がある。僕たちはそのことを知識として理解できても、心で感じることはできない。
世界は深い。そしてなんと難しいことか。これまで何度も感じてきたことだけど、今また改めて感じている。
まだまだ僕には「世界」は理解できそうにないな。まだまだ修行あるのみだ・・・!
2013年10月12日。バルーンフェスティバルが行われるアルバカーキにほど近いRV Parkにて。
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2013年10月12日。
《僕らは今日、ネイティブアメリカンの部族の1つであるプエブロ族が住む地域、タオス・プエブロを訪れた。ここは世界遺産にも指定されており、プエブロ族の人々が昔ながらの生活をそのまま営んでいる。小さな集落なのだが、住居や教会などその街並みは美しく、素晴らしい場所であった。しかし、ちょっとした出来事から、僕は考えさせられた。》
タオス・プエブロ。茶色い土塗りの建物。土産物を売るプエブロ族の人々。背後には雄大な山々が広がり、突き抜けるような青空が全てを包んでいる。
魅力的な建物ばかりだ。僕は以前から述べているように、その土地に住む先住民の人々の生活にとても興味と関心を持っている。今回は何を見、何を感じることができるのか。楽しみにしてこの場所に足を運んだ。
この魅力的な光景を少しでもカメラにおさめようと、僕は何枚ものシャッターを切った。そして、タオス・プエブロのメインとなる建物「プエブロ・マンション」を撮影しているとき、その建物の奥にプエブロ族の人々が何人か集まっているのが見えた。
僕は何の気なしに、そのシーンを撮影しようとカメラを向けた。
まだシャッターを押したわけではない。ある程度の距離もあったので、僕が彼らだけを撮影しているのかどうか、それとも建物全体を撮影しているのかどうかも、彼らには分からなかったかもしれない。
しかし彼らは、激しい剣幕で僕のところに迫ってきた。
「ノーノーノー!!!」
正直、僕は焦った。今まで世界中で何百枚も写真を撮ってきたが、何度か「ここは撮らないで」という注意を受けてしまったことはあった。でも、明らかに禁止されている場所で僕は撮影することは絶対にないし、誤ってカメラを向けてしまったときでも、今日ほど強く注意されることはなかった。
スリランカで政府機関の写真を撮ってしまってマシンガンを持った兵士に注意されたときも、ネパールと中国の国境で中国側の写真を撮ろうとして人民軍兵士に注意されたときも、それほどきつい口調ではなかった。むしろスリランカではそれをきっかけに兵士と仲良くなり、マシンガンを持たせてもらったりしたものだ(笑)。
焦った僕は「ノーノー、まだ撮っていないよ。カメラを向けてしまってごめんなさい。」と、とにかく平謝りをした。まだ撮っていなかったのは本当なのでデジカメのデータを見せて、事なきを得た。
最後は「Have a good day」と言ってくれたものの、その背中からは少しの怒りが滲み出ているようにも見えた。
ネイティブアメリカンの人々の歴史。僕は正直詳しくは分からない。
どのような経緯を経て、現在のような生活をすることになったのか。
詳しいことは僕には分からないけど、でも僕たちのような観光客が支払う入場料が、貴重な収入になっていることは間違いない。
じゃあ僕たちは、もっと偉そうにしていい存在?彼らの生活を支えているのだから。
写真くらい撮らせろよ、と言ってもいい?彼らの生活を支えているのだから。
何を言うか。そんなはずはない。
忘れてはいけない、彼らはネイティブアメリカン。この土地に元々住んでいた人たちだ。
政府からの保護もあるだろう。しかしその「政府」とは、ネイティブアメリカンの人々によるものではない。
彼らが望んで、今のような「観光客からの収入に依存する生活」をしているとは到底思えない。
ものすごくフレンドリーな人もいる。握手を求めてきて、「Where are you from?」と聞いてきてくれる人もいた。そして「Japan」と答えると、「地震の影響は大丈夫かい?」と心配もしてくれた。
ものすごく気難しい人もいる。建物全体を撮っているのに、「私のことは撮らないでよ」と、強い剣幕で注意をしてくる人もいた。
別にどちらが良いとか悪いとか言いたいわけではない。ただできることならば、僕は彼らの気持ち、心境、本音にガチで触れてみたいという想いはある。
そうなんだよな、アメリカだけじゃない。僕は南米から中米、そして北米へと上がってきたけど、「元々その土地に住んでいた人だけで作り上げられている国は1つもない」んだよな。すべての国が植民地による支配を経験し、その支配層が国の中心にいる。
ということは、南北アメリカ大陸すべての国が「裏と表の顔」を持っていることになる。普通に旅をしていれば、僕たちは普段「表」の顔ばかりが見えるけど、そこには歴史的な背景からやってくる「裏」がある。
過去のことをいつまで愚痴々々言うのは僕は大嫌いだ。向くべき方向は未来。それは分かっている。それでもやっぱり、僕にはその「裏」の部分が心に引っ掛かる。
僕が向けたカメラに対して、強い剣幕で注意をしてきた人。
とてもフレンドリーに握手を求めてきてくれた人。
「写真は撮らないで」と、事前に注意をしてきた人。
彼らは皆、この土地に住むプエブロ族の人々だ。彼らのそれぞれに想いがあるだろう。僕たちには理解できないような、複雑な想いが・・・。
今日僕は、「その国を訪れることの難しさ」を感じた。世界中のほとんどの国で、「表と裏」がある。僕たちはそのことを知識として理解できても、心で感じることはできない。
世界は深い。そしてなんと難しいことか。これまで何度も感じてきたことだけど、今また改めて感じている。
まだまだ僕には「世界」は理解できそうにないな。まだまだ修行あるのみだ・・・!
2013年10月12日。バルーンフェスティバルが行われるアルバカーキにほど近いRV Parkにて。
突然メールをお送りするご無礼をお許しください。私は、建築専門出版社、彰国社編集部の大塚と申します。
現在、編集部では建築防水の本(石川廣三/東海大学名誉教授著)をつくっておりまして、その中で世界の屋根(海外の土の屋根)の特徴に言及するくだりでふじもん様の写真(プエブロ・マンションの外観)を1点掲載させていただきたいと考えております。モノクロの本で、読者対象は建築の実務者です。
よろしければ改めて書面にしてお送りしたいのですが、いかがでしょうか。
よろしくご検討のほどお願いいたします。
彰国社編集部 大塚由希子
email:otsuka@shokokusha.co.jp