本日6月4日は、天安門事件が起きた日であり、欧米の
期待、中国の民主化が瓦解した日である。
現トランプ大統領になるまで、欧米の努力と信頼は水泡に帰した。
最近、トランプ大統領訪日で、安倍晋三首相と護衛艦「かが」に
両首脳が肩を並べた。5月27日は、日本海会戦で、日本連合艦隊が
露西亜、バルチック艦隊を完膚なきまでに撃滅した日である。
福島香織氏の論文は、中国の一国二制度の綻びを髣髴させる。
つい最近、中国が台湾について、声明を出したばかりである。
司法の独立と言う点では、韓国文在寅の徴用工判決(元募集工問題)
が記憶に新しい。文在寅は逃げ回って、韓国行政府の責任を回避しているが、
日韓基本条約に締結国の一方が破棄に及ぶのは、野蛮国露西亜の
日露平和条約破棄で満州に100万の軍隊を集結して、日本開拓民が
塗炭の苦しみを得たのも記憶に鮮明である。「竹林遥か遠く」は、
過ぎ去った過去ではなく、「シベリア抑留」と共に、現代的な課題として
今も未解決の問題である。
安倍晋三首相、河野外相コンビの日露交渉の停滞の主たる原因は
露西亜が国際法を守らない点にあると実感している。
『プーチン、お前は見下げ果てた男だ。』
香港に激震、中国政府が思想犯を捕まえ放題に
「逃犯条例」改正で天安門事件追悼集会は開催不可能か
2019.5.30(木) 福島 香織
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56548
天安門事件30周年を前に世界各地でシンポジウムや討論会が行われ、1989年6月4日に起きた悲劇を風化させまいという努力がなされている。特に香港では、毎年、6月4日の夜にはキャンドル集会が恒例になっている。だが、ひょっとするとこうした香港の天安門事件追悼集会は今年が最後になるかもしれない。
というのも「逃犯条例」(中国への犯罪人引渡し条例)改正案が今年(2019年)夏にも可決しそうなのだ。そうなれば、中国から香港に逃げてきた民主活動家や法輪功学習者、人権活動家、そして汚職官僚なども犯罪人として中国公安当局に引き渡されることになる、かもしれない。そして、天安門事件を忘れまいとするデモや集会なども違法な集会、反党活動、国家分裂活動として取り締まられ、主催者が犯罪人として中国に引き渡される可能性もありうるわけだ。
逃犯条例については、日本メディアでもかなり報じられている。4月28日には香港市民による13万人規模の条例に反対するデモが起きた。そして来たる6月9日には条例改正の絶対阻止を掲げて大規模デモが呼びかけられている。その前に行われる6月4日の天安門事件集会でも条例阻止が1つのテーマとなるだろう。
決定的に崩れる香港の司法の独立性
この改正逃犯条例とはどんなものなのか。現行の「逃犯条例」は「香港以外の中国その他の地方にはこの条例を適用しない」ことが規定されており、香港が中国本土と異なる司法の独立を有することを裏付ける内容になっている。改正条例案はこの適用外条項を削除する。
一言で言えば、香港の司法の独立性はこれで決定的に崩れることになる。条例の運用次第では、中国共産党が国内でやっているような政治犯・思想犯逮捕を香港でも行えるようになる可能性があるというわけだ。
中国で法律を犯した中国人が香港に逃亡した場合、香港司法当局は逃亡犯を中国に引き渡さなければならなくなる。また香港は目下米国、英国など約20カ国との犯罪人引渡協定に調印しているが、そうした国々に何の説明もなく、条例提供範囲を中国にまで広げてしまうことは、国際社会にとっても大問題だ。
西側諸国が香港と犯罪人引渡協定に調印しているのは、同じ民主主義の司法制度があるという前提で行われている。だから、香港とは犯罪人引渡を認めても、中国とは認めていない国も多い。だが、香港と中国の間に逃犯条例が成立すれば、香港を経由して自動的に中国に容疑者を引き渡してしまうことになる。西側の自由社会にしてみれば、中国のような法治国家でないところに容疑者を引き渡すわけにはいかない。
ちなみに中国と犯罪人引渡協定を結んでいる国も約40あるが、多くが中東や中央アジア、東南アジア、アフリカなどで、民主主義の法治の先進国家ほとんど含まれていない。こうした協定に基づき中国に引き渡されている“犯罪者”には、ウイグル人留学生や民主活動家らも含まれていたりするのだ。
フィナンシャル・タイムズの取材に対して、米中経済・安全審査委員会(米国議会の諮問機関)は「新条例は香港における米国の国家安全と経済利益に重大なリスクをもたらす」「ウソの口実を使って、香港在住米国人の引き渡しを要求するかもしれない」と警告している。国際商会・香港区会は「こんな条例ができれば、香港に企業の総本部を置くこと考えなおさなければならない」と不安を口にする。
残虐な「陳同佳事件」がきっかけに
香港の立法会に逃犯条例改正案が提案されたきっかけは、台湾で起きた「陳同佳事件」だ。2018年2月、香港人男子学生の陳同佳が恋人の潘暁穎を旅行先の台湾のホテルで殺害、翌日、遺体を台北MTRの竹園駅近くの公園の草むらに遺棄し、香港に逃げ帰った事件である。
潘は妊娠しており残虐きわまりない事件だが、香港と台湾の間には犯罪者引渡条例がなかった。そのため台湾警察は陳同桂を国際指名手配するも、香港は容疑者を引き渡すことができなかった。台湾警察は取り調べができないので起訴できないまま。香港警察は陳同桂をマネーロンダリングなどの別件で起訴、香港司法は今年4月に懲役29カ月の判決を下した。陳同桂は控訴せず。なぜなら判決前の収監期間を入れれば10月には出所し、自由の身になるからだ。
香港政府としては陳同桂を台湾に引き渡すために、それまでに逃亡条例を改正することにした。だが、香港の立場上、“中国の一部”である台湾とだけ条例を結ぶことは難しい。そこで条例改正案では、台湾だけでなくマカオ、そして中国本土とも容疑者引き渡しを認める内容になったわけだ。
中国への引き渡しを恐れる人たち
条例案では、引き渡し請求を受けると香港の裁判所で審理を行うが、最終決定権は香港特別政府行政長官が握る、としている。香港当局は、人権と裁判審理プロセスの公正さは担保されるし、引き渡された場合に死刑が執行される場合や政治犯容疑者は引き渡さないし、上訴や審理差し戻し請求の権利なども維持されており変化はない、としている。経済犯罪も重大犯罪のみに限定するとした。
だが現状、香港の司法制度の独立性が目に見えて中国当局に侵されているわけで、香港市民はこうした香港政府の説明に納得していない。行政長官は、親中派で固められている選挙委員会による選出であり、中国の意向に逆らえない立場である。反対派は、そうした実態があることから、条例案でいくら政治犯引渡しを認めないという内容があっても、政治犯を経済犯やその他の冤罪を着せて引き渡すことは十分ありうると考えているのだ。
こうした懸念は、香港の民主派議員や人権、宗教組織関係者、共産党批判の香港市民といった特定のイデオロギーを持った人たちに限ったものではなく、広くビジネス界金融界やメディア界にも共有されている。
というのも、香港というのは中国政治家たちの一大マネーロンダリング地であり、国際金融市場を利用して本土から不正に持ち込まれた政治家・官僚たちの資産をロンダリングして海外に移転する手助けをしてきた。金融界、財界の少なからぬ有名人たちは「ホワイトグローブ(白手袋)」と呼ばれ、汚れた手を“白手袋”で隠すように、合法的に見える手法で違法な資金洗浄を行ってきた。もし逃犯条例が改正されれば、中国国内の権力闘争のたびに、大量の香港の金融・財界人が逮捕され中国に引き渡されて取調べを受ける、なんてこともありうるわけだ。
また、香港はこれまで、中国国内で権力闘争がらみで反腐敗キャンペーンのターゲットになった官僚、政治家の一時避難所であった。自分の身辺に汚職捜査に手が伸びそうだと思ったら香港に脱出し、権力闘争の旗色を見ながら米国に亡命するか、あるいはほとぼりが冷めたころに中国に戻るかを決める。数百人単位の中央・地方官僚が、党中央や地方での闘争の嵐が過ぎるまでフォーシーズンズホテルなどに逗留している。
メディア界にしても、香港はこれまで重要な中国取材拠点としての意味があった。例えば香港駐在記者や香港人記者が中国で敏感なテーマを潜入取材しても、無事香港に戻ってくれば報道はできたし、身の安全も守れた。香港では問題ない取材でも、中国では擾乱罪や分裂扇動罪に問われかねないネタは多々ある。北京駐在記者がジャーナリストビザを通じて厳しく監視コントロールされている中で、機動力のある香港駐在記者が敏感な取材をするという意味で、「中国取材の本当のメディア最前線は香港である」と位置付けていた記者、ジャーナリストたちもいる。
さらに強まる中国の影響力と圧力
香港は習近平政権になってから深刻な中国共産党の干渉を受けるようになっている。例えば2015年10月の銅鑼湾書店事件(中国における禁書や習近平スキャンダル本の出版を行ってきた銅鑼湾書店関係者が秘密裡に逮捕され、銅鑼湾書店が閉鎖に追い込まれた事件)や、2017年1月27日に起きた大富豪・蕭建華の“失踪”事件(中国公安当局に秘密裡に身柄拘束され、北京に移送された事件)など、香港の司法の頭越しに北京が非合法なやり方で自分たちに都合の悪い人間を秘密裡に収監する事件が相次いでいる。
また、香港独立を主張する香港民族党が活動禁止を言い渡された後、香港外国特派員協会(FCC)が民族党の創始者である陳浩天に講演講師を頼んだことが原因で、講演企画者でFCCの副会長も務めていたフィナンシャル・タイムズの特派員・ビクター・マレットがビザ更新を拒否され香港から退去を余儀なくされた事件(2018年10月)。2014年の雨傘革命のきっかけとなった「オキュパイ・セントラル」(中環を占拠せよ)運動の発起人である香港大学法学部副教授の戴耀廷ら9人に最長1年4カ月の実刑判決が4月に出たことも、中国の影をひしひしと感じさせる出来事だった。
こうした中国の影響力、圧力は、条例成立によって、香港の“法治”を維持しているように見せかけながらさらに強まるのではないか、とみられている。
条例が改正されれば、具体的にどういう現象が起きるだろう。
中国政府駐香港連絡弁公室(香港中聯弁)によれば、1997年の香港返還後、本土から香港に260人以上の容疑者が逃亡しているという。香港はこれまでこうした“容疑者”を1人も中国に引き渡したことがないが、条例が改正されれば、彼らの引き渡しが一斉に始まるかもしれない。あるいは、香港から第三国への脱出ラッシュがおきるかもしれない。
銅鑼湾書店主の林栄基もその対象の1人だろう。彼は中国で秘密逮捕され長期に取調べを受けたのち、自主的に中国に戻ることを条件に一時的に香港に戻ることを許されたが、結局中国に帰らず香港で記者会見して秘密逮捕のことを暴露した。その後、切実に身の危険を感じたので、4月末に台湾に脱出。3カ月のビザが出ており、その3カ月の間に今後の身の振り方を考える、としている。
陳同佳に殺害された潘暁頴や遺族の無念を思えば、司法管轄の障壁によって裁かれるべき人間が裁かれないという今の状況は人権の観点からいっても改善されるべきなのだろう。だが、その代償が香港の司法の独立、法治だとすれば、なんと矛盾に満ちていることだろう。
一香港青年の凶行が、恋人とその赤ん坊の命を奪っただけでなく、香港そのものの命を奪うことになるとは。