イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のガーセム・ソレイマニ将軍を殺害した、
イランと米国との対立が深まっている。
中東の緊張は、原油価格へ跳ね返る。
立憲民主党枝野不幸氏は、「そんな中東に国会審議もなく自衛隊を送り出すのは、
自衛官の安全を含めて大変由々しき事態だ」と批判した。
それならば、韓国軍艦がレーダー照射をした際に、韓国国防部を何故に批判しなかったのか。
矛盾する行為と言わざるを得ない。
日本関係船舶の安全確保が、自衛隊艦船の派遣理由である。
イラン米国間の緊張が拡大した場合、野党は護衛艦派遣を制止する理由があるのか?
トランプ大統領“イラン大打撃”宣言! 緊迫する中東情勢、海自派遣の中止求める左派野党…タンカーの安全確保はどうする
2020.1.6
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200106/for2001060004-n1.html
米国とイランが一触即発の状況だ。米軍が「テロの首謀者」として、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のガーセム・ソレイマニ司令官を殺害したことを受け、イラン側は軍事的報復を明言した。これに対し、ドナルド・トランプ米大統領は「(米国に報復した場合)最新鋭の軍事装備品を投入する」「大きな打撃を与える」と警告している。世界経済への影響も懸念されるなか、日本政府が昨年末に閣議決定した中東への海上自衛隊派遣に、左派野党やメディアが反対論を強めている。ただ、原油の9割近くを中東に依存する日本が、同海域での安全航行から逃げていいのか。丸腰の民間タンカーを放置するのか。
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イラクで殺害されたソレイマニ氏の遺体は5日、イランに到着した後、南西部の都市アフワズと、シーア派の聖地マシュハドに移され、大規模な葬儀が行われた。マシュハドでは100万人以上が参列したという。国営メディアによると、参列した多数の市民は「米国に死を!」などのスローガンを叫んだ。
革命防衛隊のデフガン司令官は5日、米国への報復について「軍事施設に対する軍事的な対応になる」と明言した。
イランは5日、欧米など6カ国と2015年に結んだ核合意をめぐり、合意で規定されたいかなる制限も順守しないとし、無制限にウラン濃縮を行うと表明した。ロイター通信などが伝えた。
シーア派が多い隣国イラクの首都バグダッドでは5日、旧米軍管理区域(グリーンゾーン)に2発のロケット弾が撃ち込まれた。前日に続く攻撃で、犯行声明はないが、イラン側による報復の可能性が高まっている。
これに対し、トランプ氏は5日、ツイッターに「イランが米国民や施設を攻撃した場合、米国は即座に反撃する。恐らく不釣り合いなやり方になる」と投稿し、イランを牽制(けんせい)した。
トランプ氏は前日のツイッターでも、「(イランが)米国に対する報復をずうずうしく公言している」「これ以上の脅しはいらない」「(米国に報復した場合、イランの重要施設など52カ所を標的として)大きな打撃を与える」と警告しており、怒りのボルテージを高めているようだ。
「世界の火薬庫」となった中東の情勢をめぐり、世界各国は懸念を強めている。
国連のアントニオ・グテレス事務総長は声明で「世界にはペルシャ湾岸での新たな戦争に対応する余裕はない」と警告。各国指導者らに「最大限の自制を働かせる」よう求めた。
こうしたなか、日本政府が昨年12月27日に閣議決定した、中東海域への海上自衛隊派遣が注目されている。
中東情勢の悪化を踏まえ、日本関係船舶の安全確保に向けた情報収集を行うのが目的で、2月上旬に護衛艦1隻を送り、アフリカ・ソマリア沖での海賊対処活動に当たるP3C哨戒機を活用する。規模は260人程度。哨戒機は1月中に活動を開始する。活動中に不測の事態が生じた場合は、武器を使用できる海上警備行動を発令する。
海自派遣が、ソレイマニ氏殺害前の閣議決定で決まったため、左派野党が問題視している。
立憲民主党の枝野幸男代表は4日、三重県伊勢市での記者会見で、「(米軍の攻撃は)国際法上、正当化できるのか疑問だ」「中東の安定を損なうリスクが非常に高い」と指摘したうえで、「そんな中東に国会審議もなく自衛隊を送り出すのは、自衛官の安全を含めて大変由々しき事態だ」と批判した。
共産党の志位和夫委員長も同日、党本部の旗開きで、米軍の攻撃を「国連憲章を無視した先制攻撃、軍事的挑発行為だ」と非難した。党のHPには、「自衛隊の中東沖への派兵は、いっそう無謀で、危険極まりないものとなった」「自衛隊派兵の閣議決定をただちに撤回することを強く求める」との声明が掲載された。
ただ、日本は原油の9割近くを中東に依存している。タンカーの安全確保は、日本経済や日本社会を支えるエネルギー供給の生命線に関わる。加えて、イランの在留邦人678人(外務省、2016年10月)をはじめ、中東には多数の日本人が暮らしている。自衛隊派遣には邦人保護という視点も必要ではないか。
日本政府は現時点で、海自の中東派遣方針に変わりはないようだ。
自民党の中山泰秀外交部会長は「日本の安全保障政策を、地球儀を俯瞰(ふかん)しながら考えることが重要だ。経済大国の日本が、自国船舶の航行の安全を自国で確保することは、世界の安定にもつながる。いつまでも他力本願で『日本の船を助けてください』と言えますか? 国際法上も、世界の常識でも『自分の船は自分で守る』のは当然。野党幹部の発言は的外れだ。厳しい中東情勢の下、現地に派遣される自衛隊員に『何ら憂えることなく、頑張ってほしい』と送り出す条件を整えることこそが、国益上も大切だ」と語っている。